はい、どうもみなさんこんにちは!レオです!
今回は、橙桃で幽霊パロ書いてみようと思います!
苦手な方は自分の推しCPを拝んでください。
それではさっそくやっていきましょう!
「ん、朝…」
俺は橙。どこにでもいるごくごく普通の大学生。
今日は休日。焦る必要もないのでゆっくりと体を起こし、着替えるべくクローゼットの扉を開けた。
………のだが。
そこには、いわゆる「幽霊」がいた。
そりゃびっくりしたが、あまりにもリアルすぎて一周回って冷静になってしまった。
その幽霊は、くすんだピンク色のぼさぼさとした重そうな髪を腰まで伸ばしており、瑠璃色の瞳は焦点を失っていた。
所々赤いしみのついている元は白いであろう服を身にまとっている幽霊は、ゆっくりともたれかかるように襲ってきた。
が、びっくりするほど動きが遅いので、その動作は簡単に封じられた。
俺の手が幽霊に触れた瞬間、ふとこの子を綺麗にしてやりたいという思いが芽生えた。
ちょっと精神病行った方がいいかもしれへん。
「…君、歩ける?」
…いや、改めて俺なに聞いてん?
「…。」
聞いてみたところ無視されたので腕を引っ張ってみると、簡単についてきた。
幽霊が俺のこと警戒しないから逆に俺が警戒してまうわ、ほんまに。
というわけでまずはお風呂。
俺は風呂に入らないので濡れてもいい服を着た状態で幽霊に服を脱ぐことを促すと、訝しんで小さく首をかしげたので今から体を洗うということを伝えた。
すると幽霊は、スローモーションを疑うほどにゆっくりと服を脱ぎ始めた。
風呂に入りバスチェアの上に座らせると、失礼しますと言ってまずは伸びに伸びきった髪の毛を洗い始めた。
優しく頭皮をマッサージするように髪の毛を洗っていると、だんだん幽霊の顔に感情が戻ってきたかのように感じられた。
「ここ、気持ちいい?」
「…。」
…まだ心は開いてくれそうにないが。
髪の毛を洗い終わり、くすんでいた髪の毛に少しツヤが戻った気がする。
体もしっかり洗い終わり、湯船につからせる。
ちゃぽんと音が鳴り、幽霊の瞳が向かい合った俺の瞳とバチッとあう。
「君、名前なんて言うん?俺は橙っていうんやけど。」
そう問いかけてみると、一ミリも動かずに小さな口を開いた。
「…桃…。」
口から出たよく響く声に少し戸惑ったが、初めて声を聴いた瞬間だった。
「桃って言うんや!なら、桃ちゃんでどうや?」
空気を和ませるためにあだ名をつけてみたのだが、無反応。
少し困ったが、とりあえず嫌がっている様子もないのでそのまま呼ぶことを決意した。
それから数十分経ち、お風呂を出ようと提案した。
バスタオルを渡してもタオルを見つめたまま動こうとしない桃ちゃんにしびれを切らし、俺が拭いてあげることにした。
だが、着る服がない。
もともと来ていた服は物騒なしみがたくさんついてあったので、許可を得て捨てることにした。
仕方がないので俺が持っている服の中で一番小さめサイズの服を着させたのだが、俺より身長が低いのでかなりオーバーサイズになってしまった。
まぁそれは仕方がないということで許してもらおう。
と、ここで俺のお腹からきゅるきゅると音が鳴った。
時計を見ると、もう10時。遅めの朝食を作るためにキッチンへと向かう。
「…そういえば幽霊って、何か食べたりとかするん?」
ふと疑問に思ったので、隣にいるはずの桃ちゃんに聞いてみた。
…のだが。
姿が見当たらない。
視線を彷徨わせていると、ソファーにちょこんと体育座りをして、ぽーっと俺を見つめている桃ちゃんが目に入った。
…いや可愛いかよ。
不覚にもそう思ってしまった。
返事を返してくれないので桃ちゃんの分は念のため作っておいた。
もし食べなかったら…そしたら冷蔵庫行きとなり、時間がたった後に俺が食べるので特に問題はない。
「はい。これ一応作ったんやけど、食べれる?」
コトッと音を立ててテーブルを滑った皿に桃ちゃんは鼻を近づけた。
何をするんだろうと思った矢先、桃ちゃんはくんくんと嗅ぎ始めた。
…え、匂いでわかるもんなん?
疑問に思ったのもつかの間、桃ちゃんは近くにあったフォークにウインナーをぷすっと刺した。
肉汁が溢れ出ているウインナーを無感情に見つめ、その小さな口に入る限りほおばった。
本当に小さな口なのでウインナー一本に何回もかぶりつかなければならないのだが、俺はそんなことよりも黙々とウインナーを食している桃ちゃんを見てほっと息をついた。
少し桃ちゃんを観察した後、そろそろ俺も食べようと目玉焼きが乗った食パンを手にとった。
その後は正直そこまで普段の生活と変わりないのだが、ただ唯一大きく変わったことと言えば、桃ちゃんが少しだけだが心を開いてくれたこと。
食器を洗っている時には自分から手渡してくれたし、洗濯を干しているときには一生懸命に背伸びして服を干してくれた。その全ての動きが愛らしく思ってしまい、何か他の誰かに渡したくないと感じるようになった。
桃ちゃんはというと、最初にクローゼットに入っていた時より明らかに楽しそうだった。少しずつだが会話も交わすようになってきたし、今の状態なら少しコミュ障の人間として通じそうだった。
というわけで、桃ちゃんにはもっと綺麗になってもらう。
少し準備をしてから、俺は桃ちゃんを連れて外へ出た。
からっと晴れた空は風が吹いていて暑くはなく、むしろ涼しいまである。
数分歩いた後、見慣れた場所の前で立ち止まった。
そこは、俺の行きつけの美容院だった。
少しコミュ障の人間というのは、あくまでもしゃべる頻度の話だ。
服は俺のだからまだしも、髪の毛が明らかにこの世のものではない。
一応結ばせてみたのだが、不器用な俺では本末転倒だった。
ここはもう、プロに頼むのが一番いい。
桃ちゃんはスタッフにどういう髪型にするか聞かれても分からないといったように首をかしげる一方だった。
気まずい雰囲気になっている二人の間に割って入り、「お任せでよろしくお願いします!!」と少し食い気味でお願いする俺に、スタッフは若干引きながら了解してくれた。
数十分後。
少し遠めの椅子に腰かけスマホを見ていた俺の耳に、「おお…!」という数人の声が届いた。
なんだろうと声のする方に目を向けてみると、そこには別人のようになった桃ちゃんが相変わらず無表情で鏡越しにスタッフたちを見つめていた。
重たく長かった前髪や後ろ髪を切ってもらった桃ちゃんは、この上なく整った顔をしていた。
その後、会計を済ませるまで桃ちゃんはその場にいた大人たち全員からちやほやされていた。
あまりの多くの人に少し酔い気味な桃ちゃんを連れてなんとか外に出た。
途中、桃ちゃんは行きかう女子全般に振り向かれていたのは言うまでもない。
よく見ると桃ちゃんはとても大きくつぶらな瞳をしており、二重はとても綺麗。鼻はすっと通っていて、そのすぐ下にはピンク色で小さい、きゅっと結んだ口があった。
行きかう人々や美容院で多くの人が驚くのも納得でしかない。
と、一人納得している俺は、横から見つめている桃ちゃんの視線に気付かなかった。
「あ、そういえば桃ちゃん、どっか行きたいとことかある?」
せっかくなので今日は楽しみたい。幽霊だから害を及ぼすとは限らないし、なによりこんな華奢な桃ちゃんが俺に攻撃できるとはそうそう思えなかったので、そう提案してみる。
すると、桃ちゃんは少し期待したような瞳で俺のことを見てきた。
「うーん…例えばそうだなぁ、遊園地とかどうや?」
近場でかつほとんどの人が楽しめる場所と言えば遊園地。
隣で歩いている桃ちゃんの方を見てみると、一見無表情だが目は少しキラキラしていて、こくこくと頷いて。
「ゆう、えんち…。行きたい、、、!」
拙い言葉で一生懸命喋ってくれた桃ちゃんに少し驚いたが、そこまで行きたいのならとすぐ近くの駅に移動した。
電車で揺られること数十分。
遊園地の最寄りの駅につくまであと少しというとことろで車内が大きく揺れた。
隣で腕をくっと伸ばし吊革につかまっている桃ちゃんがぐらっと倒れそうになったとき、間一髪で背中に手を回すことができた。
「あ、…大丈夫?」
幽霊とはいえ相手は華奢で、服や髪を変えれば美少女でも通じそうなほどの美人だ。なぜかドクドクと波打つ心臓の鼓動がバレませんようにと願いながら桃ちゃんの体を支えた。
「あ、りが…とぅ…」
心なしか少し桃ちゃんの少し紅潮している頬に気付かないふりをして、次の駅で降りた。
そのあとはまさに天国だった。
現地で買ったポップコーンをちまちまと口に運ぶ桃ちゃんはとても幸せそうだったし、お化け屋敷に入った時には幽霊のくせしてとてもびくびくしていた。
その全ての桃ちゃんが愛らしくて、なんだか守りたくなるような気持ちになった。
パレードを見たり買い物をしたりして楽しい時間を過ごすこと約数時間。
気づけば日はかなり落ち、オレンジ色の空とピンク色の雲が浮かぶ空を桃ちゃんと観覧車で見つめていた。
せっかくなのでそこで写真を撮ろうと提案してみると、うきうきとした表情でこちらを見てくれた。
スマホを起動し、カメラアプリを開くと自撮りモードにしてから桃ちゃんの方に寄る。
パシャ、
と機械的な効果音がして写真が保存された。
これから桃ちゃんと暮らすのか。どうするのかははっきり決めていないけど、だからこそ桃ちゃんと居れる今を大切にしたいと思った。
観覧車から降りたところでそろそろ帰ろうかといい、くたくたの足を動かして最寄駅まで行った。
揺れる車内で奇跡的に空いていた座席に座り桃ちゃんとしばらく話していたが、だんだんとむにゃむにゃと呂律が回らなくなってきた桃ちゃんに眠いのかと聞くとこくっと頷いた。
眠いのなら無理して起きている必要はないので、降りる駅に来たら起こすからと寝かせた。
そうして電車に揺られること数十分。
まだ眠そうな桃ちゃんを起こしマンションまで戻ってくると、玄関で靴をそろえて脱いだ。その動作を見つめていた桃ちゃんは、これまた俺があげた靴をかかととかかとが合うようにそろえた。
そして少し口角の上がったような桃ちゃんは俺の方を向いて何かを期待したような視線を向けた。
何のことかわからなかった俺は、「どしたん?」と聞くと、桃ちゃんはとたんに頬をぷくっと膨らませ、細い腕で俺の手を自分の頭上まで持ち上げると、頭にぽんと俺の手を乗せた。
桃ちゃんの意図に気付き、手を左右に動かしてやると、満足そうに笑って見せた。
その笑顔は、まるで幽霊だということを忘れそうなくらい眩しかった。
その後、二人でテレビを見ていたがお腹が空いてきたので夕食を作ろうとキッチンに立った。
毎度の如く桃ちゃんがとてとてと着いてきたのだが。
…桃ちゃんの体は。
半透明になっていた。
「さ、…桃ちゃん…、その体…!」
最初は何のことかわからないようだった桃ちゃんだったが、指さされた部分を見てみると、桃ちゃんも気づいたようだった。
びっくりしたように、だがどこかこうなることがわかっていたかのような表情をした桃ちゃんはじわじわと目に涙を溜めていき、ついにぺたっと座り、俯いてしまった。
そんな桃ちゃんを壊さないよう、優しく包み込むように抱きしめると今まで溜めていたものが溢れるかのように一生懸命言葉を紡いでくれた。
「俺…、もうすぐ…成仏して…っ、」
「俺は…、誰かに、橙に。
…愛されるべきじゃなかったんだ…っ」
「俺がここで…やり残したこと、幽霊になった理由…、は…」
「っ、…誰かに、愛されたかったから…。」
そこまで言って、俺は無意識に桃ちゃんを抱きしめる力が強くなっていた。
そうしている間にも、桃ちゃんの体は散っていく。
桃ちゃんを大事に大事に包み込みながら、桃ちゃんの言葉を聞き逃さないように耳を傾ける。
「…、俺人間のときいじめられてて…っ、いろんな人が俺が視界に入るだけで何かを投げつけたり…、してきて、」
「…すごく辛くて。耐えきれなくなって。…自殺して。」
「…やっと楽になれると思ったのに…、幽霊になっちゃって。」
「…俺は何もしてないのに、幽霊になったら前よりひどい扱いで…っ。」
「もう何が何だかわかんなくなっちゃって。たまたまクローゼットで隠れてたら…、橙が開けてきて。」
「…何されるか分かんなかったから、せめて幽霊らしく脅そうとしたんだけど…、橙には敵わなくて…。」
「…もう終わりだって思った。
…けど、橙は俺のことを気にかけてくれた。
……愛してくれた。」
「…俺はやっぱり、誰かに愛されるべきじゃなかったってっ…。」
「………ありがとう…。橙…。」
全てを吐き出した桃はくったりと力を抜き、目を瞑った。
「俺はまだ、桃ちゃんになんもやってあげてない…。やから、ありがとうなんて言わんとって?」
俺はそこまで言って、桃と最後の約束を交わそうと溢れ出そうになる涙を堪えてこういった。
「……なぁ桃。」
「生まれ変わったら…。」
「俺のとこおいで。」
「…………これ、約束。絶対、絶対。
破ったらあかんで?…っ」
胸の中で涙を流す桃にそう伝えると、ついに桃は完全に成仏した。
「…うん、約束。絶対絶対、あいにくる、から……」
桃ちゃんが言った最後の言葉。
その後俺は少しの間放心進状態になっていて、桃ちゃんは成仏できてよかったんだと、そう思い込ませていた。
まだ君に、好きと伝えられていないのに…………
―数年後―
いつも通りのある日。
俺はとある美容院の前まで来た。
ここには、探し人がいるかのような気がして。
まぁ、当然見つかるわけないのだが。
と、後ろから足に子供が抱き着いてきた。父親と間違えたのだろうか。
そう思って振り返ってみると、キラキラと眩しい笑顔の少年が俺を見上げていた。
そのあどけない笑顔には、見覚えがあった。
すぐに母親らしき人が近づいてきて、ごめんなさいごめんなさいと謝りながらその子供を剥がした。
何か物足りなさそうにチラチラと振り向く少年に、母親らしき人はこう言った。
「もう、だめじゃない!知らない人に迷惑かけたら!全く…。ほら、おうちに帰ったら今日のおやつ食べるんでしょ?
はい、どうだったでしょうか!
…なんなんだろうね、この没作品。
ノベル書き終わってこんなに達成感がないの初めてかもしれない。
最後のエピローグ的なとこ一番没。
そんじゃもう終わりにします☆(((なんだこいつ
これがいいなって思ってくださった方はぜひ♡とコメント、あとフォローもよろしくお願いします!モチベになるんでね。
ここまで見てくれたそこの君!本当にありがとうございます!
それじゃあみなさん、ばいばい!
コメント
2件
ら ぶ で す 。 ( )
好きです..... ( こういうのまじで好きです.... 天才か何かの方で.... ( (