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帰ってきたし…寝るか、
『…スゥ』
フォトアルバムから抜いた父さんの写真。
学校帰りに少ないお小遣いで買ったケーキと蝋燭を取り出す。
ライターで火をつけると火がフワフワ揺れて綺麗だ。
写真の中の父さんが言う。
「お誕生日おめでとう。お前はいつになっても自慢の俺の息子だぞ。」
父さんは笑顔のまま動かない。
寂しくなんかない。
だって父さんは俺の頭を優しくガシガシ撫でてくれて、仕事帰りはいっつもお土産をくれて、それで、ぎゅーって、抱きしめてくれて、それで…
『はっぴばーすでー、とぅーゆー、…ぅ、っ、はっぴばーすでー、っ、ふっ…とぅーゆー、っ、』
この魔法が溶けてしまう気がして蝋燭の火は消せなかった。