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※死ネタ 菊(日)夢 お相手様視点
雨。あたりは薄暗いが、かすかに日の明かりが残っている。
そんな中、今日は月が見えないな、なんてくだらないことを考えていた。
彼女は、まるで月のようなお方だった。
落ち着いていて、でも、密かに沢山の注目を集めてしまうような、そんな不思議なお方だった。
「一生一緒」なんて、普段は信じないような戯言も、彼女の言葉であれば信じてしまっていた。
今はもう、月が見えることもない。
彼女は本当に、その人生一生すべて使ってまで、私の側に居てくださった。
それにどれだけ救われたかなど、彼女はきっと知らないだろう。
彼女の分まで茶の湯を注いでしまった。
彼女の好きだった和菓子を、思わず買い込んでしまった。
出先から帰宅した時、彼女の声を待ってしまった。
最近は、そんな失敗ばかりしてしまっている。
はるか昔から、私の家に伝わる言い伝え。
輪廻転生、生まれ変わり。
この時ばかりは、それを信じてしまった。
「彼女が、生まれ変わって、また側に来てくださいますように。」なんて。
--『あかねさす 日は照らせれど ぬばたまの 夜渡る月の 隠らく惜しも』