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「君の初体験を一緒に共有させてもらって、とっても楽しかったよ 」
運転席の北斗が笑って言う
「もうコンビニのシステムがわかったから、次からは平気よ! 」
助手席でモグモグ揚げたてのフライドポテトを、つまみながらアリスが言う
「ハイ、あ~ん」
「あ~ん」
運転しながらパカッと開ける北斗の口に、ポテトを放りこんでやる、もぐもぐしながら前をまっすぐ見ている
ああ・・・運転してる私の旦那様は本当にカッコいいわ、とてもではないが自分はこんな大きな車は扱えない
「ハイ!アイスコーヒー」
「ん 」
これまた北斗の口に、ストローを差し込んであげるとチュルルルと彼がコーヒーを吸い込む
「わっ」
彼の顎にアイスコーヒーの雫が垂れた。すかさずアリスが携帯用のウェットティッシュを一枚引き抜いて顎を拭ていてあげた
ニッコリ
「ありがとう」
北斗の微笑みにアリスの心臓がキュン♪とする
運転中の彼の横で彼のお世話をしてあげるのが楽しい、これだけでもとっても幸せだ
天気は良くカーステレオからは、北斗の音楽プレイリストのカントリー洋楽ミュージックが流れている
いつもの牧場作業服の北斗さんも素敵だけど、今日の北斗さんもおしゃれで本当に素敵、レイバンのサングラスが良く似合っている、外国人みたい
アリスは心行くまでうっとり大好きな彼の顔を眺める、結婚して初めての二人のお出かけだ、彼もどことなく楽しそう
「今から行くジンさんのおうちはあとどれぐらい?」
「30分ぐらいかな」
「ジンさんと貞子さんは北斗さんの幼馴染みなのよね?」
「ああそうだよ、あの二人には感謝してもしきれないかな?前にも話したことがあったかもしれないけど、俺が言葉がつっかえてしゃべれない頃、あの二人だけは笑わずに俺の傍にいてくれたんだ・・・」
「そう・・・ 」
アリスが北斗を見て微笑んだ、彼の事をわかってくれる友人がいてよかった、それだけでもアリスにとって好感が持てる人達だ
「高校の時・・・・ジンと貞子が付き合うようになって、俺は二人のじゃまをしたくなくて、あの二人から離れようと思ったことがあったんだがジンと貞子が怒ってね「私達の友情はそんなものか」って・・・」
彼が言った、サングラスをしているので表情が読み取れないが、きっとその頃を思い出して、目を細めているのだろう
「思春期の時は俺は人づきあいが苦手で、すぐに自分の殻に閉じこもって、何週間も誰とも話したくない時がよくあってね、それでもあの二人だけは根気強く俺に接してくれたんだ 」
「優しいお二人ね」
アリスは穏やかに言った
「そんな二人は結婚しても7年間子供に恵まれなくてね・・・でも貞子は根気強く不妊治療に励んだ 」
「貞子さんの努力が報われたのね」
食べ終わったフライドポテトの包みを、キチンとゴミ袋に入れ片付ける、ニッコリ北斗が微笑む
「ああ・・・赤ん坊が出来たとわかった時の、ジンときたら俺の前でおいおい泣いてさ、俺もつられて泣いたけど、その夜は二人で朝まで飲んで貞子に大目玉をくらったよ 」
くすくす・・・・
「微笑ましいお話だわ」
「それで今月産まれるはずなんだけど、じつはとっくに予定日が過ぎているのに、まだみたいなんだ、ジンも貞子もストレスはピークだよ 」
「そこで私の出番ね!」
アリスは誇らしげに北斗を見た
「安静にと言っても家事が出来るぐらいは動いてるらしい、ただ外出は控えるように言われてるみたいなんだ、君にとっても会いたがっているんだよ、なにせ君は町で噂の人だから・・・ 」
アリスが嬉しそうに言う
「私でよければ喜んでお相手をさせていただくわ、私もこの町でお友達が欲しかったの、北斗さんのそんな大切な親友のお二人なら、私の大切な人でもあるもの 」
北斗と結婚して2か月、それまでのアリスは上流社会で母と会社繋がりの、人間関係しか付き合いをしておらず、友人と楽しく会話することに飢えていた
そんなアリスは北斗との結婚によって、北斗の牧場やこの島の人間関係と関わりを持ちたいと、心から思っていた
「小さいころからうちはお祖父様のお仕事関係や、母の取り巻き達でいつもお客様がいたわ・・・」
アリスが静かに北斗を見ながら語り始める
「そんな時の私は、祖父や母の付属品でその場には出席していても壁の花要員だったから、当たり障りのない会話を求められていたの、だから・・・一緒にいても気の利いたことが言えなくて、楽しい相手ではないかもしれないけれど・・・」
「君と一緒に居るとすごく楽しいから大丈夫だよ、アイツらもきっと気に入ってくれるよ、友達とはそういうものさ無理して気に入ってもらえるように、取り繕わなくてもありのままの自分でいいんだよ」
そう言う北斗をアリスはじっと見つめた
ああ・・・この人はいつも私に温かい言葉をくれる、本当にこの人と結婚してよかった
チュッと感謝の意味を表そうと、アリスが北斗の頬にキスをした
「うん?」と彼はチラリとこちらを見て片眉をあげたけど、気にせずまた前を見て運転をはじめた
そんな彼を愛しさでいっぱいになりながら、じ~っと熱く見つめる
暫く車内で無言の時間が続いた
そして山間いのすれ違い待機場所を見つけると、北斗がそこに車を急停止して、さっきからじっと物欲しそうに、見つめてくるアリスを引き寄せキスをした
嬉しさに心が弾む、アリスは北斗の首に腕を回した
北斗さん大好き!本当に大好き!・・・と彼の口の中に舌を入れて吸って絡める
ああ・・・彼といるのが楽しくてしかたがない
暫くして北斗が口を離した
ハァ・・・・
「どうしてくれる・・・ジンの所に行けなくなったじゃないか」
とアリスの手を、硬くなった股間に持っていって囁いた
「私のせいじゃないも~ん、勝手に大きくなるその子がイケないのよ」
「コイツめ」
アリスが言うと二人は笑った、彼のこういう所も本当に好き!