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第2話「家探し」
『いや、僕も自分の家ないんだよね』
「は、はぁ〜?!」
目を見開き、顎が外れんばかりにあんぐりと口を開け、
「じゃあ、お前今どこで暮らしてんだ!」
そう聞かれ、僕は一瞬言葉に詰まった。こんなことを言うのは少し、いやかなり情けない。こんなことを言ってしまえば同情、あるいは哀れみの目を向けられるだろう。絶対に嫌だ、それなら死んだ方がマシとも思えた
「おい、無視すんなって!」
急かすな
少しは”待て”ということが出来ないのだろうか。幼児でもあるまいし…
「おい、聞こえてるぞ」
また口に出ていたようだ。
僕は勇気を振り絞って…いや、こんなことのためにそんなことする必要性はあるのだろうか?という疑問が浮かび上がったが僕にとってはそれほど重大なことだ。気を取り直し深呼吸をし言った。
『僕、今クラスメイトの家に居候中なんだ』
……
少しの間沈黙が流れた。
体感では1分くらい経ったのではないか?と思うほど重く長い時間に思えた。だが実際には2秒くらいだろう。そんな少しの間が流れ、君は言葉を発した
「え、マジ…?」
予想外だった。
こいつの事だから、「え、クラスメイトの、?ヤバw」などと罵詈雑言を浴びせてくるのかと思っただが実際は180度違かった。そして、また何か言おうとしいたため、僕は言葉を待った。
「ヤバすぎw」
前言撤回
やっぱりこいつはこいつだった
「さすがにダサいっしょ…w」
そっちだって家に住まわせてくれと懇願してきたくせになんだその態度は
言ってしまえば同類であろうに…。
「なんか言った?」
…
『本当に面倒くさいな』
「はぁ?!何それ!!僕みたいな可愛い子とこんなに喋れるなんて中々ないよ?!」
「どうせ君童貞だろうしそんなチャンス二度と来ないよ!」
「ばーか!」
本当にこいつは…
だが、こんなことを繰り返していたら朝日を迎えてしまう。
ここは大人な僕が流れを断ち切らないとな
『今はそんな事じゃなくて、家を探さないとじゃないの?』
「はっ!そうだった!馬鹿と一緒にいたらやっぱり馬鹿は伝染るんだな…」
ぼくは思い切り怒鳴りつけたいという思いを無理やり押し返し何とか耐えた。
『まぁ、1回友達に連絡して了承得たらいいけどね…』
「よし!やりぃー!!」
はにかんだ笑顔をみて思わず笑みが零れた
顔はいいんだよな…あとは糞だが
「おい、早く連絡!」
『あぁ、すまん』
だから急かすなっての…!学習しないなこいつは…
プルルルルル
プルルル…
<もしもし?>
『あ、いきなりごめん』
<いいけど、なんかあった?>
『実は、お前の家に居候したいってやつがいるんだけど…』
<は?>
『やっぱり無理だよな…!』
『ごめん、丁重にお断りしとくから…』
<別にいいけど>
『え?!』
『いいのか?!』
<お前の頼みなら断らないよ>
『本当にごめん!』
<全然いいよ、じゃあ待ってるから>
『うん、分かった!』
「プツンッ」と音を立て電話は切れた
「で…なんだって?」
『いいってよ』
「え、まじ?!」
「君みたいに卑屈で頑固な人じゃなくて良かった!」
はっ倒してやりたいと思ったがそれは心の奥底に秘めといた。
僕ってやっぱり大人だな…
「じゃあ、早く行くぞ」
『あ、うん』