テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この話は二次創作です。腐向け、nmmn、hnnm等、苦手な方は閲覧しないようお願いします。何かありましたら非公開とさせていただきますので、ご了承下さい。
それは甘い媚薬のような
見た事ない容器がある。
浴室は暖かく、すでにたっぷりとお湯が溜まっている。僕はとりあえず容器を手に取ってみた。
「ボディソープ……石鹸かあ」
茶色の液体が入ったそれにはそう書いてあったから、僕はそれを置いて髪から洗う。シャンプーとコンディショナーはいつもと同じだから安心だ。ターボーの趣味だと思うけど、なんだかオシャレげなものが多いからちょっとだけ使う時に気を遣ってしまう。
ターボーには「ここにいるんだから好きに使えよ」って言われるんだけど。
「石鹸……」
頭はスッキリしたから、次は見慣れないこの石鹸を使う。昨日までの柑橘っぽい匂いのやつはどうしたんだろ? まだ半分は残ってたのに。
「ん?」
甘い。石鹸に鼻を近づけてみたら、チョコレートの甘い匂いがした。
「あー、バレンタインデー?」
確か、今日は二月十四日。今まで全く縁がない日だったから忘れてたけど、ターボーはそういう記念日を大事にするタイプなのかな? お祭り騒ぎに目がないだけかもしれないけど。
「じゃ、これって……ターボーが僕にチョコレートくれたって事?」
……義理チョコは確か小学生の時にニコちゃんに貰った気がするけど、僕とターボーは一緒に暮らしててお付き合いしてるわけだから……本命、って事、だよね?
「うわー、本命チョコって初めてだあ」
食べれるチョコじゃないけど、なんだかオシャレだしいい気持ち。泡立てたら甘い匂いが浴室中に広がって、チョコレートの中にいる気分になってくる。身体を洗うと、肌がすべすべになった。
「スベスベ……マンジュウガニ、なんちゃって」
一人でいるのをいい事にふざけて遊んでると、カタリと聞こえた。ターボー、帰ってきたかな? 早く会いたくて泡を流して湯船に浸かる。二十数えてから出たら、脱衣所の外から声がした。
「ちょんまげー? 風呂ー?」
「うん、もうすぐ出る」
とりあえず身体を拭いて、パジャマを着る。ちょっと大きいサイズのパジャマは……あれ、
これターボーの?
「ごめん、これターボーのかも」
パジャマで出てくると、ターボーが目を丸くしてた。やばい、大事なパジャマだった?
「えっと、すぐ着替えて……」
「いや、いいよ。そのままで」
いいのかな。でも、ターボーがそう言うんだからいいか。
「今日は早かったんだね」
ターボーは社長という事もあって、なかなか多忙だ。昨日も遅くに帰ってきて、今朝も早くに出ていった。僕は決められた出社時間に行くようにしてるから別で出るけど、身体を壊さないか心配になる。
だから、今日は早い帰宅が嬉しい。
「ま、今日はなあ」
ターボーはそう言って、僕の頭を撫でた。
「晩飯、食った?」
「うん、オムライスにした。ターボーは?」
「俺も食ってきた」
早くに帰ってくるなら、一緒に食べれば良かったな。薄焼き卵は破れたけど、上手にオムライス出来たのに。
そう思ってると、ターボーは僕の首に頭を乗せた。
「早く、ちょんまげを食べたかったから」
……ん? ……僕、を?
「え、まだ何か食べる、とか?」
絶対違うけど、一応訊いてみる。作ろうか? オムライス。
「だから、ちょんまげを」
そのまま鼻を首筋に当ててきて、熱い息を感じる。ヤバい、ヤバい、これって……
「甘い匂いがする」
「それ、ターボーがくれたんでしょ、チョコの石鹸……それに、泡流したら匂わなくなったしっ」
確かに匂わなくなった、はず。手を何度も確認したし。
「そりゃ、ちょんまげの鼻が匂いに慣れただけだろ?」
ターボーはくんくん僕を嗅いで、ついでみたいにベロリと舐めた。
「ハッピー、バレンタインデー。可愛いチョコは、俺が食べるから」
えー、お風呂入ったばっかりなのに。そう思った僕だけど、犬みたいに擦り寄ってくるターボーが可愛くて。
「あー、食べられるー」
おどけてみせると、ターボーが笑う。
「当たり前だろ。恋人が甘い匂いさせて彼シャツしてんだから」
……そう言葉にされると、途端に自分が恥ずかしくなってくるんだけど。何、言葉責めとかいうやつ? やめてやめて。
「顔隠すなって」
いや、今のはターボーが悪いでしょ。抗議の目で睨んだけど、ターボーの笑顔にやっぱりほだされる。
「じゃあ、ターボーは朝お風呂入る?」
「ん、まあそうだな」
「……いつもの石鹸、使ってよ」
だって甘い匂いのターボーを、会社の人に見せたくない。ターボーは僕の大事な人、なんだから。
「おう、一緒に入ろうぜ」
ターボーは笑って僕を抱き上げる。顔が近い。ドキドキする。
「甘いちょんまげは、夜だけでいいからな」
どうやら、僕もいつもの石鹸で洗われるらしい。
「大好きだよ、太輔」
「……僕も、隆弘が好き」
恥ずかしいけど、ちゃんと言葉にする。熱い唇が落ちてきて、ターボーの匂いが僕の匂いが合わさって……甘い媚薬になった気がした。