テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ねぇ、アリスちゃん?」
「何? リサちゃん」
「もしかして、野菜苦手……?」
アリスがギクリとなった気がした。やっぱりなのかな?
お昼ご飯を食べにきているのだけど、フレアストーンとは違いここは水が目の前にあるからか、野菜が多めの料理。いや、むしろ肉がほとんどないと言っても過言ではなさそうだ。スープの具や野菜サラダの上に蒸し鳥が少しだけのってる程度だ。
フレアストーンで見せたあの食べっぷりが息を潜めてしまっている。
「別に、食べられない訳じゃないよ!」
とは言うものの、彼のフォークは蒸し鳥を取り終わってからはほとんど動きを見せていない。
「しょうがないなぁ」
私は自分のお皿にあった肉成分をアリスへとすべて献上した。じゃないと、今度はアリスの腹の虫君が暴れ出すかもしれないし。
お肉成分が足されたので、少しだけ野菜も頑張って食べていたアリスは、なんだか子どもっぽくて可愛かった。
「まったく、王子ともあろう人がこれくらい――」
ルードはそう言いながら野菜を口に運ぶと、苦虫を噛んだような顔になった。
あなたもですか!!
ーーー
さて、お腹の虫君が落ち着いたところで、どうしよう。
「ルードさんがいると、目的とか話しにくいよ?」
アリスに近づきコソッと話しかける。アリスも指で頬を掻いている。
「んー、そうだねぇ」
しっかり後ろについてくるルードを見る。外の国に出るのが初めてなのか彼は物珍しげにあちこち見ている。
私達も珍しいからなのか、まわりの人たちから観察されている気がするけど。
「あ、アリスト!!」
「お、ほんとだ!」
二人の魚人がこちらを指差している。と、思ったらずんずんとこちらにきた。
「アリスト! ちょっと手伝ってくれ!」
「オレのとこも、子どもが会いたがってたぞー!」
え? え? と思っているとずるずるとアリスが拉致されていく。
あ……、えっと。いってらっしゃい? あれ? どうしたらいいんだろう。
「リーサーちゃぁぁぁぁんっ!!」
考えている最中にも、引っ張られて行ってしまった。人気者は大変そうだ。コミュ力もありすぎると考えものね。
…………はっ!!
思いがけず、ルードと二人きりにされてしまった。ルードと二人きりは、魔法練習以来だ。何を話せばいいのだろう。魔法のことは話せないし……。
「あ、あの、本日はお日柄もよく」
ちっがーう! これじゃないのはわかってるけど!
意味がわからず固まっているルードが、何を言ってるんだと目で訴えてくる。彼といったい何を話せばいいのー!?
私の心の叫びがこだまする。
「ララーラァーー…………」
心の中で叫んでいるとまるで助け船のように、何処からともなく、澄んだ歌声が聞こえてきた。
少しだけ離れたところで、六才位の女の子が湖に向かって歌を歌っている。
何でだろう? すごく心惹かれる。あそこなら、移動しててもアリスは気がつくよね?
私は、歌声の主のもとへと歩きだした。
「リサ様?」
急に歩きだした私を追ってルードも少女のもとへと共に歩きだした。
コメント
1件
わあ、アリスの野菜嫌いが可愛すぎますね!リサが自分のお肉を分けてあげる優しさにほっこりしました。そしてルードも野菜苦手なのには笑っちゃいました。王子なのに…!笑 アリスが拉致されてリサとルードが二人きりになった時の「本日はお日柄もよく」って、その気持ちすごくわかります!気まずい時のありきたりな挨拶、あるあるすぎます。 最後の歌声のシーン、すごく神秘的で惹き込まれました。この歌声が何を意味するのか、すごく気になります。次が楽しみ!
月城 蓮桜音
36
耀聖(ようせい)
244
耀聖(ようせい)
549
205