中原中也は夢を見る。
現実ではありえないこと。
例え、彼奴が此処に居たとしても。
絶対に夢のようにはならないだろう。
だって、彼奴は、
俺に、愛を囁くわけがないのだから。
目が覚めてしまった。
最悪だ。俺は、ずっとあのままで居たいだなんて、思ってしまった。現実世界の彼奴だったらこうは思わなかったであろう。何時からだろうか。嫌悪感を抱かなくなってしまったのは。否、考えない方が良いのかもしれない。
彼奴が此処を出ていって四年が経とうとしている。もう此処へは戻ってこないだろう。彼奴の席は空白で、何時でも戻って来れたら幹部にまたなるだろう。あの席を守るのは俺の役目。何があっても守らなくちゃいけない。首領の命令でなくても。
仕事に行くために身支度をした。一人で住むには広すぎる部屋を置いて外に出る。鍵を持ってドアを閉めた。中也は大事な帽子を手に持って、ポートマフィアへ向かった。
あの夢の、太宰が言った言葉を、思い出しながら。
“ちゅうや、大好き。愛してる”
“僕の元へ堕ちてきて…?”
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