第3話 Loneliness
あらすじ
「キス以外の事がしたい」
そんな大森の告白から2人の仲はぐっと縮まる。
2人は意を決してベットに向かうが、まだまだ問題は山積みだった…
1-1 〜極夜の世界〜
「キス以外のこと…したい」
そう言った大森は悪いことをした子供のように涙目で俯いた。
「うん」
藤澤は大森の手をぎゅっと握ると頷いた。
「しよう」
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
藤澤と大森は寝室に向かった。
初めから寝転ぶのは大森にとってハードルが高いかもしれない。
そう思って藤澤は一旦ベットに座った。
大森も習って隣に座る。
「…」
「…」
どちらも何を言ったらいいのか分からず、しばらく沈黙が流れる。
藤澤がやっと沈黙を破った。
「えっと…」
「どうしよ…か…」
藤澤は自分でも腰の抜けた事を聞いてるなと思った。
喉まで、出かかった「キスする?」という問い。
何故か、空気に気圧されて口に出せない。
そんな藤澤の様子を見て、大森はゆっくりと身体を傾けて近づいた。
「…」
藤澤はどうするべきなのか、戸惑いながら大森を見た。
視線がぶつかると、大森も瞳を泳がせる。
すっと目線を外して、2、3回瞬きをするともう一度、藤澤を見つめ返した。
その視線に、どきっと心臓が跳ねる。
大森が顔を近づける。
藤澤はつい、その表情から目を離せないでいると大森が恥ずかしそうに言う。
「目…つぶって」
「あ…、はい…」
藤澤が瞳を閉じたので、大森は 藤澤に顔を寄せる。
唇が当たる瞬間
躊躇しながらも、とんっと唇を合わせた。
触れた唇は暖かくて、少し震えていた。
藤澤は目を開けると、大森と目線を合わせる。
2人は何も言わずにもう一度キスをした。
ーーーーーーーーー
1-2 〜性〜
藤澤は大森にキスをしながら、そっと頬に触れた。
大森もそれに答えるように藤澤の胸元に触れる。
何度か触れるだけのキスを繰り返すと、大森の身体の緊張が抜けてきた。
藤澤が試しに唇を舐めると、びくっと大森の肩が跳ねた。
なので一旦、身を引いて様子を伺う。
すると、大森は一瞬、がっかりとしたような顔をした。
藤澤はその表情を見逃さずに聞いてみる。
「もっと…してもいい?」
大森は恥ずかしそうに俯くと小さく頷く。
藤澤は再び、顔を寄せると出来るだけ優しく唇を合わせた。
何度かキスすると、大森が薄く唇を開く。
藤澤はゆっくりと舌を大森の口内に入れ込む。
口内が想像以上に熱くて、頭がくらりとした。
さらに舌を絡ませると、大森がくぐもった声で遠慮がちに小さく鳴いた。
その声に藤澤の身体が熱くなる、下半身に熱が集まって行く。
大森の柔らかい舌が、とろっとした唾液が藤澤の脳を刺激した。
ブレーキをかけるのがきつい。
今にも爆発してしまいそうだ。
それでも、藤澤は何とか欲望を制御した。
ここで爆発なんてしたら全部、台無しになる。
藤澤の舌が上の歯をなぞると大森の身体がびくっと跳ねる。
もう一度、同じところを舌でなぞると大森が甘い声で喘いだ。
下半身が固くなるのが分かった。
藤澤は我慢がはち切れそうになって、一旦唇を離した。
大森が少し早めに呼吸を繰り返す。
髪の毛で隠れた耳が赤い。
ちゃんと反応してくれていると思うと心がぐっとなった。
藤澤が心を固め直していると大森がおずおずと聞いてくる。
「あのさ…」
「ん?」
「キスから先って…」
そこまで言うと一旦、言葉を切る。
少し考えると再び口を開く。
「何…すればいいの? 」
藤澤はあまりに純粋な質問になんとも言えない気持ちになった。
一瞬、上手く騙せれば、最終的な目的をさっさと遂行できるのではないか。
そんな、不埒な考えが浮かぶ。
藤澤は急いで、その考えを振り払った。
「うーん…と」
「順序とか、決まりはないと思うけど…」
藤澤はしばらく考える
「でも…」
「したい事とか…あったら」
藤澤がそう言いながら、 ちらりと大森を見る。
大森は恥ずかしくなってつい、口走った。
「いや、ない…、わけじゃないけど」
実は、 大森は「ない」と言おうとした。
しかし、さすがにひどいなと思い直して付け加える。
「え?ほんと?」
すると、藤澤がちょっと嬉しそうにするので引っ込みがつかなくなった。
「まぁ…うん」
藤澤が意外そうに聞いてくる。
「例えば…? 」
「何したい?」
「え…、 例えば?」
大森は頭をフル回転させて、気の利いた事を言えないかと考えた。
しかし、こういう経験がほぼ0に等しいので何も思い浮かばない。
「えへへ…なん、だろう…ね」
大森が苦笑いのような笑みを浮かべる
藤澤もそれで色々と察したようだ。
「無理して出さなくてもいいよ」
藤澤が悲しそうな顔をするので、 素直に白状した。
「ごめん、本当はわかんない」
「その…経験ないから」
「…あぁ、そっか」
「…」
突然、地獄のような雰囲気が流れる。
藤澤は気まずくて、下を向いた。
「あぁ、そっかって…」
大森がぽつっと言う。
「え?」
「…なんでもない」
大森も下を向いて指遊びを始める。
「ごめん」
藤澤はなにかまずい事をしたと思って謝った。
「…」
2人の間に重い沈黙が流れる。
壁にかけられた時計の音だけが空間に響く。
「ごめん…」
藤澤はつい耐えられずにもう一度謝る。
「…」
大森は答えない。
くるくると親指を回して聞こえない振りをした。
「聞いてる…?」
「だから、なんでもないって」
藤澤は戸惑った。
大森が何に怒っているのかすら分からない。
藤澤はもう1度、遠慮がちに問いかける。
「…もとき」
「うるさい」
「なんでもないって言ってんじゃん」
大森がぴしゃりとシャッターを下ろした。
あまりに雑な扱いに、藤澤は苛立った。
「…あ、そう?」
「じゃあ、続きやろうか」
「やだ」
「なんで?」
ここまで来ると2人ともムキになってくる。
藤澤はわざと大袈裟にため息をついた。
「…むしろなんで?」
「なんでもないなら出来るよね」
大森は舌打ちをすると棘のある声で言い捨てた。
「役たたず」
「…」
藤澤はゆっくりと大森の顔を覗き込んだ。
意地になっていた大森はひやっとして、目を逸らす。
「役たたず?」
藤澤が静かな怒りを含ませた声でくり返した。
「…」
大森はまずいと思ったが、訂正せずに黙り込んだ。
「あー」
「色々、経験させてよって事?」
そういうと、 大森の腕を掴んでベットに押し倒した。
「うっ…!!」
倒れた大森が呻き声を上げる。
「そういう事ならいいけど」
藤澤は大森の着ているパーカーを上に捲りあげた。
「違う!離して!!」
「ねぇ元貴?」
藤澤は抵抗する大森の手首を掴むと、馬乗りになって ベッドに抑え付けつけた。
「どうして、いつも言っちゃいけない言葉言っちゃうの?」
「は、」
大森は抵抗しながら藤澤を睨みつける。
「そっちだってそうじゃん!!」
「役たたずって?」
「言ったことあったっけ」
大森は鼻で笑うっと言い放った
「俺が役たたずだった事ある?」
「別れるは?」
大森の瞳が揺れる。
藤澤は続けて話した。
「ねぇ?」
「なんで、そんな事言えちゃうの」
藤澤は鋭い目付きで大森を射抜くと吐き捨てるように言った。
「答えは簡単」
「元貴が俺の事、舐めてるから」
ーーーーーーーーー
1-3 〜噛み合わない歯車〜
藤澤がそう言うと大森は目を見開いてしばらく固まった。
「そうだよね?」
続けていうと大森は目を逸らした。
そして、緊張からか引き攣った笑みを浮かべて言う。
「なんで、そうなんの?」
「そんなわけないじゃん」
藤澤はこういうのはしっかり否定するんだなと思うと なんだか、うんざりとした。
「馬鹿みたいだって思ってんでしょ」
藤澤が力の抜けた声で話すと大森が様子を伺う。
「何も文句言わないし、楽だもんね」
大森はぶんぶんと首を振る。
「ち、ちが」
藤澤は、ぐっと顔を寄せるとキスをして言葉を止めさせた。
「んぅ、!!」
藤澤の舌がぬるっと入ってくる。
喉の奥にまで入ってくるのではないかと思うほど強烈なキスをされる。
「お、ぇ」
大森は耐えられずに嗚咽のような声を上げる。
藤澤はキスをしながら大森の着ているパーカーをぐいっと捲り上げる。
大森は腕を掴んで、止めた。
「まっ、」
「もう待たない」
藤澤がきっぱりと言う。
白い肌が露出すると、細い腰に唇を寄せてキスをする。
大森の身体に力が入る。
微かに震える手でぎゅっとベッドシーツを握った。
藤澤は気にしない振りをしながら 何回か腰周りにキスをする。
そして、大森のスボンに手をかけた。
「りょうちゃん」
大森が名前を呼ぶと少し躊躇した雰囲気があったが、ぐっとズボンを下ろした。
続いて、下着も脱がす。
大森は大人しく従った。
完全に脱がすと、 藤澤はしばらく下半身を観察した。
大森はなぜか動けずにその行為を、ただ見つめていた。
藤澤はしばらく見ていたが、ゆっくりと顔を近づけると太ももにキスをする。
「っ…」
大森がぱっと口を手で覆った。
声を聞かれたくない。
藤澤は何度かキスすると太ももの内側を舌で舐めた。
「っん!!」
ぞわっと快感が身体を駆け巡る。
「、はっ」
頭がぐらりと揺れる。
大森は自分を落ち着かせようとゆっくりと息を吐いた。
反応が良かったので藤澤はもう一度同じ所を舐める。
大森は必死で声を抑えた。
藤澤は、そのまま舌を這わせながら上に移動する。
「は、ぁ」
大森の喘ぎ声が小さく漏れる。
藤澤はそれだけでも、なんとも言えない満足感が湧き上がった。
しかし、同時に物足りなさも加速した。
藤澤は大森の下に顔を寄せるとぱくっと口に咥えた。
「ぅ、え!?」
大森が飛び起きて、藤澤の口から下を引き抜こうと頭を抑える。
「りょ、ちゃん!!」
藤澤は下を、舌と上顎で潰すように扱くと、ゆっくりと頭を引きながら吸った。
「っ…!!」
大森がぎゅっと身体を縮こませると藤澤の髪をくしゃと掴んだ。
大森の下がぐっと立ち上がって硬さが増す。
藤澤はもう一度咥えると今度は、ずずっと吸い込む。
「っあ!!」
大森の身体が大きく跳ねる
さらに1番、敏感な場所を刺激するように舌を動かすと 大森の太ももが、がくがくと震えた。
大森のあられもない様子に藤澤は心の底から性的欲求が掻き立てられた。
「や、う」
大森が、快感を振り払うように頭を振る。
ぐっと足を閉じようとするので、藤澤は両膝を掴んで広げさせた。
そのまま、大森の下を根元まで咥えると口内全体と舌でぞわぞわと擦る。
「う、っ!あ!!」
大森はもはや声を我慢する余裕もないまま、腰を跳ねらせた。
再び、ずずっと吸い込むと悲鳴のような声を上げる。
少しでも快感を抑えたいのか、腰を引いて逃げようとするので、掴んで引き寄せた。
そしてもう一度、根元まで咥えると舌で敏感な部分をぞりっとなぞる。
「うぅー…」
大森は唸るような声を上げると、首を反らせて天井を見上げた。
藤澤はその首元に引き寄せられるように、起き上がって首筋にキスをする。
「は、あっ!!」
「りょうちゃ…」
大森が掠れた声で藤澤の名前を呼ぶ
藤澤は、大森の表情を見る。
同時に大森も藤澤を見つめた。
藤澤が大森の口元を抑えている手を取るとぎゅっと握る。
その瞬間、「何かが」が溢れ出した。
それが、駆け巡るように身体を支配すると床がどろっと沈み込んでいく。
意識がぐらっと遠のく。
「り、りょうちゃん」
大森は耐えられずに藤澤の手を振り払うと顔を両手で覆う。
そして、震える声で言った。
「ごめん」
藤澤は違和感を感じて、大森に手を伸ばす。
突然、大森が息をはっと吐いたと思うと嗚咽のような声を上げた。
「…もとき?」
藤澤が触れようとした瞬間、大森の呼吸が早くなる。
顔を覆っていた大森の腕が力無く落ちる。
「っ、は、はっ」
藤澤は驚いて、すぐに大森の背中をさすった。
大森はふるふると震えながら早い呼吸を繰り返した。
力が抜けて口が閉じないのか、唾液がこぼれる。
「元貴…!!大丈夫だから!」
「ゆっくり、ゆっくり息吐いて!」
藤澤が言うと 大森の呼吸が少しづつ落ちついてくる。
「はっ、は…あ、」
「ご、ごめん」
「もう、大丈夫」
大森が涙をぽろぽろと零しながらも笑顔で言うので、藤澤は心配を隠せない。
「びっくりさせたよね」
「大丈夫、発作みたいなもんだから」
「発作…?」
藤澤が聞き返すと大森は頷いた。
「前からある」
「理由は分からない…けど」
大森は俯くと言った。
「こういうことしようと思うと起きる」
ーーーーーーーー
3-4 〜古傷〜
「…なんで」
なんで、もっと早く言わないのか
藤澤はつい、そんな言葉が出かけた。
「今まで言わなくてごめん」
大森が消え入りそうな声で言う。
「…」
藤澤は大森に近づくと、そっと身体を抱きしめた。
そして、背中をそっと擦る。
「もう苦しくない?」
大森が頷く。
「…うん、もう大丈夫」
「心は苦しくない?」
「…」
優しい藤澤の声で心が溶けていく。
瞳から涙がぽろぽろと零れる。
「苦しい…」
大森はぽつっと言うと想いが溢れ出した。
喉から勝手に言葉が零れる。
「僕だって…普通に」
大森の声が震える。
「普通に…恋がしたい」
コメント
14件
ほんと、ありがとう×100 Loneliness良いよね~✨
もぉほんとすごいですね ノベルこんな見やすいの初めて ぴりさんアカウント無くなってたのね、… 続きでないなーってずっと思ってましたっ 新しいアカウント見つけれてよかったぁっ!
いやぁーん…涼ちゃん爆発からの大森さんまさかの告白…えぐい…