#10 ”最期に残したもの”
[佐野side]
佐野)こんにちは
末母)あ!いらっしゃい
末母)急にごめんね、
末母)佐野くんに渡したいものがあって
佐野)渡したいもの?
末母)ちょっとそこ座って待ってて
佐野)はい
あ、誠也くんの写真だ
隣はお兄さんかな?
入学式という文字の横に小さい誠也くんと
誠也くんよりは大きい子供が写っていた
前来たときは気付かなかったけど
かなり写真が多い
家族みんな仲良しだったんだな、、
末母)お待たせ
と写真を見てたらスマホを前に置かれた
それには見覚えがあった
末母)これね、
末母)誠也のスマホで、こないだ警察の人に返されたの
佐野)それで、どうして僕に?
末母)あなたに聞いてほしいことがあったから
佐野)僕に??
末母)この音声メッセージ、
末母)実は誠也が、亡くなる直前に録音したみたいで
末母)送信される前で消えてたんだけど
末母)警察の人が復元してくれたのよ
末母)佐野くん、聴いてみて
誠也くんからのラストメッセージ、、?
俺はスマホに手を伸ばした
けど
途中で止めてしまった
末母)どうしたの?
佐野)、、、これが誠也くんの最期の言葉だと思うと
佐野)なんか、なんでか、怖くて
末母)大丈夫、大丈夫
泣きそうな子供を落ち着かせるような
優しい声で言ってくれた
末母)それに絶対聴いたほうがいいよ
佐野)絶対?
末母)うん、聴かなかったら後悔する
佐野)わかりました
俺はスマホをとった
そして渡されたイヤホンを取り付け
覚悟を決めた
(再生ボタン)ポチッ
〖末澤〗はぁはぁ、まさや、俺もうたぶんダメだ笑
つらそうな声が一番に聴こえてきた
胸が痛かった
でも死にそうなのになに笑ってんねんって
ツッコミを心の中で入れてなんとか保った
後から思えばそれを狙ってたのかもしれない
〖末澤〗俺は、人生いろいろあった
〖末澤〗つらいこともあった
〖末澤〗でも、楽しいことのほうが多かったわ
〖末澤〗そのほとんどが、いや、全部が
〖末澤〗晶哉との時間や
俺もや、、
〖末澤〗幸せやった、言葉にできんくらい
〖末澤〗俺と出会ってくれてありがとう
〖末澤〗はぁはぁ
〖末澤〗俺がいなくなっても元気でやれよ
〖末澤〗ちゃんと飯くえよ
俺のおかんみたいなこと言わんでくれ、、
〖末澤〗晶哉の人生を楽しめよ
〖末澤〗後悔のないように
〖末澤〗はぁはぁ
〖末澤〗ありがとう、
〖末澤〗愛してる
ガチャン
スマホが落ちた音
終わったんだ
誠也くんの人生が。
泣いた
とにかく泣いた
どれだけたったかわからんぐらい、
泣いた。
佐野)すいません、見苦しい姿を見せてしまって
誠也くんのお母さんは首を横に振った
末母)聴いて後悔した?
佐野)全く笑
末母)でしょ?笑
末母)これからどうするの?
佐野)まだ決めれてません
佐野)ただ、
佐野)前向きに生きます
末母)よかった
末母)それで十分よ
末母)あと、このスマホ持って帰って
佐野)え、でも
末母)佐野くんが持ってたほうが喜ぶと思うの
佐野)では遠慮なく
末母)どうぞどうぞ
佐野)それでは、
佐野)ありがとうございました
末母)うん、じゃあね
佐野)はい!
笑顔でそう答え、末澤家をあとにした
➢〚Epilogue〛
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