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ぴか
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久遠叶空@活動復帰
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深夜の静かな部屋で、リオラは配信画面のコメント欄を眺めながら、ふっと小さく息を吐いた。
「……はぁー、今日も疲れたわー」
画面の向こうには、いつも通りのにぎやかなリスナーたち。だが、コラボ配信が終わったあとのこの静寂だけは、何度経験しても少し胸がキュッとする。
画面に映る自分のアバターの横には、先ほどまで一緒にゲームをプレイしていた「コウチャンネル」のコウのアバターが、通話を切ったことで灰色のアイコンへと変わっていた。
『リオラくん、今日もありがとー!』
『コウさんとのペアほんと好き』
『二人の空気感最高だったww』
流れていくコメントを適当にあしらいながら、リオラは配信を終了するボタンを押した。
「おつ〜。ほな、またな〜」
配信ソフトを閉じ、ヘッドセットを首に掛け直したその瞬間、デスクの上のスマホがぶるりと震えた。画面に表示されたのは『コウ』の文字。
『リオラ、配信おつかれ。今日も楽しかったな』
短めのメッセージに続いて、ぽんと送られてきたのは可愛い猫のスタンプ。リオラは思わず口元を緩めた。画面越しでは頼もしくて男らしいコウだが、こういうメッセージではどこかギャップがあって可愛い。
『おつかれー。コウチャンネルのおかげで勝てたわ、ありがと』
そう返信してスマホを置こうとした瞬間、すぐに既読がつき、通知音が鳴った。
『なぁ、今からそっち行っていいか?』
「……え、マジで?」
リオラは思わず声を出してしまった。時計を見れば、すでに深夜の1時を回っている。
『ちょっと話したいこともあるし。だめか?』
語尾につけられたしゅんとした顔文字を見て、リオラは頭を抱えた。断る理由なんてない。むしろ、自分ももう少しコウの声を聞いていたいと思っていたなんて、口が裂けても言えないけれど。
『えーけどさ。足元気つけて来いや』
『すぐ行く』
◇
それから15分もしないうちに、部屋のチャイムが鳴った。
扉を開けると、少し息を切らせたコウが立っていた。普段の配信での完璧な姿とは違い、ラフなパーカー姿にボサボサの髪。けれど、その力強い瞳はまっすぐにリオラを見つめている。
「お邪魔」
「ほんまにすぐ来たな……もう深夜やぞ?」
「関係ねぇよ。リオラの声、もっと直接聞きたかったしな」
リビングに入るなり、コウは堂々とした足取りでソファに腰掛け、リオラを見上げて不敵に笑った。そのストレートな言葉に、リオラは心臓が跳ねるのを感じながらも、必死で平然を装ってキッチンへ向かう。
「お茶でええか?」
「おう、サンキュ」
温かいお茶を二つのマグカップに注ぎ、リオラもソファの端に腰を下ろした。
二人で配信の振り返りや、最近のゲームのトレンドについて話す。配信中のあのテンポの良い掛け合いそのままに、でもコウの声のトーンはいつもより低く、低い声が心地よく部屋に響く。
「……リオラ」
ふと、会話の合間にコウが静かな声で名を呼んだ。
「ん? なんや」
「配信中、お前いっつも俺のこと『コウさん』って呼ぶだろ」
「そりゃそうやろ、リスナーも見てるんやし」
「……二人だけの時も、それか?」
コウがゆっくりと身を乗り出し、二人の距離がぐっと縮まる。マグカップを持つリオラの指先にぎゅっと力がこもった。
「な、なんやねん急に……」
「リスナーに見せる俺たちの関係も悪くないけどさ。俺はもっと、お前の特別になりたいんだよ」
コウの大きな手が、リオラの手元に伸びてくる。繊細で、ゲームをするときはあんなに素早く動く大きな手が、今は力強く、それでいて優しくリオラの手に重なった。
男らしい手の熱が、触れた部分からじわじわと体中に広がっていく。
「コウ……」
「……リオラ」
耳元で囁かれた低くて甘い声に、リオラは背筋がゾクッとするのを感じた。いつもはマイクを通した頼もしい声。それが今は、直接鼓膜を揺らしている。
視線を上げると、真剣な眼差しで自分を見つめるコウの顔があった。冗談なんかじゃないことくらい、その強い瞳を見ればすぐに分かった。
「……コウ」
ぽつりとその名を呼ぶと、コウの表情がフッと柔らかくなった。満足そうに目を細めると、重なっていた手がゆっくりとリオラの頬へと滑り落ち、引き寄せる。
「可愛いな、お前」
「……うるさいわ」
顔が熱くなるのを隠すようにうつむこうとしたリオラだったが、顎をグッと持ち上げられ、拒む隙もなく唇が重なった。
柔らかく、ほんのりとお茶の香りがするキス。
一度離れた唇が、名残惜しそうにもう一度深く重ねられる。部屋の中には、小さく衣擦れの音と、互いの荒くなった呼吸の音だけが響いていた。
ようやく唇が離れたとき、リオラは息を整えながら、赤くなった顔でコウを睨みつけた。
「……いきなり何すんねん!」
「我慢できるわけねぇだろ。ずっと前から、こうしたかったんだから」
コウは少しも悪びれる様子もなく、力強い腕でリオラをぐっと引き寄せて抱きしめた。頼もしい胸の中にすっぽりと収まると、コウの心臓が自分と同じくらい速い脈を打っているのが伝わってきた。
「……ズルいわ、ほんま」
「何がだよ」
「カッコつけすぎやねん……」
リオラがコウの胸元に顔を埋めながら小さく呟くと、頭上から嬉しそうな笑い声が聞こえた。
「じゃあ、次のコラボ配信……リスナーにバレねぇように、手繋ぎながらやるか?」
「アホなこと言うな! 絶対に変な声出ちゃうやろ!」
「はは、冗談だよ。……でも、二人だけの時は、ずっとこうしてろよ」
深夜の静かな部屋で、二人の距離は画面の境界線を越えて、どこまでも甘く重なっていった。
コメント
1件
配信終わりの静けさとか、画面越しと直接の声の違いとか、すごく甘くてドキドキしました…! 普段は頼もしいコウさんの、二人だけの時の強引さと優しさのギャップが刺さります。関西弁のリオラくんが照れてるの可愛い。手の熱や呼吸まで伝わってくるようでした。続きが気になります🤍