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お久しぶりです(*^^*) ずっと楽しみにしてました✨ 今回の話も面白かったです(((o(*゚▽゚*)o)))
イザナくんのはじめてのおつかいは無事成功をおさめた。年齢を考えれば当然なんだが、あのイザナくんだよ。初対面の年下に対して下僕宣言するし、お兄ちゃんを独り占めできなくてメンヘラ拗らせちゃうイザナくんの成長っぷりに、仕掛け人達はいつからか保護者目線で感激していた。
それからしばらくしてから、今度はマイキーのはじめてのおつかいプロジェクトが実行へうつされることになった。今回の仕掛け人は前回から引き続きエマちゃん、そしてドラケンくんに三ツ谷くん。そしておつかい童貞を卒業したイザナくんである。あとは裏方(主に金担当)でココくんと私ことキリコだ。
イザナくんは元々メンバーには入っていなかったんだけど、おつかいから帰宅した後に「なんで灰谷達がスーパーにいたんだ?」って尾行がバレてたのでネタバラシをしたところ、次のターゲットがマイキーだと聞いて俺もやると言い出したのだ。協力者としてカウントしていいのかはわからないが、まぁ暴走時の対応要員と考えると心強い…。
ということで、マイキーくんの初体験はこのメンバーで全力サポートさせていただきます♡
▽
〜〜はじめてのおつかい マイキーくん(15)〜〜
イザナくんの時と同じように佐野家のキッチンに立つエマちゃんからおつかい指令を出してもらう。ちょうど呼び出す前に、マイキーくんがキッチンに来て冷蔵庫を漁っている。よし、プロジェクト始動!!
エマちゃんが夕飯の準備の手を止めてマイキー君の方を向いて財布とエコバッグを差し出した。「マイキー、ちょっと卵買ってきてほし………あっ、逃げられた」
マイキーはじめてのおつかい 失敗
ーーー完ーーー
「「えっっ!!!!!」」
モニターに映る文字に目を見開いて、思わず大きな声が漏れ出た。ドラケンくんと私が驚いている隣でイザナくんがお腹を抱えて笑っている。モニターを操作していたココくんは必死に笑いを堪えながら顔を逸らして肩を震わしている。
「準備しとけって言われたけど、こんな早く出すことになるとはwww」「だから準備しとけって言っただろww切替タイミング最高だったぞ!」
笑いながら二人は満足げにビッと親指を立てた。
「いやいやいや、さすがにこれで終われないから!!!」
ーーー Take2 ーーー
エマちゃんも驚いていたものの、なんとなくこんな事態も想定していたようでプランBをしっかり提案してくれていた。エマちゃんの指示通り、一人ロケバスを出て佐野家のキッチンに向かう。
『キリちゃんがお願いすれば大丈夫』これがプランBらしいんだけど……私がお願いしたところでマイキーくんが素直に応じてくれるとは思えない。
マイキーくんは女の子には絶対手は上げなさそうだけど……女の言う事を素直に聞くとも思えない。
無謀なプランBはボツにしようとしたんだけど……ドラケンくんやココくんまでそれで大丈夫だって何故か自信満々に言い切った。私、可愛くお願いとか前世でも今世でもしたことないんだけど…どっちかっていうと弱みにぎって拒否権奪う方が得意だと思う…。
ハァーーー…とクソデカため息を吐いてから、「ただいま戻りましたー」と玄関を入ってキッチンへ向かう。中にいたエマちゃんは既にプランBの成功を確信してに口元が緩んでいた。
私の後ろから気配を消したマイキーくんが続いてキッチンへ入ってきたので、エマちゃんが大きな目をパチンと瞑って合図を送ってくる。美少女のウィンクの破壊力って凄い♡…じゃなくて、作戦実行ってことね…
「エマちゃん、今日の夕飯は何?」「オムライスにしようと思ったんだけど、卵切らしてて…」「私が買ってこようか?」「いや、キリちゃんには他にお願いしたいことあるから…」
チラッとエマちゃんはマイキーくんの方に目線を向けるが、マイキーくんは一切こちらを見ずにお饅頭を頬張っていた。
……あっ、それ最後の一個は食べてない真一郎くんにって残してたやつだ。
「そっか、じゃあマイキーくん、卵買ってきてくれる?」
名前を呼ばれると、饅頭を頬張ったままこちらを向いた。テーブルの上に置かれたお財布とエコバッグを差し出した私の手元を真っ黒の瞳で私の顔をジーッと見ているのだが、その表情からはYESとも NOとも読み取れない。
マイキーくんの反応が読み取れないので、エマちゃんに助けを求める視線を向けると、再びパチンとウィンクが返ってきた。これって……可愛くお願いしろって…こと……よね?
あーーーーー!!!!企画成功のためには、もう恥も捨ててやり切るしかないっっ!!!
脳内で雄叫びを上げると、スゥっと息を吸ってから…首を少し傾げて「お願い」と自分の中では精一杯の可愛いお願いをしてみた。
自分でやっててキツイことはわかってる!!!!こんなの私のキャラじゃない!!!!それ以前に精神年齢26歳の私がやっていい行動ではない!!!!きっとロケバスの中は盛大に爆笑しているんだろう!!!!クソッッッ!!!!!!
盛大に自己嫌悪を決めてから、恐る恐るマイキーくんの様子を見ると……驚いた顔をしていた。…うん、だよね。ビックリするよね。驚かすようなことしてゴメン。
マイキーくんの手がゆっくりとこちらに伸びてきて、私が差し出したままになっていたエコバッグを掴んだ。
可愛くおねだり作戦成功!?マジで!?!?何か変な病気とか心配されて、代わりに買い物行くぜの精神かもしれない…どんな理由であれ、マイキーくんをおつかいに行かせるための作戦だったので成功と言っていいだろう!!
「ありがとう!マイキーくんが行ってくれるの助かる!!!イザナくんも最近よくお手伝いしてくれるし♪」
安心して饒舌に喋り出した私の言葉にマイキーくんの手が止まった。
「………………じゃん…」「…ん?」
「それなら……イザナに頼めばいいじゃん!!!!!」
私の手ごとエコバッグを払い除けると、こちらに背を向けて椅子の上に立てた膝に額を当ててしまった。マイキーくんの急な感情の変化に、え?なんで?と脳内にクエスチョンマークを浮かべていると、乾いた笑い声と共にイザナくんがキッチンに入ってきた。
「そんなガキみてぇに拗ねてるやつに買い物なんて出来ねぇよ。俺が代わりに行ってきてやる」
イザナくんは私の手からエコバッグを取るとマイキーくんの前に歩み出て、俯いたままのマイキーの目の前でエコバッグを振って煽るように告げる。
「ガキじゃねぇし!!!!俺だって買い物くらいできるから!!!!!」
ガバッと顔を上げるとイザナくんからエコバッグを奪い取って走り出ていってしまった。
イザナくんの鮮やかな手腕によって、マイキーくんのはじめてのおつかいは無事にスタートできたようだ。
今までは暴力でしか支配してこなかったイザナくんだが、株式会社黒龍を取り仕切るようになってからは、暴力だけでは人を動かせないことを実感したようだ。ちょうど周囲に手本になるような人も多かった。ケンカも女もからっきしだけど周囲から慕われる真一郎が兄であり、金のために周囲を自分の都合よく動かす九井が経理として働いているし、自分の魅力を最大限に活かして周囲を動かす灰谷兄弟もいる。
こういう戦い方もあるのかと暴力以外での支配の楽しさに目覚めたイザナくんは、自分の持ちうる武器を最大限に生かしたり、相手によって自分の魅せ方を変えるなど、持ち前の器用さで頭角を表してきたようだ。
イザナくんの急激な成長を目の当たりにして、エマちゃんと二人で目を丸くしていると、女と約束があるからと色気を振り撒きながら出て行ってしまった。
地雷系メンヘラだったイザナくんが大人になった………。
衝撃的なイザナくんの発言はひとまず置いておいて…………無事マイキーくんのはじめてのおつかいが始まったので、気を取り直してマイキーくんの様子を見にロケバスに向かおう。
▽
エマちゃんと二人でロケバスに入ると、すでにマイキーくんは第一関門に到達するところだった。
エコバッグをぶら下げたマイキーくんの前に現れたのは、仕掛けである人三ツ谷先輩とパーちん先輩、ぺーやん先輩だ。ちなみにこの企画を知ってるのは三ツ谷先輩だけである。残りの2人には何も伝えていない…。なんでって?……そりゃ…まぁ……パーちん先輩とぺーやん先輩だから。
3人にはマイキーくんを遊びに誘ってもらう。マイキーくんは誘惑に負けずに、おつかいを続けられるのか!?
「よぉマイキー、何してんだ?」「俺ら今からファミレス行くんだけど、マイキーも一緒に行かねぇか?」
企画も知らないのに、予想通りに動いてくれる2人。しかし、忙しいからとそそくさと立ち去ろうとするマイキーくん。
ロケバスの中でエマちゃんとドラケンくんが「おぉ!」と歓声を上げた、が…
「期間限定で餡子使ったパフェもあるらしいぞ」
追撃とばかりに三ツ谷先輩は放った口撃で、立ち去ろうとするマイキーくんの足が止まる。
「餡子…のパフェ?」「あぁ、今日までの期間限定だったな」
三ツ谷先輩がさらに魅惑的な言葉で誘惑する。モニター越しでもマイキーくんが揺らいでいるのが見て取れる。首だけ振り向いていたが、足元が引き返そうとジリジリと後ろに向いてきている。
…また、あのテロップが表示されるのか。
そう思った矢先にパーちん先輩がマイキーくんの手元にあるピンクのクマ柄のエコバッグに気付いた。
「マイキー、それ何だ?」「パーちん、それはエコバッグっていって、買い物する時に持ってくやつ」「買い物?買ったやつって家まで配達してくれんじゃねぇのか?」
思わぬセレブ発言で、お坊ちゃんだったことを思い出させてくれるパーちん先輩。
「マイキー、お前ひとりで買い物行けんのか!!すげぇな!!」「俺なら手伝いとか面倒で逃げるけど、流石マイキーだな」
天然100%の純粋な褒め言葉にマイキーは嬉しそうにドヤ顔を浮かべる。……めちゃくちゃドヤってるけど、マイキーくんもこれが初めてのおつかいだし、まだ成功してないからね。
妨害役の三ツ谷先輩もピュアパーティンとピュアペーイャンには敵わないとばかりに、妨害をやめて「そろそろタイムセール始まるから急いだ方がいいぞ」とマイキーの背中を押した。
「おう!」と元気に3人に手を振って別れて、マイキーくんは足早にスーパーへ向かった。
«第一関門 突破»
▽
無事目的のスーパーに到着すると、ちょうどタイムセールが始まったのか混雑する人の間を抜けてうろうろと彷徨って、なんとか目的の卵を発見する。エマちゃんに言われた通り、パックを2つ籠に入れてレジに向かう。
その時隣にいたエマちゃんが、「しまった…今日は特売日だったんだ」と声を漏らした。どういうことだろうと思ったが、言葉の意味はすぐにわかった。
レジに進んだマイキーくんだが、レジのお姉さんと揉めているようだ。エマちゃんの説明によると、卵の特売日は1人1個までしか買えないらしい。
さすがにそこまでの試練を与えるつもりはなかったし、誰か手助けに向かわせようかと思った矢先、マイキーくんに近づく人影が見えた。
「おい、何やってんだ?買い物終わったのか?」
イザナくんだった。
プイと顔を背けて何も答えないマイキーくんに変わってレジのお姉さんが説明してくれた。2人なら大丈夫と、お姉さんはレジを通してくれたので、イザナくんが財布を出して会計を済ませる。
マイキーくんは納得いかない様子だったが、レジに行列ができ始めたのに気付いたイザナくんがマイキーくんをサッカー台に促す。
イザナくんと一緒に入ってきていた女性が2人に近づくと、イザナくんは申し訳なさそうに女性の方を向く。
「ミチコ、悪ぃな。俺の分の卵買えなくて…」「それは構わないけど、こっちは弟さん?」
マイキーは仏頂面のまま顔を上げて女性の方を向いた。そこには、私たち母親世代よりもずっと年上で、恰幅の良いおばちゃんがいた。
「イザナってこういう女のがタイプだったのか…」「は?違ぇわ!!!!ミチコは買い物の師匠なだけだ!!」「ふふふ、仲良しの兄弟なのね」「「仲良くねぇ!!!!!!!」」「あら、息もぴったり」
「後は一人で帰れるだろ?さっさと帰れよ」「イザナくん、今日は弟さんと一緒に行ってあげたら?」「イザナの助けなんていらねぇし!!さっきも俺一人でなんとか出来たもん!!!」
卵をエコバッグに突っ込むと、ベーッと舌を出して出口に向かって走り去った。その姿を目で追いながらイザナは無意識に優しい笑みを浮かべていた。
「あらあら、行っちゃった。初めて会った時のイーちゃんにそっくりね」「俺はあいつのニィだからな…」
«第二関門 突破»
もうクリアでもいいんじゃないだろうか。初めてのおつかい成功!!って出しちゃっていいんじゃないだろうか。
そんなことよりもイザナくんが女と会うと言っていた相手が、以前イザナくんのはじめてのおつかいの時に手伝ってくれた女性だったとは…。最近色気が増してきたのはミチコさんのおかげなのか…。不倫じゃないといいけど…。
そんな見当違いの考えを思い巡らせていると、マイキーくんは最後の試練に到達した。
▽
平和そうな街並みに不釣り合いのイカつい顔をした集団がテンプレのごとく唐突にマイキーくんに絡んだ。
ちなみに全員仕込みだ。ワカさんのとこのジムの精鋭を集めてもらった。対マイキー戦と伝えたら、これでも足りねぇと思うけどといって総勢30名の命知らずが揃えられた。命さえあれば治療は全部私がするから頑張ってほしい…。
マイキーは先頭の数人を軽くいなして立ち去ろうとするが、全員が一斉に襲い掛かる。ちなみに集団の狙いはマイキー…の手に持ったエコバッグだ。
30人程度じゃマイキーくんを倒すことは出来ないだろうけど、マイキーくんの手に持った卵を破壊することは出来る……かもしれない。マイキーくんは卵を守り切れるのか!?
襲い掛かる集団を華麗に交わしながら、一撃で順に倒していく。ワカさんとこの精鋭といえども無敵のマイキー相手じゃ厳しいのか…そう思ったのだが、マイキーくんが飛び蹴りを決めて着地した瞬間に手に持っていた卵が道に置かれていた看板に直撃した。
すぐにバッグの中を覗き込んだが、その表情から卵が無事ではないのはわかった。そして、その場にいる集団も無事ではなくなることもわかった……。
「逃げろ!!」とインカムで指示が飛んでいるが、マイキーくんの眼光に誰も動けないようだ。
「どいつから死にてぇ?」
▽
結果から説明すると、死者は出なかった。奇跡的に重症者もいなかった。軽傷者はワカさんとこで手当てしてもらったので、私の闇医者としての仕事はなかった。
激怒したマイキーくんが集団に襲い掛かろうとした時に、イザナくんが後から駆け寄ってきた。怒りに任せたマイキーくんの拳を受け止めると、その後も全ての攻撃を受け流して、後ろに倒れている集団に「さっさと逃げろ」と指示を出した。そして全員が逃げ切ったのを確認すると、マイキーくんを後ろから羽交い締めにしたままミチコさんの元へ引き摺っていく。
「ミチコ、悪ぃ。卵譲ってくれ」「それは構わないけど…お願いする時は本人がちゃんと言わなきゃ」「おい、マイキー」
暴れるマイキーの体を離すと、肘で小突いた。解放されて暴れるのをやめたマイキーはミチコさんの顔をジッと見上げた。そして、再び俯き頭をペコっと下げた。
「卵…ください…」
ふふっと笑いながらミチコさんは卵とどら焼きをマイキーくんに差し出した。
「こっちはイーちゃんが今日のお使い成功したご褒美にって買ってたのよ」「おい、言うなって!!!」
兄弟愛…尊い…………。
隣を見るとエマちゃんは涙が止まらないようで、ドラケンくんの胸にしがみついてる。ドラケンくんもマイキーくんが頭を下げたことに偉く感動して、エマちゃんを抱きしめている。
そして……いつの間にかロケバスに乗り込んでいた真一郎くんが顔中から体液を垂れ流しながら感動してた。
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手塚桐子(てづか きりこ)
イザナくんとマイキーくんの急成長を母親的視点で見ていた。あれ?私、産んだ?いや、遺伝子的にあんな美形は産めない。
「これは映像をDVDにして永久保存版にする!!編集はプロに頼む!!いくらかかってもいいから最高の編集を!!!」
マイキー
今回のターゲット。イザナが成長してキリコやエマに頼りにされているのが面白くない。俺だって大人だから買い物くらい出来るんだ!ってドヤ顔したけど、旗付きのオムライスを頬張ってた。
イザナ
大人の階段登っちゃった人。ミチコは理想の母…ではなく理想のオカン。
エマ
マイキーの成長に感動していたら、ドラケンに抱き付いていて、後で真っ赤になって慌てふためいた。
ドラケン
マイキーの成長に感動していたら、エマを抱きしめていて、後で真っ赤になって慌てふためいた。
万作爺ちゃん&真一郎
DVDを何度もリピートした。近所に配布用に大量に焼き増した。
前回投稿したのがいつなんでしょうか…
最近はずっと開いていませんでしたが別のアプリの方でテラーをやってる方と知り合ってからテラーを開くことにしました
待っていてくださった皆様、本当にありがとうございました😭