コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
智也は三咲に対する自分の気持ちに、ますます悩んでいた。春菜との関係を大切にしたいと思っていたが、心の中で三咲のことがどうしても消えなかった。そして、その気持ちがますます強くなるばかりだった。
ある日、放課後の教室で、智也は偶然三咲と二人きりになった。周りに誰もいない静かな空間で、二人は何となく目を合わせ、しばらく沈黙が続いた。いつもなら、こんな時間を持つことはなかったが、今日の三咲はどこか違っていた。
「智也、最近どうしてる?」三咲がふと口を開いた。その声はいつもよりも少し柔らかく、どこか気遣っているように感じた。
智也はその言葉に一瞬戸惑ったが、心の中で何かが動いた。彼はゆっくりと答えた。「元気だよ、なんとかね。」そして少し間を置いて、三咲の顔をじっと見た。「でも、三咲、最近ちょっと元気がなさそうだね。」
三咲はその言葉に少し驚いたように目を見開き、少しだけ微笑んだ。「ああ、そんなことないよ。ただ、ちょっと考えごとをしてた。」
智也はその微笑みに、思わず胸が少し苦しくなった。彼の心の中で、以前の三咲の姿が蘇ってきた。彼女が笑っているとき、彼女が真剣に話しているとき、そのすべてが智也には大切な瞬間として感じられた。
「考えごと?」智也は少し首をかしげて聞いた。「何かあったの?」
三咲は少しだけ黙ってから、ゆっくりと答えた。「うん、実は…智也に言いたいことがあって。」
その言葉に、智也の胸はドキッとした。何かを感じている自分を止められなかった。三咲が自分に何か言いたいことがある。もしかしたら、それは自分がずっと思っていたことに関係があるのだろうか。
「言いたいこと?」智也は思わず問いかけた。「何か、俺にできることがあれば教えてほしい。」
三咲は少し考えるようにうなずいた。そして、深く息を吐いてから、静かに話し始めた。「智也、私…ずっとあなたに伝えられなかったことがあって。今、こうして話すことで、少し楽になると思う。」
智也はその言葉に引き込まれるように、じっと三咲を見つめた。彼女の目には、どこか切なさが浮かんでいた。その瞬間、智也は自分が何をすべきか、どんな反応をするべきか分からなかったが、心の中である予感がした。
「私…智也のことが、ずっと好きだった。」三咲はその言葉を静かに、そして真剣に言った。彼女の目は、まっすぐに智也を見つめていた。
智也はその瞬間、全身に電気が走るような感覚を覚えた。彼の心は一瞬で震えた。これが、三咲の本当の気持ちだったのか。長い間、彼女が心の中で抱えていた思いが、ついに明かされた瞬間だった。
「三咲…」智也はその名前を口にしようとしたが、言葉が出てこなかった。彼の心は混乱していて、自分が何を言うべきか分からなかった。ただ、三咲の真剣な表情に胸が痛むのを感じていた。
三咲はそのまま続けた。「私は、智也に伝えたかった。でも、あなたが春菜と一緒にいることを知ってから、どうしても言えなくて…。でも、もう遅いかもしれないけれど、今、こうしてあなたに伝えたくて。」
その言葉が、智也の心に深く響いた。彼は、三咲の気持ちを無視することができなかった。自分の中でも、彼女の存在が大きかったことに気づいていた。
「三咲、俺も…」智也は思わず言葉を続けようとしたが、言葉が詰まった。彼はどうすればいいのか分からなかった。春菜のことを考え、そして三咲の気持ちを受け入れようとしても、その間に立ちはだかるのは、自分の心の中の混乱だった。
三咲はその間、静かに待ち続けていた。そして、智也が何も言わないことに少しだけ寂しさを感じた。「もし、智也が何も言えないのなら、私はもう大丈夫。」そう言って、三咲は少し背を向けた。
その瞬間、智也は急に自分の胸が痛むのを感じた。彼はそのまま三咲の背中を見つめ、そして、意を決して言った。「三咲、待って。」
彼は立ち上がり、三咲の前に歩み寄った。これから、どうなるかは分からない。でも、今、彼が取るべき行動はただ一つだった。
「俺も、三咲が好きだ。」