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「おいリリー、何処まで行くんだよ」
ずっと先にある背中に声を掛ける。
「何処までも行くんだよ」
そう言いリリーは歩き続ける。一歩一歩前に。進む姿は何処か儚くて、今にも消えてしまいそうで、酷く憎らしく見えた。
「”何処までも”本当に俺と一緒でいいのかよ」
「いいから今、一緒にいるんでしょ。嫌いだったらもう殺してるよ。ネイサンのこと」
冗談なのか本気なのか曖昧な返事が返ってきた。
そのまま歩き続けた。地面に脚が吸い込まれる様な感覚がして不快だった。
日差しが俺を照らして鬱陶しかった。でもこんな晴れた天気が珍しいなと思った。
ネイサン!
誰かが呼ぶ声がした。
前にある筈の背中がいない。いないんだ。
何でだよ、何で思い出せないんだよ。
そう叫んだ気がする。
何処へ行っちまったんだよ。
本当に消えるなんて…。
地面に誰かの血。
ああ、俺、死ぬのか…。
ドンっと鈍い音がした。
痛みは無かった。記憶も無かった。