「おかえり。ノワエ。」
誰かの手が俺の頬に触れる。
ただいま。
ずっとその一言が言いたかった。
よくわからないけどそんな気がした。
瞼が重くなる。
視界が狭くなる。
そして俺は目を閉じた。
「起きて!ノワエ!」
「ハッ!!」
勢いよく目を開ける。
「….ん。…ポース。….髪…短くなって…..」
「寝ぼけているのなら、蹴ってあげる」
「…俺..長い、夢….見てた。」
「そう。なら早く帰ろう」
沢山の果物が入ったバケットを持ちノワエの寝ていた木の下から離れ
広大な大地を歩き
家と向かってしまう。
「あっ!待てよ!ポース!」
後を追う様にノワエはバケットを持ち走り出したが、
「あわっ!!」
派手に転んでしまった。
と、思ったが。
「浮遊」
「うわぁっ!ポース。助かった。ありがとう」
「しっかりして。怪我したらまた義母さんに怒られる」
「あぁ?いや大丈夫だろ。」
そうしてポースはまたスタスタ歩き出した。
青い空。雲は何一つない。
ヤルコラ大草原は沢山の魔法花に溢れている。
ポースが歩いた道は、花が散っていく。
そして風に揺られて
自由にどこか遠くの空へ飛んでいってしまう。
「ポース!先に行くなよ大体、お前は….」
「口封じ」
「んーっ!んー!」
「うるさい。貴方はいつもそう。」
「んーっ!」
「解除」
「悪かった、ポース」
そうして、二人はヤルコラ大草原を抜け
オアシス都市 コトーン
へと向かった。
「いや、いつに増しても魔法ってのはすげぇなぁ。俺らノーマルからは想像もつかないことをやってのける。ポースはいつからだ?魔法使える様になったの。」
手を後頭部にやりながらノワエはポースに言った。
二人はコトーンにある自分たちの家を目指している。
「確か。2歳。」
「10年でそんだけ、上手くなったのかよ」
「うるさい。また魔法かけるよ」
「悪かったって」
「あら、ポースちゃん。ノワを見つけてくれてありがとね。」
ノワエの母。エマがポースを抱きしめる。
ノワエとポースは血は繋がっていないが同じ家で暮らしている。
「いえ。幼馴染ですから。」
「ノワエ!あんたはいつも!」
耳を引っ張りながらノワエに言い聞かせる。
「うるさい、いいじゃねぇかよ別に、自由にどこかで寝てたって。」
「そうじゃない、あんたはノーマル!魔法が使えないから!魔物に襲われた時どうするの!ノワエ!!」
ノワエは家を飛び出して行った。
「はぁ。」
「義母さん。大丈夫。私が守るから」
そして、ポースはノワエを追いかける。
「箒、借ります。」
そしてポースは箒に跨り
「飛べ」
そして箒が浮き上がり
「行ってきます!」
ノワエを探しに行った。
第一章
1話。
『魔法の世界』
コメント
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そういやチョキ様、ルビってどうやって振ったんですか? 全く分からないんですが…
チョキ様のファンタジー…だと……!? 世界観すげぇっすね…