ツララは目を覚ましたばかりだからかボーッとし、一方オーターはツララの頬から手を離して彼を無言で見つめた。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
ー数分後。
ボーッとしていたツララの意識がだんだんとはっきりしてきてオーターを認識すると、ヘニャッと眉を八の字に下げオーターを見つめながら口を開いた。
「オーター。」
「はい。」
「謝って済む事じゃないけど、こんな形で君の初めてを奪ってしまってごめんね。」
謝るツララに、オーターは首を小さく横に振った。
「いいえ。元はと言えば私が勝手にあの薬を飲んだのが悪いです。貴方が謝る必要はどこにもありません。」
「ううん。僕がきちんと管理してなかったのが悪いんだ。だからちゃんと、責任はとるから。」
「責任、ですか?」
「うん。オーター、その・・・君が嫌じゃなかったら僕と付き合いませんか?」
「えっ。」
ツララの申し出にオーターは驚きの声をあげた。
オーターを見つめるツララの瞳は真剣そのもので、彼が冗談などではなく本気な事を伝えていた。
(まさかツララがそのような事を考えていたなんて。無かったことにしようとすればそう出来るのに、そうはせずに責任をとるなんて。・・・真面目なこの人らしいですね。)
「・・・・はい。こんな私でよければ。よろしくお願いします。」
オーターはツララに微笑を浮かべながら返事をした。
「えっ!」
「何ですか、その反応は?」
「だ、だって断ると思ったし、もっと怒ると思ったから。僕から言っといてなんだけど、オーターは本当にいいの?」
ツララの眼差しが真剣なものから不安そうな眼差しに変わり、その様子見ながらオーターは話を続ける。
「いいです。ツララ、私はもともと貴方の真面目なところ、研究熱心なところに好感を持っていましたし、今のようにご自分のした事に対してきちんと責任を取ろうとするところも悪くないと思ったから貴方の申し出を受けたのです。」
「えっ!」
(オーターが僕の事そんな風に思っていたなんて。何か、嬉しいな。)
ツララはオーターの口から出た言葉に驚きと嬉しさでいっぱいになり、腕の中のオーターをギュッと抱きしめた。
「オーター。これからよろしくね。」
「はい、こちらこそ。」
ツララに抱きしめられたままオーターは返事を返し、ふと疑問に思った事を口にした。
「ところで、あの薬は?」
「えと、大体の見当はついてると思うけど・・・媚薬、だよ。」
「そう・・・ですか。それで何故そのような物をお作りに?」
「・・・それは。」
ツララは依頼してきた部下の名前はふせて媚薬を作る事になった経緯を簡単に説明し、それを静かに聞いていたオーターは「なるほど。」と頷いた。
「その部下の方のためにお作りになったのですね。ならば尚更、申し訳ないです。」
「そんな気にしないで!どのみち改良しないとだし。また作るから大丈夫。」
「そう・・・ですか?」
「うん。」
「ならいいですが。ツララ。」
「何?」
「媚薬が完成したら私に教えて下さい。」
「どうして?」
「出来たら効力を試すでしょう?その時、私が協力したいからです。」
「オーター。」
(それって、僕にまた・・・。)
「ツララ?」
「う、うん。分かった。その時はよろしくね。」
「はい。」
オーターの大胆(?)な協力発言に、内心ドキドキしながらそれを誤魔化すようにツララは彼女を抱きしめ続けた。
こうして媚薬をきっかけにツララとオーターの交際が始まる事になるのだった。
そして後日。
オーターの協力のもと、媚薬が完成した。
ツララは部下に媚薬を渡し、そのあと部下は恋人とより親密になれたらしく、ツララは感謝の言葉とともにお礼として防寒グッズを貰ったとか。
コメント
4件
うへへへへ、いーなー、オーター いつもどーり尊かったです!
この 作品 大好き👍🏻✨︎´-