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シリアス注意
💙❤️
(💛さんいます)
「死ぬの、怖い?」
「……」
「大丈夫だよ、俺は一生離れないから」
「うん」
「だから、元貴も一生離れないで」
「離れないよ。……もう、ずっと早く終わりにしたかった」
「そっか……」
「でも、死ぬってやっぱ実感湧かないかも。死んでも離れ離れにならないよね……?」
「絶対ならないよ。……手繋ぐ?」
「繋ぐ、」
「……今までありがとうね」
世界に、さよならを告げる。
無意識に手に力が籠る。
どちらからでもなく、地から脚を離す。
風が身体を切るようだ。ひどく冷たくて、ひどく乾いていた。
それでも、痛みは感じないのだから。
僕たちなら、どこまでも行ける。
そんな気さえしてしまった。
手を繋ぐだけではまだ空っぽが埋まらないような気がして、隣にいる彼に手を伸ばす
……綺麗な、顔。
この世に未練なんてないみたい。
伸ばした手にすぐに彼は気づいてくれて、僕の腰を引き寄せてきた。
冷たい空気を裂くなか、暖かな温もりを感じる。
「若井……」
「元貴、だいすきだよ」
「僕も……」
冷たい風に当てられて目が乾いているはずなのに、なんだか涙が止まらない。
「ひろと、だいすき」
「うん。俺も元貴がだーいすき」
最期を迎えることを改めて実感するように、柔らかなくちづけを交わした。
すぐそこに終わりが見える。
これが幸せっていうのかな。
だけど、ひとつ心残りがあるとすれば……
「……ごめんね、涼ちゃん」
そんな呟きは、ぐしゃり、と何かがつぶれるような音にかき消された。
最期に目にした光景は、今までにないほどの煌めきを湛えていた。
「……」
ひどく冷えた早朝。否、まだ深夜とでも言うべきだろうか?普段はこんな時間に起きるなんてありえない。
「ここ、か」
数時間前に、ふたりの大事な仲間が消えた場所。
空にはまだうっすらと星が瞬いており、自分の心と対照的である。
流石は山。空気が澄んでいて肺が喜んでいる。東京の汚れた空気とは全くの別物だと勘違いしてしまうほどに。いや、実際全然違うのだろうが。
「なんで、」
そんなことを問いかけても無駄だ。もう、ふたりは存在しないのだから。
「……」
ぽたぽたと水滴が地面に落ちてくる。天気予報では快晴だったはずだが、雨?空を見ても雲なんてどこにも見当たらないけどな。
「気づいてあげられなくてごめんね。最年長なのに」
崖の下を見る。相当な高さだ。そりゃあ、酷いことになるだろう。誰だかわかったのすら奇跡に思えるが、できることならふたりを救いたかった。
「また3人で音楽できるかな?」
質問のようではあったが、その声には確固たる自信があった。
またひとり、空に輝く星を目指して。
この日の夜空には、世にも稀な三重星が、かつてないほどの美しさで煌めいていたという。
死ネタ悲しくなるから苦手なのに書いてしまいました。
テーマ:心中
コメント
10件
うぁぁぁぁ...... 今まで見た去ネタの中で1番好きだわ...ガチで なんかどのセリフも文も表現がエグいって!!!😭
泣いちゃったというか泣かせに来てるよ…😭涼ちゃんのセリフがもうさ、寂しさとか怒りがある気がする、