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「え?無関心なのに気に入ってたんですか?」


「うん。他のお客さんって俺が好きで指名してくるでしょ?」


「そうですね」


「だからその、感情が好きとか独占したいとか、なんか居心地悪くなるような人ばっかりで。でも瞬くんは、俺のことをただの血をもらう相手としか見てなくて。変な感情が見えないから、居心地が良かったの」


「へぇ〜…」


(たしかに、俺はライトさんに興味なかったな…)


「そうなんですね。俺は瞬さんに好きになって貰えてすごい嬉しいですけどね」


そう言って諒真はニコッと笑った。なんだか少し、ライトさんにマウントをとっているような気がした。


「そ、そうかよ」


俺がそう言うと、ライトさんがクスッと笑う。


「今のって好きって認めてましたよね」


「ですね。完全に認めてました」


そう言って諒真とライトさんは顔を見合わせてニコニコしている。


(なんだよ。仲良くしちゃって…)


そう思った瞬間、ライトさんが俺を指さし、諒真のことを見ながら言う。


「あ〜!今嫉妬してましたよ!」


それを聞いた諒真は俺の顔を覗き込む。


「瞬さん、意外と嫉妬深いんですね」


「うるさい!嫉妬なんてしてない!」


「瞬く〜ん?俺には感情が丸わかりって言ったよね〜!」


「もう!ライトさんのバカ!」


俺は恥ずかしさのあまり、ライトさんをポカポカ叩いた。

すると、前方から女性の声が聞こえる。


「あ!いた〜!ひかる〜!!」


そう言ってこっちに走って来ている。

その女性を見て、ライトさんは焦ったような顔をする。


「やべっ」


そう言ってライトさんは俺の後ろに隠れる。


「ちょっと、ライトさん。なんですか」


「いいからいいから」


「え〜…」


訳が分からず戸惑う俺の前に女性が来る。


「ちょっと。何匿ってるんですか」


「いや、ライトさんが勝手に俺の後ろに…」


俺がそう言うと、彼女は不思議そうに言う。


「ライトさん?」


そして、少し考える素振りを見せた後、思い出したかのように言う。


「あ!もしかしてあなた、瞬さんですか?」


「えっ、なんで俺の事知ってるんですか?」


「だって毎日ひかるがあなたの話してたんですもん。瞬くんが瞬くんが〜って。私より好きなんじゃないの?ってくらい」


そう言って彼女は少し不満そうな顔をした。


「ひかるって、ライトさんのことですか?」


「そうですよ。ライトの本名はひかるです」


彼女がそう言うと、後ろに隠れていたライトさんが出てくる。


「ちょっと。俺の本名勝手にばらさないでよ」


「あんたが隠れるからでしょ?」


「だってれいなが怖い顔でこっち来るから」


「急にいなくなるからじゃん!」


「だって瞬くんが見えたんだもん」


「だとしても私に言ってからにしてよ〜!急にどっか走ってっちゃうんだもん。びっくりしたよ」


「ごめんごめん。何でもするから許して?」


そう言って子犬のような目で彼女を見つめるライトさんに彼女は仕方なさそうに言う。


「もう。じゃあ、今日は一日中私に付き合ってもらうからね!ほら、行くよ!」


そう言って彼女はライトさんの手を握り、歩き出す。


「瞬くん、元気でね〜!」


ライトさんはそう言いながらもう片方の手で手を振り、彼女と一緒に去っていった。

2人が見えなくなると、横にいた諒真が手を差し出しながら言う。


「瞬さん。俺達も手、繋ぎます?」


「繋がねぇよ」


「ですよね〜」


俺が断ると、諒真は残念そうな顔で歩き出す。そんな諒真に俺もついていった。

その後、遊びまくった俺達は遊び疲れて帰ることにした。


「瞬さん、帰る前にトイレ行っていいです?」


「うん、いいよ」


「ありがとうございます。ここからならお土産屋さんのトイレが近いみたいですね」


諒真は遊園地の地図を広げながらそういう。


「じゃあそこ行こっか」


「はい」


そして俺達は土産屋に向かった。土産屋に入り、トイレの前まで行く。


「瞬さんは大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫。ここで待ってるね」


「分かりました。すぐ行ってきますね」


そう言って諒真はトイレに入っていった。暇になった俺は何気なく店内を見回す。

すると、1つのキーホルダーが目に入る。俺はそのキーホルダーの方へ行き、手に取る。諒真が好きなくまのちっちゃいぬいぐるみのキーホルダーだ。


(諒真に買ってあげようかな…)


そう思い、俺はキーホルダーを購入した。

トイレの前に戻り少しすると、諒真がトイレから出てくる。すぐに渡そうと思っていたのに、俺は諒真を見て咄嗟にキーホルダーを後ろに隠してしまった。


「すみません。お待たせしました」


「ううん。全然待ってないから大丈夫だよ」


「ありがとうございます。じゃあ、帰りましょうか」


「うん」


そして俺はキーホルダーを渡せないまま、遊園地を出た。

帰り道でも渡そうとしたが、中々言い出せずにそのまま家に着いてしまった。

家に入り、リビングに行くと安心感からか言い出す勇気が出て、俺はカバンから帰る途中でしまったキーホルダーを取り出す。


「諒真」


「なんです?」


カバンかけにカバンを掛けていた諒真は俺の声で振り向く。そんな諒真にキーホルダーを差し出す。


「あの、これ…」


諒真はキーホルダーを嬉しそうに受け取った。


「わ〜!これ、俺にくれるんですか?」


「うん。その…土産屋で見かけたから、諒真に買ってあげたくなって」


「ありがとうございます。瞬さんが俺のために買ってくれるなんて、すごい嬉しいです」


そう言ってニコッと笑う諒真に俺は恥ずかしくなり目を逸らす。


「別にその…深い意味とかないから。諒真がくま好きだからなんとなく買っただけだから」


「それでも嬉しいですよ。でも、俺がくま好きってよくわかりましたね。言ってないのに」


その言葉に俺はドキッとする。


「いや…部屋着が2枚ともくまだったらそりゃあ誰でも気づくでしょ」


「そうかもしれないですね。でも、人の部屋着を見る機会なんて中々ないですし、瞬さんだからこそ分かることですね」


「まぁ…そうかもな」


俺がそう言うと、諒真は嬉しそうにしながらカバンかけにかかっているリュックにキーホルダーを付ける。


「見てください。大学に行く時のリュックに付けました」


「お、いいじゃん」


「瞬さんがいない時は、この子のこと瞬さんだと思いますね。俺たち、大学でもずっと一緒ですね」


そう言って諒真はニコッと笑う。


「…なんだよそれ」


恥ずかしくなった俺はそう無愛想に言った。

それなのに諒真は何故か嬉しそうで、余計に恥ずかしくなってしまった。


「まぁ、喜んでくれたなら良かったよ」


「お、素直な瞬さん、ありがとうございます」


「…ご飯作ってくる」


俺はそう言ってキッチンに向かっていった。

君の血が飲みたい

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