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【秘められた想いとは…?】
※霧島→♡→杉原
※杉原→?→霧島
side葵 塔一郎
葵「早苗。じゃあ組に行ってくっから。何かあったら連絡しろよ。」
早苗「うん。あ、これ忘れてるよ」
葵「おお、悪いな」
そう言って早苗が差し出した紙袋を受け取る。
早苗「組の皆さんに宜しくね。本当は私も行ければよかったんだけど…」
早苗はとても気遣いができる人で、こういう時にいつも申し訳なさそうな顔をする。俺的にはそういう謙虚なところも好きなんだが、少し気負いすぎている気がして心配してしまう。こういうこと言うと『子供じゃないんだから!』って怒られるんだが、心配なものは仕方が無い。
葵「大丈夫だよ。あんまり無理すんなよ、もう少し調子が良くなってから一緒に挨拶しに行こうな。」
そう言って微笑むと微笑み返してくる。
早苗「うん…!そうだね、それまでにはいっぱい元気になるからね」
葵「おう。焦んなくていいからな?ゆっくりでいいから。」
早苗「うん。分かった」
光輝「とーちゃん!はやくー!」
葵「分かった分かった。じゃあ行ってくる」
早苗「うん、いってらっしゃい!」
光輝の催促があり、早苗に見送られながら家を後にした。今回の目的地は俺の元職場であり、家族でもあった『桜樹組』だ。結構前に姐さんの見舞いに来ていた香菜美さん達に会ってから交流が続いている。組をやめて直ぐは組長に顔向けすることが出来ずにいたが、あの時お嬢に会えてようやく決心が着いたのだ。あの一件はお嬢のお陰だろう。お嬢には一生の借りが出来ちまったな。
そんなこんなあって今に至る。1週間ほど前に光輝が『八重花ちゃんと遊びたいっ!』…なんて言って駄々こね始めて、透に相談したらお嬢からOKが出たらしく、約束を取り付けた。
光輝「ついたぁ!」
葵「あ、おい!他所様の玄関先で暴れんな!」
そんな俺の忠告も聞かずに玄関を思い切り開ける。
光輝「こんにちはー!」
葵「馬鹿野郎ッ!そんな思っきり開けんな!失礼だろうが!」
光輝「とーちゃんがおそいからじゃん!」
葵「なんだとー?」
霧島「葵さん?」
俺達のやり取りを聞き付け近づいてくる。
霧島「大分早かったですね。」
葵「おお、時間より早いとは思ったんだが光輝が早くって煩くてな。悪い、連絡くらい入れてから来るべきだったな。」
霧島「いえ、こっちはいつでも大丈夫なんで。お嬢もお待ちですよ。」
光輝「わーい!!」
葵「他所の家で走んな!、って聞いてねぇし…本当にごめんな…」
霧島「いえいえ、元気でいいですね〜」
葵「まぁ元気が1番ってのは分かんだけどよ、加減ってもんがあんだろ」
霧島「あはは、葵さんも苦労なさってるんですね、色々。」
葵「まぁな…」
コイツも俺が若頭だった時は色々面倒見てやってたのになぁ…正直お嬢の世話係になった時からコイツは変わったと思う。昔は何かあれば暴力、喧嘩で解決してたようなやつだったのに。成長したよな…心做しか色気まで出ているような…これは何かコイツの心を動かすような何かがあったに違いない。しかし一体どこの誰が…
霧島「葵さん、そんなところにいつまでも居るのもなんですし、どうぞ上がってください」
葵「え?ああ…そうだな」
透に連れられて久しぶりに客間の縁側に来た。ここに来ると昔のことを色々思い出す。
霧島「お茶持ってきますね」
葵「あ、透」
霧島「?、なんですか?」
葵「これ、お土産。ケーキ持ってきたから」
霧島「あー、わざわざすみません」
葵「いいって。こっちがお邪魔してんだし。今は組長も不在みたいだけど、組長にも上げてくれよ」
霧島「はい。じゃあお茶と一緒に持ってきますね」
葵「え?お前たちの分だけじゃ…」
霧島「こんなに大きい箱に組長とここに今居る人数分だけって事はないでしょ?」
葵「あー…全然気づかなかった…」
霧島「もしかしてこれ買ってきてくださったのって…」
葵「早苗だよ。オススメのケーキ屋があるとか言って買ってきてくれたんだよ」
霧島「そうでしたか。じゃあ奥さんにお礼言っておいてください」
葵「お前もか…」
霧島「え?」
葵「いいや、なんでもない。早苗もよろしく伝えてって言ってた」
霧島「あー、それで…はい。しっかり聞きました笑」
本当にアイツは大人になったよな…アレがこうなるのかと思うと俺がしてきた苦労も無駄ではなかったように思える。俺だって透の全てを知ってる訳では無いが、ここに居るってことは何かしら事情があるってことなんだろうと思って今まで口出ししてこなかった。誰かの過去なんて探ったってお互い後味悪いだろ?でもいつか、アイツにもそれが言える相手が見つかったらいいな。
霧島「お待たせしました…って何黄昏てんですか?」
葵「…いや、何でもない。それより他の連中のは?」
霧島「お嬢たちの方には杉原が持っていきました」
葵「そうか…」
ここに来るようになってから『杉原』ってのが頻繁に出てくる。俺が居た頃には居なかったんだが、恐らく俺と入れ替わりで組に入ったんだと思う。透の舎弟頭とかで結構一緒に行動することが多いらしい。この前たまたま杉原と喋る機会があり、『透と一緒に行動してるんじゃ大変だな』と言ったら、『確かに振り回されることはありますけど、大変って程では無いです。俺はあの人に着いていくって決めたので。』なんて真剣な顔で言われてしまった。透に着いていけてるのか心配していたが、それを聞いて安心した。そういえば杉原といる時の透って何か違う気がする…
霧島「ん、これ美味しいですね」
葵「え?ああ…早苗は甘いの好きだから結構いい店知ってんだよ。透も甘いの好きだって知ってるから、いつか語り合いたいって言ってた」
霧島「ええ?俺とですか?んー…確かに甘いのは好きですけど、店とか全然知りませんよ?」
葵「だろうな笑、お前は店とかそういうの知ってるタイプじゃないからな」
霧島「まぁ…でも教えて貰ったら気が向いた時にでも買いに行きますよ。」
葵「ホントかよ笑笑」
霧島「ほんとですって」
久しぶりにここに来たからか随分話し込んでいたら、廊下をバタバタとかける足音が聞こえた。
サラ「あはははは!」
光輝「こっちこっち!」
杉原「ちょッ!?待ってって!そっち行っちゃ駄目だから!お嬢、2人を止めてください!」
サラ「ダーメ!ヤエカはワタシのなの!ねー、ヤエカ〜」
八重花「うん…!」
杉原「お嬢!?」
サラ「じゃあイマからオニイサンがオニね!スタート!」
杉原「え!?だからそっちは駄目だってぇ!」
再びバタバタと走り出す。この家には組長の趣味の骨董品などの貴重品が沢山あるため、この家で暴れられると色々…まぁ危ないのだ。もしかしたら高価な骨董品を割ってしまい、内蔵を売っても足りない程の金額を払わされる事になるかもしれない…ここの組長は優しいお方だからそんなことはしないが。子供たちを止めるべく、杉原も必死に止めようとワタワタしていた。
葵「ははは…元気な奴ら」
霧島「そうですね…全く、何やってんだ。アイツ…」
葵「え…?」
俺は子供たちに向けて言ったつもりだったんだが、透は『アイツ』と言った。それを不思議に思った俺は透に目を向けた。その表情の意味を俺は知っている。俺だって経験したことがあるから。多分透が変わったのはそいつが原因なんだろう。この目線の先にそいつが居る。ゆっくり目線の先をたどってみる。
葵「あー…そういうことか…」(ボソッ…
霧島「あ、お茶なくなりましたね。持ってきます」
葵「なぁ」
霧島「なんです?」
葵「お前、杉原のこと好きなんだろ?」
霧島「へ…?」
葵「うおっ!?」
透の手から滑り落ちた湯呑みを咄嗟に取る。ここにある湯呑みだから普通のものよりもだいぶ値が張るものだ。
葵「おい!割れたらどうすんだ、よ…」
パッと顔を上げると顔を真っ赤に染めて放心状態になっていた。
葵「お前…」
霧島「いやだな〜…葵さんってそういう冗談言うようになっちゃったんですか?俺がアイツを好きとか、あるわけないじゃないですか。第一アイツは男で俺だって男なんですよ?好きとかそんなのある訳ない…」
余程動揺しているのか普段より早口になっている。何よりそんな顔しながら言ったって説得力ないんだが…多分その場の勢いで何とか誤魔化そうとしてんだろうな。でも俺はそんなのに流されてやれない。一昔前のコイツを知ってるから。俺は本気で透には幸せになって欲しいと思ってる。だから無視する訳にはいかない。
葵「好きなのに男同士だからとかそんなの関係あんのか?お前が好意を隠す必要なんてないと俺は思うが」
霧島「…………関係、なかったら良かったんですけどね」
俺が完全に悟っているとわかって観念したのかポツポツと話し始めた。
葵「…どういうことだ?」
霧島「…杉原、子供が好きなんですよ」
葵「は?」
霧島「……………俺じゃ子供は望めないでしょ」
今の技術では男が妊娠し出産するなんて事は出来ない。だからか男同士の恋愛はあまり世間からも褒められる事ではないのだ。透は杉原の将来を案じているんだろう。杉原は子供が好きで、いつかは自分の子供を持つことになる。そんな未来を壊したくないのかもしれない。杉原が幸せになっても透は…そんな思考が頭を巡る。
葵「透は本当にそれでいいのか?」
霧島「いいんです。俺は幸せそうなところ見るだけで。俺が隣にいる必要は無い。その幸せに俺は…必要ないんです」
馬鹿だな…そんな泣きそうな顔で言ったって説得力ねぇっつーの…無理して笑おうとしなくたって良いだろ…?お前にだって幸せになる権利があんだから。
──────数時間後──────
葵「じゃあそろそろ帰るわ。」
香菜美「え?夜ご飯食べていかないの?」
葵「早苗が家で待ってるからなるべく早く帰ってやりたいんだ」
香菜美「そっかぁ…奥さんが待ってるから…それは早く帰んないとね…!」
葵「なんか嬉しそうだな…」
香菜美「葵くんが奥さん大事にしてるところ想像するとニヤけてきちゃうんだよね…」
葵「全く勘弁してくれよ…」
俺が結婚してから香菜美ちゃんは早苗のことでよく弄って…いや、本人は弄ってるとは思って無いんだろうな。だからこそタチが悪い…
霧島「葵さん。これお土産持っていってください。」
葵「わざわざ用意してくれたのか?いいのに。」
霧島「貰いっぱなしじゃ落ち着かないので貰ってください」
葵「そうか?じゃあ遠慮なく。ありがとうな」
霧島「いえ、こちらこそ。」
こんなに気が利くやつだっただろうか。成長したな、透…!俺は感極まって涙が出そうだぞ…
杉原「霧島さん。例のやつが…」
霧島「そうか。じゃあ明日予定入れとけよ。」
杉原「はい。」
コイツは透の気持ちに気づいてなさそうだな。透がお前をどれだけ想っているかも、知らないんだな…それってなんか…腹立つな…もっと向き合え。もっと、もっと苦しんで考えればいいんだ。
光輝「とーちゃん!はらへったぁ!」
葵「はいはい、先外出てろ。すぐ行くから。」
光輝「はーい!」
さて、舞台は整った。ごめんな、透。やっぱり俺はお前に幸せになって欲しい。だからこんな勝手をするのをどうか許して欲しい。後でちゃんと謝るから。
葵「…じゃあ行くわ」
霧島「はい。あ、奥さんにお礼、忘れないでくださいね」
葵「分かったって笑、じゃあな」
霧島「はい」
玄関の戸の方を向き、少し足を進めたところで止まり、振り返る。役者が揃っていることを確認しながら。
葵「透」
霧島「なんッ──────ッ!?」
透の胸ぐらを掴み、引き寄せそのままキスする。動揺して俺の胸を押して距離を取ろうとする。だが俺は逃がさないように頭を押さえ付け、無理矢理舌をねじ込む。口は人間の第二の性感帯と呼ばれるほど人間にとっては弱い場所だ。特に上顎。そっと優しく上顎を舌でなぞってやればそれに反応して体を震わせる。キスになれていないからか俺の舌に着いていくのに精一杯になり、そのうち立っていられなくなっていた。腰が砕けたところで口を離し、透の体を支える。
霧島「んッ…は、ぁ…??///」
葵「おっと…悪い、加減できなかった」(ボソッ
霧島「な…に…?」
その瞬間俺と透を引き剥がし、自分の元に引き寄せた。
杉原「何してんですか…あんた奥さん居るんじゃないんですか」
葵「なんだよ。ただの挨拶だろ?お前に俺と透の関係をどうこう言われる筋合いはないと思うが?」
杉原「ある。俺は霧島さんの舎弟頭ですから」
葵「それだけだろ?何?お前、透の彼氏なのかよ」
杉原「彼氏…ではないです」
葵「じゃあいいだろ。なんやかんや言われる筋合いはねぇ。じゃあな。また来るぜ」
そう言ってその場を去った。あー、ちょーっとやり過ぎたかな…別に自分が悪者になるくらいなら良いんだが、焚きつけすぎたかもな…ま、後は当人たちに任せますか。キスまでしたんだから進展くらいあってくれよ?
side霧島 透
なんだかよく分からないが葵さんが帰り際に俺にキスしてきた。動揺して直ぐに離れようと思ったが、情けないことに思ったように力が入らなくて…というか葵さんの力が強かったってのもあるが上手く抜け出せず、途中から何が何だか分からなくなってよく覚えてない。気付いたら腰が抜けて自分で立っていられなくなっていた。で、また知らない間に葵さんが帰ってしまって杉原と2人きりになったんだが…気まずい空気が流れる…そりゃあそうだろうなぁ…なんせ自分の上司が元若頭にキスされるなんて非日常的な瞬間を目撃してしまったのだから。暫く沈黙が続いたが、そのうち杉原から口を開く。
杉原「…アレなんですか?」
霧島「なんだよ、あれって…」
杉原「今キスしてたことに決まってんでしょ!?何なんですか!?葵さんって結婚されてるんですよね!?なんで霧島さんにあんなことッ…」
霧島「声デケェよ…俺だって何が何だか分かんねぇんだよ…」
葵さんからあんな事されたのは初めてだし、何より葵さんは本当に奥さん想いな人だから誰かと邪な関係を持つなんてありえない事だ。ならどうして葵さんは俺にキスしたのか…その意図はよく分からねぇが、俺が杉原に抱き寄せられる前の一瞬に葵さんは『頑張れよ』と言って杉原に引き渡した。これは多分…葵さんは俺に気を使ってくれたんだろうな…
杉原「もしかして良からぬ関係とか、そういうのじゃないですよね?」
霧島「はぁ?そんな訳ねぇだろ」
杉原「じゃあ何なんですか!俺に言えないほどの関係ってなんですか!」
霧島「だから葵さんとはそういうのじゃ…」
杉原「…そうですか。分かりました。」
霧島「は?」
杉原「そんなに言いたくないんですね。霧島さんはそういうことしないと思ってました」
頭が真っ白になる。こいつは一体何を言ってるんだ?俺が違うって言ってんのに信じてくれねぇの?いや、違う…目の前であんなの見たらそりゃあそういう関係だと思うしかないよな…でも、それでも信じて欲しかった。変な勘違いはして欲しくない。だから言葉にしようとするのに俺の気持ちとは裏腹に、全く声が出なかった。
霧島「ちが…話を…」
杉原「話なんてもう無いですよ。俺はそういう人に着いていきたいとは思いません。」
嫌だ…行くな…行かないで…もう、一人になりたくない…頼む、話を聞いてくれ…
杉原「正直見損ないました」
多分、これは俺がコイツに1番言って欲しくなかった言葉だったのだろう。自分でもびっくりするほど涙が溢れてきた。
杉原「えっ!?」
霧島「ぁ…」
止めようと目を擦ってみるが止まる気配はない。嫌われたくないがあまりにこんな必死になって…マジで情けねぇ…こんなの俺らしくもない。俺が普段こんなになることも無いから杉原も焦っている様子だった。
杉原「え、ちょッ、なん、なんで、泣いて…」
霧島「……何でもねぇ」
本当のことを言ったら杉原を困らせてしまう。だから言いたくない。困らせたく、ない…
杉原「何でもなかったら泣かないでしょ…?素直に言ってくださいよ、こんな時くらい」
霧島「別に…」
杉原「泣くほど俺に嫌われたくないんですか?」
霧島「そんな…わけ…」
杉原「…そんな顔してたら説得力ないですよ」
自分がどんな顔しているかは分からないが、相当酷い顔をしてるのだろう。こういう時に限って勘が鋭い奴だ。俺が、気づいて欲しくない時に限って…
杉原「どうして嫌われたくないんですか?」
霧島「…言いたくない」
杉原「どうして…?」
霧島「……迷惑、かける…」
杉原「そんなの、なんで霧島さんが決めるんですか…俺が迷惑だっていつ言ったんですか…?」
コイツのこういうところが本当に憎い…憎くいのに、嫌いになれない…俺がお前をどう思ってるか知らないくせに、期待させるようなことばっかり言いやがって…分かってる。お前は優しいから、俺みたいな奴ほっとけないんだろうな。でもそういうのが人を苦しめることもあんだよ…
霧島「やめろ…もういいんだよ…俺に構うな」
杉原「何がいいんですか…ちっとも良くないですよ…俺、霧島さんが好きです。だから1人で抱え込まないで欲しいです」
霧島「好き…?お前が…?」
杉原「?、はい。だから──────」
霧島「やめろよッ!」
駄目だ。これ以上言ったら全部吐き出してしまう。そう思ってるのに苦しくて、どうしようもなくて、止まらない。
杉原「霧島さッ──────」
霧島「なんでッ…なんで、諦めさせてくれないんだよ…分かってる、お前の好きは俺と同じじゃない…なのに、お前が俺をほっといてくれないから、期待、するだろ…」
杉原「なんですか、それ…」
ここまで言ったらもう戻れない。ただ腹が立っただけだ。俺は諦めようと必死だったのに、コイツが俺の気も知らないで構うから。だからこれはただの当てつけだ。どうせその気がないならバッサリ振られてやるよ…
霧島「杉原…好きだ…」
声が震える。何とか絞り出した声は静寂に溶けていった。反応が怖くて下を向いていた。OKなんて貰えないことは重々承知しているし、この気持ちを拒否されるのが何より嫌だった。いつからだったなんて俺にだって分からない。でもこの想いに嘘偽りは無い。今はただ沈黙が辛かった。もういっその事このまま逃げ出していまおうかとも思ったその時にようやく口を開いた。
杉原「ぁ…え…?それ、って…好きって…俺…男ですよ…?」
霧島「そんなの、知ってる…」
杉原「なんで!?いつから!?」
霧島「俺だって分かんねぇよ…」
杉原「はぁぁぁ…マジか…そういうこと…?だったらなんで早く言ってくれないんですか」
霧島「言えるわけねぇだろ…なんで自分から振られに行かないといけねぇんだよ…」
杉原「振られるかどうかなんて分かんないじゃないですか…」
霧島「分かる…お前は別にゲイでもなんでもない」
杉原「それは…」
霧島「だからもういい…叶わないのなんて初めから分かってたことだ。お前には悪いが一思いに振ってくれ。そしたら…諦めがつくから」
杉原「…いやです」
霧島「…は?」
杉原「絶対に嫌です」
霧島「なんで…お前だって迷惑だろ」
杉原「俺の気持ちを勝手に代弁しないで下さい!全然違いますよ!もう寧ろ掠りもしてないです!」
霧島「なに…」
杉原「俺はッ!アンタが葵さんとキスしてるところ見てすげぇ腹立ったんだよ!俺以外の男にあんな蕩けた顔させられてッ…」
霧島「と………なに?」
杉原「兎に角ッ!嫉妬したんです!でもこれが恋愛としての好きだからなのか、俺にはまだよく分からないです…だから俺に時間をくれませんか?それでちゃんと俺が好きだって思えたら…その時は俺から告白させてください」
霧島「そんなの…お前がそうなる事なんて…」
杉原「これは俺の直感ですけど、俺は絶対に貴方に告白します。だから期待してて待っててください」
ない、と言おうとしたら先にそんなことを言われてしまった。その言葉を言い放った本人のことは言いたいことを言ってスッキリしたのか笑みを浮かべていた。こんなこと言われたら流石に期待する他無いだろう。
霧島「…後でやっぱりなしとか言うなよ…その言葉信じるからな」
杉原「はい」
霧島「じゃあ…待ってる」
そう言うと優しい顔を向けてくるから困る。俺が好きな優しい表情だから。心臓が嫌に早くなる。顔に熱が集中するのが分かる。ああだから嫌なんだ…また好きだって自覚させられる。お前が俺をここまで変えたんだからな…責任取ってもらうからな。
つづく…かもしれない…
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