テラーノベル
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薄い光が障子越しに差し込んで、部屋の中がぼんやり明るくなる。
○○が、先に目を覚ます。
「……ん」
寝返りを打とうとして、
動けないことに気づく。
――重い。
というか、固定されてる。
銀時の腕が、がっちり腕枕。
しかも、思ったより深く回っていて、
肩から背中まで逃げ場がない。
「……ちょっと」
小声で言ってみる。
返事はない。
完全に熟睡中。
○○はため息をついて、
そっと顔を上げる。
近い。
思ってたより、ずっと近い。
無精ひげが少し伸びていて、
眉間には薄くシワ。
でも、寝顔はやけに静かで、
起きてる時よりずっと素直。
「……ほんと、ずるい顔」
小さく呟く。
起こさないように、
そっと銀時の腕を外そうとするけど――
ぎゅ。
逆に、力が強くなる。
「……逃げんな」
寝言混じりの、低い声。
「起きてないでしょ……」
そう言いながらも、
胸の奥が少しだけ跳ねる。
もう一度、銀時の顔を見る。
この人と、
数年前はちゃんと向き合えなくて、
泣いて、諦めて、距離を置いて。
それでも今、
こうして同じ布団で朝を迎えてる。
○○は、そっと手を伸ばして、
銀時の前髪を軽く撫でる。
「……好きだよ」
聞こえないくらいの声。
すると、銀時の口元が
ほんの少し、緩む。
「……知ってる」
完全に起きてない声で、
でも、はっきり。
○○は目を丸くする。
「……起きてたの?」
「半分な」
そう言って、
腕を少し緩める。
「トイレ行きたいんだって顔してた」
「……ばれてるし」
ようやく解放されて、
布団から抜け出す。
後ろで、銀時が寝返りを打ちながら言う。
「起きたら、飯な」
「はいはい」
そう返して、
○○は小さく笑う。
――朝から、面倒で、
でも、どうしようもなく安心する。
そんな日常が、
もう当たり前になっていた。
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