テラーノベル
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男は目を開ける。
見慣れぬ風景。草っぱが伸び切ってて、まるで森のような。それなのに、何だか手入れされてるような。
気怠い体を起こす。そしてただ、思いつくがままに進む。男は考えた。
(まるで童話みたい!)
男は、その体に見合わぬ輝いた目をして歩みを進める。
きょろきょろと不格好に周りを見渡していると、いつの間にか目の前に1人、誰かが居た。
ヒトだ。
そのヒトは男を見て微笑んだ。
『ここには、何用で?』
男を少し悩んで答えた。
「分かんない。ただ、散歩じゃない?」
ヒトはくすっと笑って
『ふふん、そうかい。じゃあ、話しかけるのは不躾だったかな?……まぁいいや。そこの、小瓶を取っておくれよ。』
ヒトの指は2本、男の足元を指している。
「うん?でも、小瓶なんか無いよ。」
『ああ、君には見えないのか。残念な奴だ。』
「酷いや。君の頭が回りでもしたんでしょ?」
ヒトはそれに答えず、しゃがみこんで、何かを掴む。其れを開ける素振りを見せて。
『ほら、綺麗な群青色のワイン。君にも振舞ってやりたいけれど、時間さまは待ってくれないね。』
男は足元を見ながら、それをぼーっとして聞き流す。ぐしゃりと草を踏む音に、顔を上げるとヒトは居なくなってた。(変なやつ。顔も分かんなかったしよ。)
男はむすっとしながらも、心の揺れ動くままに歩んでいく。
おや?森を抜けた遠くに何かが見える。”ぴくにっく”ってやつかい?
男はまた目を輝かせて駆け寄ると、1人の、綺麗なドレスを着た少女が居た。
『いらっしゃい。お客さん?』
「まぁ、そんなとこ。」
『へぇ。ところでアナタ、███様を見かけなかった?』
「ごめんよ?聞き取れなかった。」
『だから▙▒▚▒▞▛を見かけなかったかしら? 』
「なに、君の声、変だよ。」
少女はむっとする。
『失礼ね。馬鹿な事言わないでくれる?アナタのその不格好な声よりうんとマシよ。』
男は煮え切らない顔をして。
「何だよ、そこまで言わなくても良いじゃん。」
『で、結局?私はアナタのその群青の瞳が▙▒▚▒▞▛▒▚見たかと聞いてるの。』
「群青?僕の瞳は黄色だよ。」
少女は呆れた声で呟く。
『ホラを吹くのは後にして。』
『さもないと、▙▒▚▒▞▛のお気に入りの紅茶をうんとかけるからね。』
「ごめんよ、やめにする よ。君の探す人は居なかったよ。」
『あらそう。さっき、そっちに行ってた筈なのに。アナタのホラかどうかを見に行くわ。』
少女は男が出てきた森の方向へ走り去る。
男が振り返ると、そこには誰も居なかった。(変な子。声も分かんなかったし。)
あき💫🌙
1,130
にこ
879
#🌈🕒
れい
27
コメント
1件
第1話、読ませていただきました。冒頭の「まるで童話みたい!」という男の呟きが、そのまま物語全体の不思議な空気感を表していて素敵ですね。彼の前で起こるすれ違い——見えない小瓶、聞き取れない名前——そのどれもが不気味でありながら、どこか温かくて。特に「君には見えないのか。残念な奴だ」という台詞に、ヒトの独特な距離感が滲んでいてグッときました。群青と黄色、瞳の色の矛盾が気になって、続きが待ち遠しいです。@ラキさんの描く世界をもっと知りたいな。