テラーノベル
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私は、雅弥のお陰で最大の罪を犯さずに済んだ。
あの日、私は雅弥との子供を身ごもっていた。
あの決行の一ヶ月前
間近に迫った人生をかけた復讐の最後を迎える時に、私と雅弥は激しく愛し合った
それは、お互いが怖くて堪らなくて
その恐怖から目を逸らすための繋がり合いだった。
緊張の一ヶ月
生理が来てないことに気がついていなかった。
私たちは
きちんと入籍し、子供を迎えた。
そして、15年後――
娘が我が家に友達を連れてきた
「ママ、冬期講習で会った子なの」
「はじめまして。|千夏《ちなつ》ちゃんと仲良くさせてもらってます、|汐恩《しおん》って言います。」
可愛らしい子だった。
「そう、私の兄もシオンって名前なのよ」
「ママお兄ちゃんがいたの!?」
娘が驚いていた
「うん、病気でね若い時に亡くなったけど」
「ただいま」
「あ、パパ!お帰りなさい。お友達連れてきたんだよ。これから二人で勉強するの」
「ははっ感心だな。がんばれよ。
翔音、ただいま」
「うわっ!待って、パパ!!汐恩ちゃんいるからやめて!!」
千夏が汐恩ちゃんの手を引いて
慌てて部屋から出ていった
「はははっなんだあれ?」
そう言いながらただいまのキス。
「両親が挨拶のキスするの恥ずかしいみたいよ?」
私たちは、あれからもずっと深く愛し合っていた
娘に、私と同じような不幸が決して起こらないように、雅弥と私は
娘に自尊心が育つようにと懸命に守った。
反抗期を迎えた娘が雅弥と少し対話しただけで笑顔を取り戻した。
さすが心を掴むプロだな。
フッと心が急に軽くなった
「……あ、終わったんだ」
復讐に囚われていた時間が、
いつの間にか私の中から消えていた。
雅弥が笑っている
娘の部屋から楽しそうな声がする。
私はもう、あの頃の私じゃない。
~翔音と雅弥編End~
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