ピピピッピピピッ
朝5時30分、目覚まし時計が鳴った。紅葉は体を起こして布団を脱ぐ。
「うぅ~寒いっ!」
季節は秋。秋と言っても、殆ど冬に近い。
紅葉はパジャマからジャージに着替え、時計をつけて家を出た。小学5年生の頃から続けている朝のランニングは、最初こそ厳しかったが、今となっては、これなしでは生きられないと言っても過言ではないくらい生活に溶け込んでいる。もちろん、足を速くするため、体力をつけるためなどといったアスリート的な考えがないこともないが、心に手を当てると、それはなんだか違う気がする。
その結果、紅葉は速くなり、中学の陸上部のメンバーには男子でさえも紅葉の右に出るものはいなかった。
「おっす!おはよう!」
紅葉は、朝のランニング仲間である戸田くんと合流して近くの河川敷へ向かった。
いつも戸田と紅葉は、他の人から見たら本当にどうでもいい討論を繰り返しながら河川敷へ向かい、そしてそのまま走り続ける。二人は家を出発するときに準備運動は済ませているので、わざわざ河川敷で行う必要がない。
30分ほどジョギングをしたら、二人で3kmのタイムトライアルをする。そして体操をして帰るというのが二人の日課だった。
そして、6時30分、二人は帰路についた。紅葉の家の近所である河川敷から戸田の家までは時間がかかってしまうので、早めに帰る必要があった。紅葉と戸田は違う中学校に通っており、陸上の大会で友達となったため、それぞれの家は知らない。ただ、戸田はアパートに住んでいるので、もうすぐ一軒家に引っ越して紅葉と同じ中学になると鼻高々に言っていたので、紅葉はそれだけを知っていた。
家へ帰って、シャワーを浴び、学校の準備をした。急いで朝食を食べて玄関から外に出る。すると、もう真宙は来ていた。
「ごめーん!ちょっと待って!」
紅葉は急いで自転車に荷物をくくりつけた。そして、真宙と一緒に学校へ向かった。
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