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ぼーっと窓の外を眺めていると、ふと誰かと目が合った気がした。

「やべ、気まづ」

小さく溢れ出たその言葉がまるで遠くからも聞こえたかのようなタイミングで、深々とお辞儀をした男の子に、俺は軽く礼をした。

「アーサー早く読め〜。」

「あ、はい」

戸惑いながらも教科書を難なく読み進めていると、「ちぇ〜、お兄さんつまんなーい」と言いながら、手を 後頭部で組み退屈そうにしているフランシスが突っかかってきた。

「今俺が読んでる最中だろ!」

「そんなの知らないもんね〜さっきまでずっと外の景色を眺めてた癖に!」

変なイチャモンをつけてくるフランシスに怒りを持ちつつ、俺はその感情をグッと堪え、何事も無かったかのように読み進めた。

そして、自分の番が終わると、俺は視線を再び 外の方へと向けて、さっきの男の子を探したけれど、影すら見当たらなかった。


◇◆◇◆


(あー、誰だろ。)

「妖精さん見たいで可愛いかったな、」

教室中が騒々しくなる昼休み、俺は机に突っ伏して暇を潰していた。

暇を潰すと言っても、俺の頭の中は先程目が合った男の子でいっぱいになっていた。

「妖精さんとか、まーだ言ってんの?」

微笑しながら絡んでくるフランシスに、不機嫌に返事をするアーサー。という見慣れた光景が今日も起こると思っていた矢先、アーサーが静かに口を開いた。 「なぁ、うちの学校に黒髪の男子生徒って在籍してたか?」

「え、急に何、お兄さん怖いんだけど。」

「質問に答えろ。在籍してるか否か」

「黒髪の男子生徒・・ねぇ、」そう呟きながら「うーん」と唸りながら答えを渋っているフランシスの足目掛けて俺は軽く蹴りを入れた。

「痛!そんな事するんだったらお兄さんその子のこと教えないからね!」

大袈裟に話すフランシスを軽くあしらい、人差し指で机をトンとリズム良く叩きながらアーサーは顔を顰めた。

「そんなのお前が早く言えば良い事だろ。んで、誰?」

「1年2組の本田 菊ちゃん。」

「ふーん・・1年2組って、知ってる奴居たっけ?」

「フェリシアーノとかルートとか?」

「あ、そうそう。たしか耀といとこだった気がする。」

彼奴耀、亜細亜出身か。」

「お兄さん、今から菊ちゃんのクラス行く予定だけど、着いて来る?」

「まぁ〜耀に見つかったら終わりだけど。」

気持ちの悪いくらいに俺が得する事を進めて来るフランシスに疑心暗鬼をしながら、俺は何も言わず着いて行った。


◇◆◇◆


「菊ちゃ〜ん、居る〜?」

「あっ!フランシスさん!」

こちらに気が付くと、小走りで向かってくる動き、時折髪を耳にかける仕草、笑う時は口元に手を抑え、フフッと微笑む彼のその表情までもが、 愛おしくて堪らなかった。

そして、俺はすっかり彼の虜になっていた。

「態々お越し頂き有難う御座います・・!」

そう言って深々と頭を下げると、黒真珠の様な髪がサラリと動いた。

「あら、そちらの方は・・・」

「此奴はアーサー、アーサー・カークランド。

俺と同じクラスで腐れ縁。」

「初めまして。私は本田 菊と申します。是非とも宜しくお願い致しますね、カークランドさん。

「あ、お、おう。そうだな宜しく…キ、本田。」


翠の瞳をジッと見つめる吸い込まれそうな程に魅力的な黒い瞳から、俺はソッと視線をずらした。



fin.

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