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昼前に起きて、歯を磨いて顔を洗う。
お昼ご飯を食べようと思ったが、披露宴で食事出るしと考え、とりあえずスーツに着替える。
ここぞというときに着るスーツなのでパリッっとしている。
ネクタイも変え、ネクタイピンをつける。ワックスの蓋を開け、ワックスを手に広げる。
一度髪を大爆発させてから髪をセットする。
「スマホ、ご祝儀持った。財布…も。ん。…でオッケー…か…な?」
一応部屋を見渡す。
「うん。まあ…いいか。行こう」
どこか忘れ物ないかと不安が残っていたが家を出た。12時に甘谷で風天(ふうあ)と待ち合わせ。
「What’s up!!」
「おぉ」
「決めてんねぇ〜」
「別に決めてはねぇよ。昔自分の企画が通ったときに、プレゼンのときのために買ったスーツってだけ」
「ま、オレもそんな感じだけど」
「1時からだよな?」
「そそ。とりあえず己参道行って時間潰すか」
「そうね」
風天(ふうあ)と電車を乗り換えて、己参道駅で降りて
時間潰す前に式場まで行ってみて、道のりを確認してから
ワクデイジーに入って飲み物だけ頼んで、席に座って2人で話した。
「昨日変な緊張でなかなか寝れなかった」
「いやわかる。何回も行ってるけど、なんか緊張するよな」
「だからビール飲んで「寝れる映画」って調べて、nyAmaZonプライムでそれ流しながら寝た」
「寝れる映画。製作者さん泣いてんぞ」
風天(ふうあ)が笑う。
「風天(ふうあ)は?寝れないときどうすん?」
「オレ?オレもまあビール飲んでプロレス見るかな」
「プロレス。興奮して逆に寝れないだろ」
「おぉ〜。わかる?いやわかってるんだけど
見ちゃって興奮して2時間ちょっと、まあブランドによるけどね放送時間は。
んで「あ、ヤベッ」ってなって布団入って寝ようと試みる」
と言った後で風天(ふうあ)は大あくびをする。
「昨日も?」
「そ。昨日も」
「今日の披露宴の食事、当たりかなぁ〜」
「あ、わかる。昼食べてこようかなって思ったけど、披露宴での食事あるし…って思った」
「今まであった?ハズレのやつ」
「あったよ〜。ただオシャレなだけでマズイとこ」
「言っちゃ悪いけどあるよな。オレもあった。
あのぉ〜…なんてーの?…テリーヌか!テリーヌ!あのなんかゼラチンで固めたやつみたいなやつ」
「はいはいはいはい。オレもあれ美味しいって思ったことない」
「今日テリーヌ出ませんように」
「出ませんように」
風天(ふうあ)と今日の披露宴でテリーヌが出ないことを祈った。
時間が近づいたので風天(ふうあ)と式場へ行った。受付に案内されて風天(ふうあ)と
「この度はおめでとうございます」
と受付の方に言ってご祝儀を渡す。
「お名前とご記名をお願いいたします」
と言われ、ペンで名前を書きながら
「水貝井(みかい)海です」
「水貝井様。…」
「あ、水に「貝殻」の「貝」に「井戸」の「井」です」
「あ、すいません。ありがとうございます。あ、水貝井(みかい)様ですね。
ありがとうございます。こちらカードになります」
「ありがとうございます」
カードを受け取り、受付周辺で待つ。
「なにこのカード」
「さあ?…あ、これ千葉くんじゃん」
「あぁ、これ千葉くんと奥さんなんだ?フリー素材かと思ってた」
「だね。めっちゃ幸せそうじゃん」
「な。毎回毎回披露宴で幸せそうな写真とか動画見ると心がすり減ってく気がする」
「わかる。でもなんか心すり減るけど、なんかすり減ったとこに新しく構築される感もない?」
「わかる!なんか幸せ貰ってね」
「スーパースターたちの結婚とかカップル誕生は純粋に喜べるんだけど」
「そんな結婚事情とかも知ってんだ?」
「まあ〜知ってるし、リング上で擬似結婚式みたいのもするし」
「マジか」
「マジマジ。恋愛模様もおもしろかったり、キスもするし」
「ガチ?」
「ガチ」
「んで女子綺麗なんでしょ?」
「抜群に」
「見よ」
「大下心じゃぁ〜」
と風天(ふうあ)と話していると
「あ、リーダーだ」
と言う風天(ふうあ)の声に振り返る。
「おぉ!水貝井(みかい)に泥好木(どろすき)!」
「お疲れ様です」
「お疲れっす!」
「受付あそこ?」
「そこっす」
「です」
「ちょっと行ってくる」
「うっす」
「っす」
と風天(ふうあ)と僕の所属するマーケティング部の中のコーポレートと呼ばれるグループの
リーダー、いわば課長のような方が受付へ行った。
「うちのリーダーも呼ばれてたんだ」
「ね。知らんかった。ま、一応お世話になったからじゃない?」
「ま、それもあると思うけど、リーダーになればご祝儀貰えるからじゃない?」
「なるほど?たしかにそれもあるだろうね。5万かな」
「じゃない?」
「え、じゃあ部長は?」
「10?」
「ガチ?」
「知らんけどな」
「なりたくねぇ〜」
「ま、その分貰ってんでしょ」
「なーるほど?」
「てかうちのチームで呼ばれたのってオレと風天(ふうあ)とリーダーだけ?」
「わからん。そうなんかな」
「あとそこらへんにいる人たちってあれでしょ?デジタルの人たちでしょ?」
「そうそう。たまに話する人もいる」
「オレも顔見る人はいっぱいいるな」
「あとはあれ?奥さんの友達かな?」
「じゃない?派手ぇ〜な人もいるし」
「ま、千葉くんの友達もいるんじゃない?高校時代とか」
「あぁ〜ね」
「水貝井(みかい)も泥好木(どろすき)も招待されてたんだな」
「あ、リーダー。お疲れ様です」
「お疲れっす!」
「おう!お疲れ」
「そうっすね。ま、一応オレらが一番関わりが深いというか」
「っすね。千葉くんがうちにいたときは割と仲良かった気がします」
「そんな感じだったっけか」
「うちで呼ばれてる人ってリーダーとオレらだけっすか?」
「うん。ぽいよ?たぶん。おぉ〜!元気してるか!」
「おぉ〜!」
リーダーは千葉くんの移ったチーム、デジタルマーケティングのほうのリーダーの元へ行った。
「同期?」
「知らん。あっちのことはマジでわからん。てかうち以外の情報はマジで知らん」
「一緒に仕事することはまあまああるけどね」
と話していると
「準備が整いましたので、参列者の皆様はチャペルのほうへご移動をお願いいたします」
と係の方が言ったのでぞろぞろと歩く参列者に続いていった。
「新郎様の参列者様はこちら側、新婦様の参列者様はこちら側へお願いします」
と言われ、新郎様の参列者のほうへ行った。木の長椅子に座る。
「ここは木なのね」
「木じゃないとこあったん?」
「まあ木だろうけど、真っ白とかあったよ」
「あぁ色ね。それはオレもあった」
「ステンドグラス綺麗な」
「ほんとだ。いいねぇ〜」
「今までで面白い式場とかなかったん?」
「面白い式場かぁ〜。…ううぅ〜ん。面白いのは思いつかないけど、結構上がったところに式場があって。
たしかホテルだったかな?の何階かに式場があって、東京の景色と木々が見えるデケー窓が
あのステンドグラスんとこにあってってのはあった。夜で」
「あ、夜は珍しいな」
「海、夜の経験はなし?」
「ないね。今んとこ全部昼。ま、二次会で夜は全然あるけど」
「それは全然あるね。今日もそうじゃない?結婚式に披露宴で2、3時間。二次会で夜でしょ」
「まあ、そうよな」
とそんな話をしていると結婚式の助走が始まった。お写真や動画の撮影は…ぜひ。とか
新郎新婦が入ってきたら立ち上がらず、扉のほうを向いて拍手をお願いしますとか。
説明が終わると神父様が入ってくる。漏れなく海外の方。
「今まで全員外国人だった?」
「漏れなく」
「やっぱそうなんだね」
すると神父の方が喋り始める。
「ソレデハ、コレヨリ、新郎、千葉光(ヒカル)サン、新婦、香川華サンノ結婚式ヲ始メマス」
片言だった。
「カタコート」
「カタコートだねー。ま、神父さんらしいっちゃらしいけどね」
「まあね。本場っぽいよね。今まで行ったとこでめっちゃペラペラの人もいたけどさ」
「いるね。日本人より日本語うまいんじゃないかレベルの」
「そうそう。今の若者よりよっぽど」
「でも外国人の方は顔だけで本場感あるけどね」
「それな」
「まずは新郎様のご入場です。後方のドアをご覧ください」
立ち上がらず後ろを見る。ドアが開くとそこにはひさしぶりに見た千葉くんの姿が。
きちっと決めていて顔はどこか緊張し、それを上塗りするように幸せと嬉しさが滲み出ていた。
「どうぞ拍手でお迎えください」
拍手をする。千葉くんが神父の前に到着。
「続いて新婦様のご入場です。後方のドアをご覧ください」
またドアが開く。そこには派手ぇ〜な奥さんがお父さんと共にいた。
「どうぞ拍手でお迎えください」
拍手する。
「派手だな」
「たしかに。なにしてる人なんだろ」
奥さんはとても派手な人だった。明るい茶髪にインナーカラーが水色。
お父さんと一緒に1歩1歩、千葉くんの元へ向かう。
千葉くんが頭を下げて奥さんがお父さんの元から千葉くんの元へ。
神父の方があれこれ言って結婚式が本格的に始まる。奥さんのお父さんは泣いていた。
「やっぱ泣くんだねぇ〜」
「それな。今んとこ奥さんサイドのお父さんの泣き率100パーセント」
「オレも」
「こればっかは父親になんないとわかんない感覚だよな」
「そーだねぇ〜」
指輪の交換が終わり、誓いのキスも終わった。2人が腕を組みながら退場していく。
退場のときは皆立ち上がって拍手で見送る。
「それではご参列者の皆様、後方のドアから外に出ていただきまして、外の階段のほうに行っていただきます」
と言われて皆立ち上がる。みんな外に出ると
「こちらを」
とスタッフの方に花弁を手渡される。
「あぁ、フラワーシャワーね」
「ふぁっさーってね」
「階段上部、ドアの方から新郎新婦が下りて参りますので
ぜひ「おめでとう!」と言いながら花弁のシャワーを皆様でかけてあげてください」
すると上部のドアが開き、千葉くんと奥さんが腕を組んで階段を下りてくる。上部のほうから
「おめでとぉー!」
「おめでとぉー!」
と聞こえ、花弁が舞っている。僕と風天(ふうあ)の元へ来る。
千葉くんと目が合い「お!先輩!」みたいな顔をした。
「千葉くん!おめでとう!」
風天(ふうあ)が言ったのを聞いてからスマホの動画を回しながら
「千葉くん!おめでとうー」
と言って掌の中にある花弁たちを千葉くんと奥さんに向かって投げた。
理想ではふわ〜パラパラァ〜って感じだったが意外とまとまってひらひら舞うことなく落ちた。
「おめでとぉ〜!」
「光(ひかる)おめでとうぉーー!!」
「香川ー!おめでとうー!」
「華ー!おめでとうー!」
「華ちゃぁ〜ん!おめでとう〜!」
それぞれ新郎新婦の友人やらなんやらの「おめでとう」が聞こえ、フラワーシャワーの中、階段を下りていく。
「香川さん…千葉くん…。おぉ、2人とも都道府県だ」
「そだよ?あれ?海気づいてなかったんだ?」
「うん。なるほど。香川が千葉に乗っ取られるってわけか」
そんな話をしているとフラワーシャワーは終わったらしく
「お次に皆様にはバルーンをお配りいたしますので
せーのという掛け声で皆さん一緒に空に向かってバルーンを離していただきます」
とお次の催し物が始まる。遊園地の着ぐるみみたいに風船を持ったスタッフの方から
風船を貰う。スタッフさんがどんどん風船を配る。
「皆様のお手元にバルーンは回ったでしょうか」
周りを見回す。
「それでは皆様のお手元にバルーンが行き届いたようなので
せーのという掛け声で空へ放っていただきます。行きますよぉ〜?せぇ〜のっ!」
風船の紐を持った手をゆっくり力を緩めてスルスルッっと紐が手をすり抜けていく。
空にカラフルな風船が飛んでいく。スマホで動画を撮る。
「綺麗な」
「な。でも毎回思ってたけど、これ最後どうなんの?」
「大気圏辺りで萎んで落ちるんじゃない?」
「あぁ、じゃあ残骸がどっかに墜落するのか」
「ま、大概海じゃない?」
「海ごめんね?」
「オレに謝んないで」
「ゴミ拾い行くからね」
「それは行ってくれ。海の生物たち困ってるから」
「さすが名前が海。海愛がすごいね」
「それでは皆様。皆様でお写真を撮りたいと思いますので」
とスタッフの方が言うとみんなゾロゾロと階段下にあるカメラに映るように移動を始める。
「あ、一番奥の、最上段の真ん中の男性の方、前の方とお顔が被って見えないので…。
あ、はい。大丈夫です。ありがとうございます」
「最上段から…3段前の茶髪の女性の方。あ、ありがとうございます」
など微調整が入り
「ではいきまーす」
カシャ。
「もう1枚いきまーす」
カシャ。
「ピースとかして貰ってもいいですよー。満面の笑顔でラストいきまーす」
カシャ。最後だけピースした。
「それではご参列者の皆様は結婚式前にお集まりいただいた控室でお待ちいただいて
披露宴の準備が出来次第、スタッフが呼びに参りますのでしばらくお待ちください」
と言われ、風天(ふうあ)と一緒に控室に戻った。
しばらくスマホをいじりながらも風天(ふうあ)となんでもない話をしていると
「ご準備ができましたのでご移動をお願いいたします」
とスタッフの方に言われ、みんなゾロゾロと移動する。
「席決められてるよな?」
「たぶん?そのはず」
「あ、Aとか書いてある」
「どこに書いてある?」
「ほらテーブルの」
「あ、うん。それはわかるけど、オレらの」
「あぁ」
周りを見るとご祝儀を渡した受付で貰ったカードを見ていた。スーツのポケットに入れたカードを出す。
「あぁ、これに書いてあったんだ」
「あぁ、そういえばなんか書いてあったね。…Cです」
「オレもC」
「C」というカードが立て掛けられているテーブルを探す。
「ここー…です」
「あ、名前書いてある」
「嘘?あ、ほんとだ。オレらどこ?」
と自分の名前が書いてあるところを探す。
「ここです」
「その横です」
「良かったわ。風天(ふうあ)が離れてたらキツかった」
「それな」
とりあえず席につく。
「おぉ。お前らそこか」
「あ、リーダー」
僕は思わず立ち上がる。
「いいいい立たなくて」
「うっす」
と言いながら座る。
「お前は少しは立つ素振りくらい見せろ」
とリーダーは風天(ふうあ)の肩を軽く叩く。
「リーダー。パワハラっすよ」
「お前マジ冗談でも言うなよな?」
風天(ふうあ)もリーダーも笑いながら席につく。
「ここのテーブルはうちの会社関係の人がまとめられてるらしい」
「あ、そうなんすか」
「へぇ〜」
「お前らとオレらがコーポレートで向こうさん一帯がデジタルだってさ」
「え、オレらんとこで来てるのこれだけなんすか?」
「あ、いや?あと2人来てたよ。さっき見かけた」
「あ、へぇ〜?」
「お前らの先輩と後輩。どっちも来てたぞ」
「誰っすか」
「皆口と落合くん」
「あぁ。皆口さん来てたんすね」
「落合いたんだー?気づかんかった」
「皆口も落合くんもデジタルのほうに友達いるらしいから」
「なるほど。オレらないもんなぁ〜。他の課に友達とか」
「いないねぇ〜。そこに労力割かないよね」
「割かない割かない」
「お前らな」
「でも仕事できてるからいいでしょ?仕事できてるできてないは置いておいて」
「まあ…。でも出世したとき、他の課に知り合いいたほうが事がスムーズに行くぞぉ〜?」
「出世興味ないっすもん」
「オレもねぇっす」
「マジか」
「仕事忙しくなりそうだし」
「キチいっすね」
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
「うーす」
「いってらっしゃい」
リーダーが席を立った。
「来る前に行ってくりゃいいのに」
「たしかに。まだ酒も飲んでないのにな」
と話していると
「あ、もしかしてコーポレートの方々ですか?」
と隣の男の人が話しかけてきた。
「あ、はい。デジタルの」
「そうです。デジタルの坂本です」
「あ、坂本さん。どうも。水貝井(みかい)です」
「泥好木(どろすき)です」
「あれですか?お2人は千葉の同期…?っすか?」
「あ、全然歳が…。先輩っす」
「あ!え!あ!そうなんすね!おいくつですか」
「28ですね。今年で9の年です」
「右に同じく」
「あ、へぇ〜。お2人ともお若く見えますね」
「あ、ありがとうございます。嬉しいけど複雑だな」
「この歳になるとな」
「坂本さんはおいくつなんですか」
「自分は26で、今年7の歳ですね」
「わっかー」
「若いねぇ〜羨ましい」
「いやいやいや!自分が誕生日来た1個しか変わらないっすよ」
その後、デジタルのほうの他の人も会話に入ってきて
「何年生まれ?」とか「仮面ライダー何世代?」とか仕事の話とかをして少し盛り上がった。
スタッフの方が飲み物なににいたしましょう?と聞きにきてくれて、風天(ふうあ)も僕もビールを頼んだ。
「それでは本日の主役のお2人の準備ができたようなので、そちらのドアのほうをご覧ください」
会場のライトが暗くなり、lスポットライトがドアのほうを照らす。
ドアが開き、千葉くんと奥さんが入ってくる。
「素敵なドレスに着替えた新郎新婦に今一度大きな拍手でお迎えください」
拍手で迎える。
「着替え大変そうだよね」
「特に新婦さんのほうがね」
「何回も選んだんだろうねぇ~」
「これどうかな?こっちはどうかな?」
「千葉くん大変だっただろうなぁ~」
「オレらもいつか経験するのかなぁ~」
「わからん。まず彼女が先」
「そーれーなー」
新郎新婦が席につく。頼んだビールが届く。
「それでは新郎、千葉光(ひかる)様よりご参列者の皆様への開宴の辞を頂戴いたします」
千葉くんが立ち上がり、方々に礼をしてスタンドマイクへ。
「えぇ〜…」
マイク入ってます?みたいなのを確認してからもう一度
「えぇ〜、ご参列者の皆様。この度はお忙しい中
私たちの結婚式、披露宴にご出席いただき、本当にありがとうございます」
と開宴の辞が始まった。
「私の中学校の友達や高校の友達、会社の人たち
華の中学校の友達や高校の友達、会社の人たちなど
会ったことも話したこともない人ばかりでしょうけど
これを機会に私が好きな人たちが、少しでも仲良くなって交流してくれたら嬉しいです。
限られた時間ではありますが、思う存分楽しんでいってください!」
と開宴の辞が終わった。
「いえーい!楽しむー!」
千葉くんか奥さんかどちらの友人か知らないが、とてつもない陽キャラがいるとわかる。
周りもクスクス笑っている。
「それでは新郎新婦のお2人をよく知るお2人から、お2人について
そしてお祝いのお言葉を頂戴したいと思います。それではまず新郎様が勤務なされている株式会社…」
と僕たちが働いている会社の名前が読み上げられ
デジタルマーケティングのリーダーの名前が読み上げられた。
「えぇ〜。皆様こんにちは。株式会社…」
とスピーチが始まった。コーポレートマーケティングのほうから移動してきてーとか
チーム内では盛り上げ役で後輩もでき、良い意味で先輩らしくなくとかいうところで笑いが起きたりしていた。
「千葉くん!そして香川さん。この度は本当におめでとうございます」
と言ってスピーチが終わった。
「ありがとうございます。続いては新婦様が勤務なされているネイルサロンの代表…」
「あ、ネイリストさんなんだ?」
「なんだね。だから髪も派手なんだね」
「それはイコールかは知らんけど」
「いや、まあネイリストさんだから派手髪とは言わないけど
ネイリストだんだから派手髪オッケーなんだね?って話」
「あーね」
とネイルサロンの代表の女性の挨拶が始まり
その挨拶の途中でテーブルの上のグラスにシャンパンが注がれる。
「千葉さん、華ちゃん!この度は本当におめでとうございます!」
と挨拶が終わった。
「お2方とも、ありがとうございました。
それでは乾杯に入りたいと思います。皆様のお手元にお飲み物は届きましたでしょうか?」
司会の方が辺りを見回す。
「それでは乾杯の挨拶をご友人の鈴木様にお願いしたいと思います。鈴木様、よろしくお願いいたします」
「はい!鈴木、行きます!」
めちゃくちゃ元気のいい声が聞こえる。
「激陽キャ」
「それな」
「ご紹介に預かりました鈴木です!この度は乾杯の挨拶を任せていただきました!
ありがとうございます!私、千葉くんとは高校の同級生でして
千葉くんは高校生のときから明るく楽しい、いい子でした。
私とのバカな遊びにも幾度となく付き合っていただきました。
結婚すると聞いたとき、ありがたいことに香川さんを紹介していただきました。
その日でもう私も香川さんを好きになってしまいました。…あ!あれですよ?友人としてですよ?」
会場に笑い声が響く。
「とにかく2人とも明るく顔も性格も良い。こんな2人の晴れ舞台の一員となれて心から嬉しく思います。
千葉くん、香川さん。そしてご両家のご親族の皆様、この度は本当におめでとうございます。
では皆様、グラスをお持ちいただいて…。2人とも末長くお幸せに!乾杯!」
「「かんぱーい!」」
「おめでとうございます」
と司会の方の「おめでとうございます」を聞きながら、席近くの人と乾杯をしてシャンパンを飲んだ。
「うまーいのか?」
「わからん。ビールしか飲まんし」
「同じく」
その後シャンパンのグラスを置き、ビールのグラスを手に取り、ビールを飲んだ。
「これこれこれ」
「これですこれです」
「やっぱお2人ともビールっすか」
隣の坂本くんが話しかけてくる。
「だねー。もうずっとビール」
「だね。坂本くんはー」
「あ、自分はレモンサワーっす」
「あ、レモンサワーね」
「若い子好きだよねぇ〜」
「そうっすかね」
という会話で海綺ちゃんを思い出した。
その後デジタルマーケティングのほうの子たちと会話しながら食事を食べ
途中でケーキ入刀があり、拍手したりしていると、新郎新婦がお色直しということで一旦退場していった。