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Episode 42「遺跡」
どれくらい歩いたか分からなかった。
太陽が傾き始めている。
昼間ほどではない。
だが、空気は少しずつ冷え始めていた。
奈央が何度か端末を操作する。
だが、通信は繋がらないままだった。
「……まだ駄目ですか」
三上が聞く。
「はい」
奈央が静かに答えた。
四人は無言で歩き続ける。
砂漠はどこまでも同じ景色だった。
赤茶けた砂。
岩山。
空。
それだけが続く。
水瀬がふと立ち止まった。
「……あれ」
「どうした?」
「あそこ」
水瀬が指差した方向。
砂の中に、何かが見えた。
全員が目を細める。
石造りの構造物。
崩れかけているが、明らかに人工物だった。
「遺跡ですかね〜」
「かもしれないですね」
奈央が小さく頷く。
「……他に当てもありませんしね」
三上が息を吐いた。
四人は遺跡へ向かって歩き出す。
近づくにつれ、その規模が分かってきた。
かなり古い。
崩れた柱。
砂に埋もれた床。
かつては巨大な建物だったのだろう。
今は風化し、骨組みだけが残っていた。
「結構大きいですね〜」
水瀬が見上げながら言う。
「誰かいた場所なんでしょうね」
奈央が静かに呟いた。
黒瀬は無言で遺跡の中へ入る。
風が遮られた。
外よりも静かだった。
砂が床を擦る音だけが響いている。
しばらく奥へ進む。
その時だった。
黒瀬が静かに足を止めた。
「……この遺跡、人がいます」
三上が眉を寄せる。
「分かるのか?」
「気配があります」
次の瞬間。
奥の闇が動いた。
巨大な影。
砂を擦るような音。
現れたのは、巨大なムカデのようなトリオン兵だった。
長い胴体。
無数の脚。
赤く光る複眼。
「うわ……」
水瀬が小さく声を漏らす。
トリオン兵がこちらへ身体を向ける。
黒瀬と三上が即座にトリガーへ手を掛けた。
その瞬間。
「こっちだ、化け物!」
声が響いた。
乾いた音と共に、小石が壁へぶつかる。
全員が振り向いた。
崩れた柱の上。
一人の青年が立っていた。
白い外套。
砂色の髪。
その青年は、もう一度石を投げる。
トリオン兵の視線がそちらへ向いた。
「早く! 反対側へ逃げてください!」
青年はそう叫ぶと、遺跡の奥とは反対方向へ走り出した。
トリオン兵が咆哮を上げる。
そして。
黒瀬達ではなく、その青年を追って動き出した。
コメント
1件
うわっ、この絶妙なタイミングで現れた青年…!「こっちだ、化け物!」って叫んで自分に引きつけるシーン、一瞬で心掴まれました。砂漠の遺跡っていう退廃的な雰囲気と、トリオン兵の不気味さがすごく合ってて、最後まで画面に釘づけでした。黒瀬のサイドエフェクトが反応した瞬間の緊張感、たまらないです…。次が気になりすぎます!