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1日に2回も更新、ありがとうございます✨すごい嬉しいです🫶 そして、大好きな宝石箱シリーズで🤭 ギターさん、可愛すぎて💛ちゃんとの絡みにキュンキュンしてました🫣💕 そして、ちゃっかり居る💜くんも好きです!笑
kei様のとこの風磨君好きです(笑)涼ちゃんの優しい笑顔に癒されるの同意だし、私も録音させてもらいたい!
2話更新ありがとうございます! そしてやっぱりコメント短くできません🤣 魔王キザ❤️私の中に「魔王はキザ」情報一つ更新させていただきました😋 若様は可愛くて優しい💙甘えてるところはスゴく可愛くて、本当に2人のことを大切に思ってるところは微笑ましいですね☺️ 何より全方位愛され💛ちゃんが大好きです!とりあえず私が(心の中で)ふまくんになったことを報告して終了します笑 ちなみに短編で当て馬なんですか?🥹
りょちゃんの誕生日のときに書いてた話なんですけど出すタイミング見失ったから記念日に変えて供養しちゃおうと、コソッと更新……。
「りょうちゃんはさぁ、もっとわがままいっていいんらって!」
居酒屋の個室の掘り炬燵席で、お酒にあまり強くない若井が可愛らしい色をしたカクテルのグラスを、机の上に叩きつけるように置いた。暴れるようなことはないと思うけど呂律も危ないし、そろそろお水にさせとこうかな。
「ちょ、若井くん、声大きいって」
そんな僕の考えを汲んでくれたのか、苦笑しながら若井を宥め、それとなくグラスを奪い取って水へと変えてくれるのは何度となく僕も若井も迷惑をかけ、元貴から圧力をかけられ続けている風磨くんだ。申し訳ないなぁと思いつつ、止めようと頑張ったけど無理だったから頑張ってもらうしかない。
「荒れてるね」
そして、若井がグラスを置いた拍子に机にこぼれたお酒を拭いてくれるのは、僕たちを祝福し、特異な元貴の執着を知ってもなお見守ってくれる亮平くん。替えのおしぼりを頼むことも忘れない手際の良さには感嘆する。できる男って亮平くんみたいな人を言うんだろうな。
頭が良くてイケメンで、そのうえ気も遣えるアイドルを二人も独占しているなんてすごく贅沢なご飯会だなと、管を巻く若井とは対照的に全然酔っていない頭で考える。
流石にうちのメンバーのお世話をこれ以上二人にさせるわけにはいかないと、
「おいで、若井」
僕の隣に腰掛けて、正面に座る風磨くんに突っ掛かっている若井に向かって両手を広げた。
僕の声にのろのろと目をこっちに向けた若井が、
「……りょうちゃぁん……」
泣く一歩手前の顔で抱き着いてくるのを受け止め、ぽんぽんと頭を撫で、よしよーしと宥める。
「……涼架くんがこうなるならまだしも若井くんなんだ」
亮平くんから新しいおしぼりを受け取りながら、そうなんだよね、と笑って返答し、ぽろぽろと泣き始めた若井の目元を拭いてやる。あぁ、ほら、あんまり泣くと目がはれちゃうよ?
小さい子どもをあやしてる気持ちになる僕に、若井から奪い取ってくれたお酒を飲み干した風磨くんが「あまっ」と舌を出したあと、難しい顔をした。
「まぁでも、忙しいにしたって前々からの予定を反故にされたらね」
「れ!? あけるえきられ!?」
ガバッと僕の腕の中から顔を上げ、呂律の回らない口調で若井が叫ぶ。なんて言ったか分かんないよ、興奮するとさらにお酒回っちゃうよ、落ち着こうね、と起きあがった若井を今度は僕から抱き寄せる。んむ、と僕の腕の中に収まった若井が、りょうちゃん、と舌足らずの声で抗議するが、うん? と微笑みかけると、うう、とうめいて僕の胸元に顔を埋めた。
一番歳下なのに敬語は使ってないわ声が大きいわ完全なる酔っ払いの醜態である。言葉遣いに関しては二人が気にしなくていいよと言ってくれて、お店の方も休日の夜という騒がしい時間帯なのもあってか、怒られることはなかった。
「……りょうちゃん、おこん、ないし、おればっか……」
ありゃ、そこもご不満でしたか。
でも、どうしようもないことじゃない、と苦笑する。
若井がこんなにも怒っている……というか拗ねているのは、今日は記念日だというのに僕のパートナーの元貴が、不意に沸いたお仕事で一緒に過ごすことができないというのが理由だった。
僕らもいい大人で周囲から必要とされているうちが華なのだから、当日に祝うべきだなんていう子どもじみたワガママを、普段の若井だって言ったりはしない。
多忙なのは必要とされている証拠だから嬉しくもあったし、公表していない記念日を誰かに気遣って貰えるわけもなかった。
たとえばお誕生日だって、当日が仕事なんてことはザラで、結果として元貴とも一緒にいられたってだけの話だ。まぁ付き合ってからは一緒にいられるように調整していたのは否定しない。実際、誕生日をレコーディングスタジオで祝ったこともあるし、移動中の車内で祝ったこともある。その年その年でまちまちだ。
たまたま当日一緒にいたからお祝いできたって言うだけの話であることを、若井もちゃんと分かっている。
ただ、結婚をしたことによって記念日が増え、珍しく記念日当日にお祝いができそうなスケジュールになっていて、わー、まじかよ絶対その日にやろ! と若井が嬉しそうに計画を立ててくれていたのだ。ご飯の手配からなにもかもを、ひと月前からちょこちょこと準備をしてくれていた。忙しい中を楽しそうに気に掛けてくれる若井が可愛くて、僕はそれがすごく嬉しかった。
それが急遽、記念日当日今日、昼過ぎくらいにサラッと潰えた。本当にごめん、と苦しそうに謝る元貴に文句を言えるはずがなく、お祝い会の予定は儚くも消え去った。
「お出かけ」と称して四年ぶりにソロ活動を始動し、ドラマの撮影もこなす元貴は特に忙しい。私用ではなく仕事だと分かっているから、若井も本人の前では何もかもを飲み込んでみせた。
キャンセルさせるのも申し訳なくて、食べきれないだろうから食事だけはキャンセルを入れて、折角だからホテルは二人で泊まろうと若井を誘い、それでも飲み込みきれなかったモヤモヤが若井を渦巻いていたから、亮平くんに連絡をした。急で悪いんだけどご飯食べにいかない? って。
快諾してくれた亮平くんのやさしさに感謝しつつ、いざお店に着くと風磨くんがいて、なんで? って尋ねるとたまたまスタジオを出るエレベーターで乗り合わせて「俺も行きたい」と言って参加になったという。亮平くんがごめんねと言ったけど、謝る必要は特にない。
最初こそ若井はちょっと前にゴタゴタがあったから微妙な顔をしていたけど、それよりも元貴に対するモヤモヤが勝ったのか、申し訳ない話だけどあたり散らすいい相手だと判断したのか、そうたいして得意ではないお酒をぐいぐいと飲み始めた。
そんなこんなで若井さんが盛大に拗ねて、立派な酔っ払いができあがったわけです。
「……らんで、いまやんの……」
ソロの話はだいぶ前から出ていたから僕らは当然知っていて、そのときから若井はちょっと不満げだった。ソロ活動に対する不満じゃなくて、僕のお誕生日や記念日に近いからって理由だった。忙しくなんじゃん、って。でも、元貴には絶対に言わないのだ、言ってどうにかなるものではないし、言うことによって元貴の活動を制限したくないから。
かわいいでしょ、うちのギター。
若井は自分の誕生日だったらこんなに拗ねない。一緒に過ごせなくてもメッセージを送るくらいはするだろうから、それで充分だと笑うだろう。誕生日会にしてもそうだ。僕が反省会にして台無しにしたこともあるし、去年は『天国』を初めて聴くことになった。なぜかいつもお祝いしつつも真剣な話し合いの場になりがちで、だからといって拗ねたりはしない。反省会のときはびっくりしてたけど、怒ることも拗ねることもなかった。
それなのに今回ばかりは腹に据えかねるのか、ムスッと拗ねた顔を崩さない若井にお水飲む? と問い掛ける。小さく首を横に振る若井に、欲しくなったら言うんだよ、と頭を撫でてやる。ぎゅぅぎゅぅとしがみつきながら、ふん、と鼻を鳴らす若井にどうしたの、と首を傾げると、至近距離にある若井の表情が少しだけやわらかくなった。
「いいもん、りょうちゃんとおれでおいわいしようね」
「そうだね」
「もときのかねでぜんぶはらう」
「あはは、そうしようか」
僕にしがみついたまま悪態を吐く若井のまぶたが、とろとろとおりていく。限界が近いようだ。
寝ていいよ、と囁くと、りょうちゃんすき、と子どもみたいに無邪気に笑ったのを最後に力が抜けた。慎重に僕の膝に頭を置き、ふわふわの頭をゆっくりと撫でた。んふふ、かわいいでしょ、この子。
そんな僕らのやりとりを黙って眺めてくれていた二人にごめんねと頭を下げると、亮平くんはゆるく首を振り、風磨くんは、元貴くんは嫉妬しないの、と興味深げに笑った。
「嫉妬するかもだけど、させとけばいいよ。若井をこんなに泣かすようなやつ」
くすくすと笑いながらお酒を口に入れる。そんな僕に風磨くんと亮平くんは顔を見合わせた。
「涼架さん、やっぱ怒ってない?」
苦笑した風磨くんに指摘され、ぱちぱちと瞬く。亮平くんも同じような表情をしていて、あれ、そう見えるの? と思わず笑った。まぁ確かに嫉妬深い元貴を知っている二人からすれば、僕の今の発言を怒りゆえのものだと捉えてもおかしくはないか。
でも、怒っているわけでは決してない。全く寂しさがないと言ったら嘘になるけれど、怒りの感情ではないのだ。
だって、それが元貴だから。僕が一生涯をかけて傍に在りたいと願い、彼のいない人生など考えられないと感じるのは、記念日よりも私生活よりも楽曲制作を優先し、自分の全てを使って己の世界を創出する、表現者としての大森元貴だから。元貴のやりたいことを我慢させてまでお祝いしたいとは思えない。
僕と言う存在が元貴の生活の一部に組み込まれて、僕という存在が元貴の音楽活動の糧になるならそんなに嬉しいことはない。元貴が生み出す楽曲に、僕という存在が入っているならそれでいい。僕らの世界が護られるなら、なんだっていい。
記念日は来年もあるのだから、今やらなければならないことを投げ打ってほしくはない。若井だって同じように思っているはずだ。ただ少し、間が悪くて、上げてから落とされたから拗ねているだけ。俺も若井もありのままの元貴を愛しているのだから。
「信じてもらえないかもだけど、ほんとに怒ってないんだよね。若井も拗ねてるだけで怒ってるわけじゃなくて、ちょっとムカついてはいると思うけど、それは僕のためだから」
だから、本当に、怒っているわけではないのだ。
「三人ってバランス的に難しい部分もあるのに、お互いに強く想い合っているのがすごくよくわかる」
亮平くんは感心したように頷いて、とても素敵な関係性だねと笑った。ありがとう、と笑顔を返すと、
「マジで羨ましいわ。てか涼架さん、愛されすぎじゃない?」
風磨くんは僕を眩しいものを見るみたいに目を細め、揶揄うように笑った。
「そうかな、俺も負けないくらい愛してるけど」
左手に視線を落として指輪を見つめ、僕の手のひらの下にある若井を見て目を細める。
「入り込む隙がなさすぎ……」
「お前まだ頑張ってたの? もうやめなよ、無理だって」
風磨くんの呟きに、亮平くんが呆れたように言った。
ぱちっと目を開けた若井が起き上がり、僕にガシッと抱き着いた。
「あげないからっ」
「若井?」
「りょうちゃんは、おれらのだから!」
風磨くんにそう高らかに宣言して満足そうに鼻を鳴らすと、また僕の膝に頭を乗せて目を閉じた。呆気に取られる風磨くんに、うちのがごめんね? と首を傾げると、あーもーずるいんだってそういうとこ! と叫ばれた。どういうとこ?
「風磨はともかくとして、涼架くん、ちょっと危ないかもね」
「なにが?」
「んー……大森さんか若井くんがいるときだけにした方がいいよ、そういうの」
亮平くんまでよく分からないことを言い出した。なんか元貴に詰められたときと同じ感じがするなぁ、この会話。
「二人に向けての表情って分かってるけど、なんていうのかな、甘い感じ? が、風磨みたいな人間には刺さっちゃうというか」
「俺みたいなって言わないでくれます?」
「事実じゃん」
「そうだけどぉ」
むすっとする風磨くんが可愛らしくて小さく笑うと、それもずるい! と風磨くんに指をさされ、亮平くんが人を指差すなと注意する。
「俺、涼架さんが優しく笑ってる写真、スマホの待ち受けにしてたときある」
「マジかよお前」
亮平くんが風磨くんから物理的な距離を取り、身体全身で引いてますと伝えるが、風磨くんは気にした様子なく熱弁を続ける。
「ガチでむっちゃ癒される。なんならお金払うから『お疲れ風磨くん』って言う動画撮らせて欲しい」
「それは恥ずかしいよ」
「じゃぁ撮らないから今言って、お願い!」
「お前図々しいな……ってか普通にちょっとキモいよ?」
風磨くんが両手を合わせてお願い! と重ねる。亮平くんの苦言をものともしないあたり風磨くんってメンタル強いなって思う。でも、そんな風に強くたって、疲れちゃうときはあるのだろう。
録画しないならまぁ、ただ労うだけの話だよね? そのくらいなら、と
「えーと……お疲れ、風磨くん。いつも頑張っててえらいね」
伝える。風磨くんは天を仰ぎ、さいっこう……と呟いた。いや、その反応は恥ずかしいんだけど……。
「……大森さんに申し訳ないから、そろそろお開きにしようか」
微妙な空気を打ち壊すように亮平くんが店員さんを呼び、お会計をお願いした。僕がお財布を出そうとすると、記念日のお祝いにってアイドル二人が支払ってくれて、そんな悪いよ、と慌てると、さっきのキモい風磨のお願いのお礼だと亮平くんが笑った。風磨くんも頷いて、元貴くんには内緒で、と片目を瞑った。スマートでかっこいい二人にありがとうございますと頭を下げると、アイドルスマイルで、おめでとう、と祝福された。
お店の前で二人と別れ、お店の人が呼んでくれたタクシーに若井と乗り込み、若井が予約をしてくれていたホテルの名前を告げる。家に帰るべきか悩んだけれど、僕らを想って一生懸命準備をしてくれた若井の気持ちに応えたかった。
眠そうにはしていたがしっかりと覚醒している若井が、元貴、拗ねるかな、と表情を曇らせる。そんな若井の手を握り、大丈夫だよ、と微笑んだ。たぶんというか絶対拗ねるだろうけど、僕だってやっぱり少しは寂しいのだ。
さっきのお店、二人が出してくれたんだよと言うと、目をまんまるにした若井が、俺、失礼なことしかしてないのに? と焦っているのがおかしくて、俺らへのお祝いだって、と安心させる。ホッとして、そういうところかっこいいよね菊池さんって、阿部さんもだけど、と笑う若井に、そうだね、と頷く。
程なくしてホテルに着き、チェックインのために名前を告げる。フロントで鍵を受け取り、ちょっとドキドキしながら豪華なエレベーターに乗り込んだ。
宣誓式兼結婚式のホテルも豪華だったけれど、こんないいホテルそうそう泊まれるものじゃない。折角なら楽しまなきゃ損だ。
「……おぉ……」
カードキーで開錠し部屋に入ってまず目に飛び込んだのは、大きな窓から見える夜景だった。東京を一望できるんじゃないかってくらいの大きな窓から見える街は、絶景の一言に尽きた。
「すご……」
「ね。夜景が綺麗って書いてあったけど、ここまでとは思わなかった」
僕の捻りのない感想に若井は頷き、元貴、あのへんに今いるのかな、とどこか分からないところを指さして笑う。あっちじゃない? と僕も答えながらしばらく二人であーだこーだと夜景を楽しむ。ここにいないもう一人を想いながら。
「……ごめんね、若井。たくさん準備してくれたのに。それから、ありがとね」
若井の目を見てお礼を述べる。
「いいって、ちゃんと泊まれたし」
「それもだけど。……記念日に独りにしないでくれてありがと」
若井が照れくさそうに目を逸らし、気づいてたの、と口を尖らせた。
本当はホテルだってキャンセルしてよかったし、若井は若井の家に帰ったってよかったのだ。だけど彼は優しいから、僕が飲み込んだ寂しさを掬い上げてくれた。
「分かるよ、若井のことだもん」
「シンクロしないのに?」
「あれは違うでしょー、難しすぎるんだっていっつも」
くすくすと笑い合っていると、部屋のベルが鳴らされた。ルームサービスなんて頼んでいないから、何事かと顔を見合わせる。
「だれ?」
「ホテルの人っぽい」
高級ホテルで不審者ってことはないだろうけど、念の為ドアスコープから姿を確認し、ゆっくりとドアを開ける。深々と頭を下げたホテルのスタッフさんが、顔を上げてにこやかに微笑んだ。
「お休みのところ、失礼致します。大森様より贈り物を預かっております。お渡ししてもよろしいでしょうか?」
「ぇ、あ、はい」
戸惑いながら頷くと、スタッフさんが青い薔薇の花束を差し出した。
「まずは若井様に」
「お、俺!?」
うわ、すっごい綺麗。青い薔薇って間近で初めて見たかも。きょどりながら若井が受け取る。
「そして、藤澤様に」
「いや、でっか!」
若井の花束の5、6倍、下手したら10倍はありそうな真っ赤な薔薇の花束だった。持っているスタッフさんの顔が見えないくらいのサイズのそれに思わず叫び、えぇ……と戸惑いつつ受け取る。おっも。
「それでは、素敵な夜をお過ごしくださいませ」
再び深々と頭を下げて、スタッフさんの手によって扉が閉ざされた。ずっしりと重たい花束を、客室の机の上に丁寧に置いた。存在感を放つ二つの花束眺める。
「……こんなんいつ用意したんだろうね、元貴」
「来れないって分かってすぐじゃない? じゃないとその量の薔薇も青い薔薇も間に合わない気がする」
僕の疑問に、呆れたように、だけどそれ以上に嬉しそうに若井が言った。そうだよね……それにしてもこれ何本あるんだろう。気が遠くなるくらいの量がある。若井の方は10本くらいかな、と目を向けると、花の間にカードを見つけた。若井が優しくそれを取り出し、書かれている文字を見る。
「13……? あ、本数か?」
若井が気づいてスマホを取り出し、『薔薇の本数』と検索をかける。
「涼ちゃんの方は?」
「ありそうだけど……あ、これか」
僕の方は花の間じゃなくて束ねてあるリボンの方に挟まっていた。
「101だって」
検索結果を見ていた若井が、頬を赤くして僕にスマホの画面が見えるように差し出した。目を通して僕の頬にも熱が溜まるのを感じる。
13本の薔薇の花言葉……“永遠の友情”。
101本の薔薇の花言葉……“これ以上ないほど愛しています”。
『……キザ!』
僕と若井の言葉が重なった。ほんっと、元貴ってすごい。
これほどの想いを受け取ったのだ、それぞれ元貴に返信しようということになった。若井がなんと送ったのか気になるけれど訊くのは野暮だろう。
僕もなんて送ろうか考えて、今度は自分のスマホで薔薇の本数の花言葉を検索した。本数で意味が変わるなんて知らなかった。
少しだけ悩んで“365”とだけ送り、スマホの画面を消す。元貴ならこれだけで伝わるだろう。
――“毎日あなたを想っています”。
終。
ふまくん、ちょっとキモくしてごめんなさい。
短編の方でも当て馬として活躍してくれ。