テラーノベル
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オフィスビルのエントランスを出て、少し歩いたところにある街灯の少ない遊歩道。周囲に人影がないことを確認した瞬間、後ろを歩いていたいるまが、なつの腕を引いてぐいっと引き寄せた。
「……ちょ、いるま! まだ会社からそんなに離れてないって……」
「……もう無理。一日中、なつが遠くて死ぬかと思った」
街灯の淡い光の下、いるまはなつを壁際に追い込むようにして、その細い肩を抱きしめる。
仕事中の「鉄仮面部長」の面影は微塵もなく、そこにあるのは、なつを求めてやまない熱い体温と、少し荒くなった吐息だけだ。
「……なつ。さっきの会議室でのこと、まだドキドキしてる?」
「……うるせーよ。……お前が急に手とか握るからだろ。……心臓に悪いんだよ、バカ」
なつが顔を背けて毒づくけれど、その耳たぶは真っ赤に染まっている。
いるまは愛おしそうに目を細め、なつの首筋にそっと鼻先を寄せた。
「……俺も、心臓壊れそうだった。……なつが他の奴と笑ってるのを見るのも、仕事中に他人行儀な敬語を使われるのも、……全部、俺を焦らせるための作戦だったんだろ?」
「……っ、……そうだよ。……お前がいつも余裕ぶってるから、ちょっと困らせてやろうと思ったんだよ」
なつが白状するように呟くと、いるまはふっと低く笑って、なつの額に自分の額をこつんとぶつけた。
「……大成功だよ。……俺、今なつを離したくない。……このまま家に帰してあげないって言ったら、どうする?」
「……勝手にしろよ。……どうせ、俺が行くところなんて、お前の隣しかないんだから……」
なつの不器用な愛の告白に、いるまの独占欲が甘く溶けていく。
二人は繋いだ手をコートのポケットに忍ばせ、夜の静寂の中を寄り添って歩き出した。
明日になればまた「部長」と「部下」に戻るけれど、今はただ、重なり合う足音だけが二人の幸せを刻んでいた。
〜*Hina*〜
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#ご本人様には関係ありません
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コメント
1件
読み終えました……もう、この2人、尊すぎませんか?🫣 仕事中の鉄仮面とのギャップがたまらないし、なつのツンデレな台詞「勝手にしろよ…お前の隣しかないんだから」が心臓に来ました。夜の遊歩道の甘い空気感もすごく好き。この重なり合う足音の描写、本当に温かいですね。更新ありがとうございます、ほっこりしました🥀