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気配のない街並み






静けづいた瓦礫






張り付いている深紅






「…………………あ。」

生まれて初めて声を発したかのように枯れた声で呟いた。いや実際に生まれて初めてなんだろうか。

わからない。

たった今、俺の記憶は始まった。

(ここはどこだろう。)

そう口に出そうとした声は思った通りに出ず、大半が喉でつまずいた。

「こ…は…っ…。」

見渡す。

俺はすぐに本能で周りの深紅が「血」だと 理解した。

恐怖する。

おぞましい風景が脳裏に突き刺さった。

そして混乱する。

血を理解したが、何度思考しても状況は理解出来なかった。なんだ、こんなの。こんなんじゃ、まるで、

…………………………………………地獄。

ここから俺の記憶は始まった。








2015年7月7日10時21分

好きでも嫌いでもない生物の授業中である。

俺の名前は西野はるか、現在高校1年生。

突然だが、俺は記憶が途中から始まっている。

記憶の始まりもよく覚えてねぇ。思い出そうとすると途端にひどい頭痛が走る。医者に聞いても原因不明なんだと。

「……………ズミは水結晶には比較的………………クスがこれを発見しました…………ここから得られる推測として…………」

引き取ってもらったおばさんのためにしっかり授業を受けなきゃとは思うけど、やっぱり授業の話は聞いてても面白くない。

だけど生物の内容で一つだけ興味を持ったものがある。

原力結晶化

物理的に存在していない空気中に漂っている原力またの名を自然エネルギーというものが高密度化すると物理として存在する過程………のことを言うらしい。

ああぁもう!

うざったらしい説明だな。

要するに宝石みたいになってばばばーんといきなり空間に亀裂が入ることらしい。資料で見たことがある。

俺がこれに興味を持ったのはなんとなく綺麗だと思ったから。それ以上も以下もない。

まだ完全には解明されてない。なにしろ現象が発見され始めたのが俺の記憶と同じ五年前だからだ。

キーンコーンカーンコーン

「はい。では号令を。」

「「「「りがとうございました。」」」」

さて、次の授業は公民か………

そういえば今世界で冷戦が起きてるらしい。

領土問題やら、貿易…マサツ?だかなんだかが原因で。

キーンコーンカーンコーン

「はい!では授業始めまーす!前回の内容の確認から。はい!では…はるかさん。説明してください!」

うわ、また当ててきた。

だから苦手なんだよなこの女教師。

テンションやけに高いし、いきなり発言させようとするし、クラスで唯一俺が課題提出しないことぐらいを気にして何回も一番後ろの席を指差す。

「…えっと、現在まで続いている欧米冷戦のきっかけ、歴史を振り返り、世界に冷戦はどのような影響を与えるかをグループで話し合ってから、プリントにまとめ、発表し合いました。前回は六班まで発表し終わったので、今回は七班から発表し

、感想記入をします。」

「お、おぉ〜………!」

おれの上手く濁して上手いかんじに言った説明に小さな声で感嘆の声をあげる人が少々。

「あれ!?まだ発表おわってなかったっけ!!??」

「終わってないですよ。」

先生の目の前の席の子が先生の10分の1ほどの声量で報告する。もちろんその声量でも後ろの席まで十分聞こえた。皮肉である。先生はテンションだけでなく声もでかい。

「え〜〜!!??ごめん!そうだったかも!プリント忘れてきちゃったから取りに行ってもいい??!!行ってくるね!!!ごめん!!!」

ダッダッダッ………

「………拒否権ねえじゃんボソッ」

あの人はパニクるとタメ語になる癖があるけど、間違った時めちゃくちゃちゃんと謝るから、嫌いになれないんだよな…

ゾッ

「!?」

なんだ?悪寒が…嫌だな。

俺が悪寒がする時それは大体当たる。 最悪だ…。

…ところでふと思った。冷戦が今後も続いていけばどうなるんだろうと。冷たい戦争だから、まだ戦闘が始まっているわけじゃねえんだろうな。でももし、本当に人の手に武器が握られたら…、軍が動き出したら……間違いなく






世界は割れる。









そして、


窓も割れた。






パリーーーーーーーーーンッッッ

「きゃあ!」「何!!??」「え、やば」



…………………………………え?

何が起こった。

亀裂というものはもう少し神秘的で美しいものだとおもっていたが、そうじゃないらしい。

ガラスの破片は俺が想像していたよりはるかに速く、すぐに地面に落ちた。

ピチピチピチ

ダン!

破片が落ちる音の中には明確にガラスでないものの音がした。俺は驚いたのにも関わらず、いやに冷静で、クラスが混乱に陥っている中、唯一黙って亀裂を見届けた。驚いた衝動で打つ心臓の音、破片の落ちる音、クラス全員が騒ぐ声。なにもかもがうるさい中、おれは明確なガラスじゃない何かに目を向けた。

『な、なんですか!!!???今のは!!!???』

こっちが聞きてぇわ。てか人!?人が入ってきた。え?ここ、3階…あれ。なんなんだこいつ!!!???

「何事だ!?」

隣の教室で授業をしてた数学のおっちゃんが駆けつける。

『わ、えとすみません!雀を追いかけていたんですけどらお騒がせしたようで。授業をしてた…んですよね!大丈夫です。すぐ出ていくので!』

いやそういことじゃねえだろ。

窓割って、雀を追いかけてました出ていきます?まじで何いってんの。不審者?これは逃げた方がいいんだろうか。うん逃げよう。

続々と生徒が恐がりながら退避し始める。

「君!そこを動かないで!早く!西野くんこっち来て!」

俺の判断は賢明だったらしい。たしかに、そもそも窓割って入ってくるなんて、スパイかテロぐらいでしか見たことがない。

『ねえそこの君。あの方々まったく話を聞いて頂けないようなので、落ち着かせて頂けませんか?』

「……え、いや俺?」

『はい!君です!』

急にこっちに爆弾渡すな。

「いやそもそもお前誰なんだよ」

『自己紹介がまだでしたね!僕は…か、かなたです!…て君…!』

知り合いだっただろうか。いや間違いなく俺はこいつを知らない。だって俺はここまで


綺麗なやつをみたことがない。


アイスグリーンのボブヘア。

どこのか分からない黄緑のジャージ。

ショートパンツから出した白い肌。

そしてちょん、ちょんとそいつの両方サイドの髪が跳ね上がっていて、クリオネみたいだ。

『はるかですか?』

なんでこいつ俺の名前、

「なんで知ってる?」

あれやっぱり知り合いだったか?

『!!!……君にお話があります!』

ダッ

腕を強く掴まれる。

そしてここは…空中!?

えこれ夢?

窓から引っ張り出されたのか?

「は、はは、ははは! 」


今までつまらない世界をなんとなく生きてきた。でも今俺はとんでもない体験をしてると思う。


目の前でアイスグリーンのクリオネ髪が揺れる。


こいつはきっと俺の人生をぶち壊すんだろうな。確信はない。なぜかそう思う。

だけどこんな面白そうなやつに壊されるのは


悪くないな






とりあえず悪寒の正体は高さ15メートルの空中に放り投げだされ、失神したことだと知った。

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