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放課後、今日は特別な日だ。なんとなく心がそわそわしている。詩音と一緒に帰るつもりだったけど、今日は愛梨と何か話すチャンスがある気がしたから、いつもよりも早めに学校を出ることにした。
校門を出ると、あの冷たい視線が俺を捉えた。愛梨が友達と話している。彼女の表情はいつも通りだが、どこか心を揺さぶるものがあった。俺は少しドキドキしながら、彼女の方へ歩み寄った。
「愛梨!」と声をかけると、彼女の目がこちらを向いた。その瞬間、彼女の表情は少し硬くなった。「何?また私に絡むつもり?」と冷たい声が返ってくる。
「別に絡むつもりじゃ……ちょっと話したいことがあってさ」と、言葉を選ぶのが難しい。何を言えばいいのか、自分でもわからなかった。
愛梨は少し驚いたような顔をしていたが、すぐにその表情を隠して「そんなの別に興味ないし、さっさと用事を済ませてよ」と言った。やっぱりツンツンしてるな……と心の中で思う。
その時、愛梨の友達、華菜が「愛梨、ちょっと待ってよ!」と声をかけてきた。華菜はにこにこしながら俺を見て「愛梨、ちょっと神風と話してあげなよ。彼、結構頑張ってるみたいだし」と言った。
「えっ?それ、全然関係ないから」と愛梨が答えると、華菜は「そんなこと言わずにさ!たまには優しくしてあげたら?」と愛梨を促す。
愛梨は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに顔をしかめて「なんで私がそんなことしなきゃいけないの?」と冷たく返した。
そのやり取りを見て、俺は少し笑ってしまった。「やっぱり愛梨はそういうキャラだよな」と思いつつも、少し悲しい気持ちも抱えていた。
でも、その瞬間、愛梨がちらりと俺を見た。「……神風、ちょっと言いたいことがあるなら、はっきり言ってよ」と少しだけ声を柔らかくした。なんだ、この反応は?
「え、あぁ……実は、あんまり冷たい態度をとられるのも困るんだけど……」と俺が言うと、愛梨は少し考え込んだ様子で口をつぐんだ。
「私、別にお前に興味なんかないから。だから、そのつもりでいて」と愛梨が冷たく言ったが、その声には少しだけ躊躇が混ざっていた。
「そっか……でも、もし愛梨が少しでも俺に対して冷たくしなくなったら、嬉しいなって思うよ」と素直に言った。まさか、こんなことを言う日が来るとは思わなかった。
愛梨はその言葉に何も言わず、ただ黙って俺を見ていた。もしかしたら、彼女の心の奥には何か違う気持ちがあるのかもしれない。
「じゃ、またね。華菜と遊んでくるから」と言い残して、愛梨はその場を去った。なんだかモヤモヤするけど、悪くない気持ちだった。
その後、詩音と合流し、さっきの出来事を話した。「お前、勇気あったじゃん!愛梨にちゃんと言ったのか!」と詩音は嬉しそうに言った。
「まぁ、そうなんだけど……どうなるかわからないからさ」と俺は少し不安になりながら答える。
「でも、神風も少しは進展したんじゃないか?愛梨がどう思っているのか、これからわかるかもしれないしな!」詩音は笑顔を見せた。
そんなやりとりをしながら、俺は愛梨のことを思い返した。彼女の冷たさの裏には、何か特別な感情が隠れている気がした。
これからどうなるのか、少し不安だけど、少なくとも前に進む第一歩は踏み出せたのかもしれない。愛梨との関係も、これから変わっていくのかもしれないと思うと、なんだか胸が高鳴った。
次の日、また会えることを願いながら、俺は少し期待を抱えて学校へ向かうことにした。