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ロビーが再び静まり返り、全員の視線がステージに集まる中、係員が前に出てきて説明を始めた。彼は自然と背筋を伸ばし、耳を傾けた。隣に立つアキラも緊張した表情を浮かべている。
「次のミッションはペアで行います。今、皆さんが組んだペアでステージに立ち、5分間の持ち時間で女性らしさをアピールする何かを披露してください。何をするかは自由です。歌でも、ダンスでも、スピーチでも構いません。あなたたちが考える『女性らしさ』を最大限に表現してください。」
参加者たちの間に再びざわめきが広がる。何を披露するのか、それを5分間でどう表現するのか、それぞれが考えを巡らせ始めた。彼もアキラも顔を見合わせた。突然のミッション内容に、どう対応するべきか二人とも戸惑っているのがわかった。
「スコアはファッションショーと同じように視聴者によって評価されます。得点が一定以上でない場合、元の体に戻ることはできません。次のミッションに進むか、さらに女性化が進むかのどちらかです。」
その言葉に、彼は背筋が冷たくなるのを感じた。得点が一定以上でないと、元の体には戻れない。それどころか、さらに女性化が進む可能性があるのだ。隣の部屋で泣いていたアキラの姿が頭に浮かび、彼は何としても成功させなければならないという思いを強くした。
「さあ、それでは各ペアで話し合って、何を披露するか決めてください。ステージはあちらです。準備ができたペアから順に進んでください。」
係員が指さした先には、舞台照明が灯されたステージが見えた。彼は深呼吸をしてアキラに向き直った。
「どうする?何をやるのが一番いいんだろうな…」
彼が不安そうに尋ねると、アキラも困った顔をして肩をすくめた。
「正直言って、わからないよ。でも、何かしら考えないといけないよな。何をすれば女性らしさをアピールできるんだろう…」
二人はロビーの片隅に移動し、他のペアたちの様子を伺いながらアイデアを出し合った。隣では、他の参加者たちが小声で相談し合っている。彼らもまた、このミッションに向けて不安と期待を抱えているのだろう。
「歌とかダンスとか言ってたけど、俺たちがそれをやっても、ちゃんと女性らしさを見せられるかどうか…」
彼はため息をつきながら、思考を巡らせた。自分たちができること、そして視聴者に受け入れられるであろうこと。それをうまく組み合わせなければならない。
「何か簡単で、それでいてインパクトのあることをやるしかないな…」
アキラがそう言いながら考え込んでいるのを見て、彼は少しだけ希望を感じた。二人なら何か方法があるはずだ。元の体に戻るために、そして自分たちを取り戻すために、このミッションをクリアしなければならない。
「よし、俺たちでできることを考えよう。少なくとも、今できる最大限のことをやろうぜ。」
彼の言葉に、アキラも頷いた。二人はお互いに励まし合いながら、次のミッションに向けて準備を始めた。限られた時間の中で、自分たちの女性らしさをどう表現するかを探りながら、彼らはこの奇妙な試練に立ち向かおうとしていた。