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嫉妬
玄関のドアがガチャリと開いた音に、ジェルはソファから身を起こす。
「……さとみ?」
「ん〜……ただいまぁ……」
ゆらり、と体を傾けながら入ってきたのは、酔っ払ったさとみだった。頬は赤く染まり、目もトロンとしている。
「ま〜た飲みすぎたんか。お前、ころんと行くといつもこうやな」
「だって……ころんが、さとみもっと飲めって〜……言うからぁ……」
「……チッ、アイツ……」
ジェルは舌打ちをして、ふらつくさとみの肩を支える。柔らかく笑うその顔に、安心と同時にモヤモヤした感情が湧き上がる。
「……ころんとは、そんなに楽しいんやな」
「え?なに、ジェル……怒ってる?」
「怒ってへん……けど、ヤキモチくらい焼くっちゅーねん」
「……かわいいな、それ」
「バカ、今はそんなんええから……ベッド行こ。ちゃんと水飲んで、着替えて寝るで」
そう言いながら、ジェルはさとみの髪をそっと撫でた。
さとみは微笑んで、ジェルの胸に顔を埋める。
「……やっぱジェルが一番好き」
「……それ、酔ってる時だけのセリフやったら怒るで?」
「ちがうって……ホントだもん」
そう呟く声があまりにも無防備で、ジェルの嫉妬心も次第に溶けていく。
「……しゃーないな。ほら、着替え手伝ったる」
「えへへ……ありがと、ジェル」
その夜、ジェルはさとみの手を握ったまま、そっと寄り添い眠りについた。