バルドの影が蠢く。
床板が軋み、船の構造そのものが悲鳴を上げるかのように揺れた。
「お前が呪いを振るうなら、その呪いを食らう覚悟はできてるんだろうな?」
葵は笑みを浮かべながら、亡霊たちの呪詛を送り込む。
バルドが生み出した呪い、それをさらに上書きする”復讐者”の怨念。
「バルド、お前の足元に誰がいるか分かるか?」
ドン!!
影から無数の腕が伸び、バルドの巨躯を捕らえた。
それはかつて彼に斬り伏せられた者たちの亡霊――いや、もっと根深い呪いだった。
「……フン。」
バルドは静かに息を吐く。
そして、巨斧を片手で振り上げた。
「ならば、貴様らごと断ち切るまで。」
次の瞬間――
バシュッッ!!
亡霊の群れが、一閃にして吹き飛ばされた。
「ッ……!?」
葵が目を見開く。
バルドの足元を覆っていた影が、一気に霧散していく。
「馬鹿な……!」
「貴様の呪いが、俺を喰らう? 逆だ。」
バルドの声が、甲冑の中で低く響く。
その全身が、不気味に光り始めていた。
「俺は”呪いそのもの”。俺を縛る鎖はない。」
影に囚われていたはずのバルドが、ゆっくりと歩みを進める。
亡霊たちが再び襲いかかるも――
ズバァンッ!!
振るわれた斧の刃が、すべてを両断した。
「ハッ……さすがに、ちょっとやべえな……。」
葵は苦笑しながら、背後に飛び退く。
「けどよ、私が”ただの亡霊”を操るだけだと思うなよ?」
葵の目が鋭く光る。
「まだまだ、”手札”はあんだよ。」
そして――
船の奥から、新たな気配が迫る音がした。
コメント
2件
今回も神ってましたぁぁぁ!!! あー、、なるほどね、、、つまり自分が呪いそのものだから大丈夫ってこと?() まだまだ敵は増える、、その子もバルっちを押し切れるのか、、、? まあでも流石アオたんって感じやねぇ、、(?) 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいいいいぃ!!!!!
おぉぉ…!!どんどん敵(?)が増えてく…!!!これからどうなるんだ…?楽しみです!!