テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
lpml
六月の終わり。
昼間は蒸し暑かったのに、夜になると少しだけ風が涼しくなる。
同棲しているマンションの一室。
リビングではエアコンの静かな音だけが響いていた。
「……ふぁ」
mlは小さく欠伸をした。
時計を見る。
時刻は午後十一時半。
そろそろ寝ようと思い、読みかけの本を閉じた。
「らぴす、寝るよ」
返事はない。
「……?」
寝室を覗くと、すでにlpはベッドの上で眠っていた。
驚くほど早い。
普段ならまだ動画を見たりゲームをしたりしている時間だ。
「珍しい」
mlはそう呟きながら部屋へ入る。
そこで違和感に気付いた。
「……え」
lpが上裸だった。
暑かったのだろう。
布団も半分蹴飛ばしている。
髪は少し乱れていて、寝顔は完全に無防備だった。
「風邪ひく」
mlは呆れたように言いながら布団を持ち上げる。
そっとlpに掛けようとして——
手が止まった。
「……」
別に珍しいことではない。
一緒に暮らしているのだから。
けれど普段はTシャツを着ている姿ばかり見ているせいか、なんとなく調子が狂う。
「……寝よう」
考えるのをやめることにした。
mlは自分のスマホを充電器に繋ぎ、ベッドへ向かう。
しかし。
なぜか眠れない。
右を向く。
左を向く。
目を閉じる。
開く。
眠れない。
「……」
隣ではlpが気持ちよさそうに眠っている。
少し腹が立つ。
なんでこんなにぐっすり眠れるのか。
昼間あれだけ騒いでいたからだろうか。
mlはぼんやりと天井を見上げた。
すると。
「んー……」
lpが寝返りを打つ。
その拍子に布団がまたずり落ちた。
「……だから」
mlはため息をついた。
起こさないように布団を掛け直す。
けれどlpはまた寝返りを打つ。
数分後には同じ状態。
「子どもじゃないんだから……」
小さく呟く。
それでも放っておけない。
何度目かの布団を掛け直したあと、mlは再び横になった。
しかし。
やはり眠れない。
静かな夜だった。
車の音もほとんど聞こえない。
なのに妙に目が冴えている。
「……」
ふと視線を横へ向ける。
lpは変わらず眠っていた。
無邪気な寝顔。
起きている時は騒がしいのに、寝ている時だけは本当に静かだ。
「……」
mlはしばらく眺めた。
本人が起きていたら絶対に言わないが。
こういう時のlpは少しだけ可愛い。
そして少しだけ安心する。
同じ家にいて。
同じ部屋にいて。
隣で眠っている。
それがいつの間にか当たり前になっていた。
「……」
気付けば、mlは少しずつlpの方へ近付いていた。
もちろん無意識ではない。
ちゃんと分かっている。
けれど止める理由も見つからなかった。
近くにいると落ち着く。
それだけだ。
それ以上でも以下でもない。
「……少しだけ」
誰に言い訳するでもなく呟く。
そしてlpの肩のあたりへそっと頭を預けた。
起きない。
規則正しい寝息だけが聞こえる。
温かい。
人の体温というのは不思議だとmlは思う。
エアコンとは違う。
毛布とも違う。
なんとなく安心する温もりだった。
「……」
lpは相変わらず眠ったまま。
数分経っても起きない。
mlはようやく肩の力を抜いた。
すると。
「メルト……」
突然名前を呼ばれた。
びくりと身体が揺れる。
起きたのかと思った。
だがlpの目は閉じたままだ。
どうやら寝言らしい。
「……起きてない」
確認して小さく息を吐く。
その直後。
lpが無意識に腕を動かした。
「!?」
完全な寝相だった。
けれど結果として、毛布が二人とも包まれる形になる。
本人は何も分かっていない。
mlは数秒固まった。
そして。
「……ほんとに自由」
呆れたように呟く。
けれど離れなかった。
窓の外では夜風が木々を揺らしている。
部屋の中は静かだった。
lpの寝息だけが聞こえる。
そのリズムを聞いているうちに、mlの瞼も少しずつ重くなっていく。
不思議だった。
さっきまで全然眠れなかったのに。
今は眠れそうだった。
「おやすみ」
小さな声で呟く。
返事はない。
当然だ。
lpは夢の中なのだから。
それでも。
隣にいるだけで十分だった。
そうして二人は静かな夜の中で眠りについた。
コメント
4件
うわーーー😭😭 まってめっちゃすき🥹💖 えもう続きも見たいけどまずここで切ってるのもセンスよくてすき🥺 いや続きは見たいですがちで!!🥺🥺 もうほんとにこの2人でしか出せないふわふわしたいちゃいちゃ感ほんとすき😿😿😿
続き書こうか迷ってるので見たい方いれば是非教えて欲しいです❣️
ひゃああ〜〜〜〜〜第2話も尊すぎて胸が痛いんですけど!!😭💕💕 寝てるlpくんがまさかの裸で、mlちゃんが布団かけ直そうとして固まっちゃうとことか完全に恋人同士の空気じゃないですか…!しかも無意識に寄っていくmlちゃんの心理描写が繊細でエモすぎて何度も読み返したよ、、「少しだけ」って自分に言い訳してるの、わかるわかる〜ってなる!!そしてまさかの寝言で「メルト…」って呼ばれてビクッてなるところ、もう青春の縮図すぎるでしょ!!二人で毛布に包まれて眠るラストも最高にハートフルでした…次の話も絶対読みますね🥺💖
@ミ)語尾にゃん