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丁寧な独占
秋風がそよぐグラウンド。
フォークダンスの音楽が流れ、男女が円になって手を繋ぐ。
🌸が少し緊張して足を踏み出すと――
背後から、しんちゃんが静かに手を差し伸べてきた。
「ほな、ちゃんと並ぶで。俺とや。」
表情はほとんど変わらないが、
目の奥に“絶対離さん”という意思が見える。
「え、でも順番で回らないと…」
「順番とか関係ないやろ。
俺が握っとる間は、他の奴に触らせる気ない。」
冷静で丁寧な口調なのに、圧が強い。
🌸は思わず手を握り返す。
⸻
手を握り、ステップを踏むごとに、しんちゃんは🌸の動きを逐一確認する。
「手ぇ離したらあかんで。
動きも乱さんように、ちゃんとついて来い。」
その言葉通り、隣でぴたりと歩幅を合わせてくる。
周囲がワイワイしていても、しんちゃんと🌸だけの世界になる。
「…なんか、緊張するね…」
「緊張するのは当然や。俺がちゃんと守っとるから安心しろや。」
関西弁だけど、落ち着いたトーンが逆に心地よくて安心する。
⸻
交代のタイミングが来ても、
しんちゃんはさりげなく手を引き、🌸の側に居続ける。
「他の奴に触られるとか、あかんやろ。
俺が見てる間は、絶対離さへんかったが、少し辛抱やな。🌸は俺のことだけ見てるんやよ。」
小さく淡々と言うだけだが、
その言葉に圧と独占欲がにじむ。
周りの男子が気まずそうに目を逸らす。
⸻
音楽が終わり、ラストの抱き合うポーズ。
しんちゃんは自然に🌸を抱き寄せる。
「今日の動きは完璧や。お前も疲れたやろ、ほな少し休め。」
静かに頭を撫で、腕の中で安定させる。
感情控えめだけど、独占と甘えの両方を感じさせる。
「今日のことは忘れんようにな。」
🌸は小さく頷くしかなかった。
完璧で落ち着いてるしんちゃんに、
誰も触れさせたくないと思わせられる瞬間だった。