「 帰ろっか 。 千冬。 」
そう暖かい言葉に惑わされる 。今日もまた、
頷いてしまうんだ 。
帰るべきでは無いのに 。帰っていいはずがないのに。
また 、白い目が俺を見つめた 。
また 、電車の車輪と 、線路と擦り合わせる音が。
駅で人々が話す声 、囁く早く声が 。
俺の事なんてひとつも話してないのに。
俺の事なんて見向きもしてないくせに 。
女性の機会音声のような声が 、アナウンスしている中、
また … 。俺の脳裏で響かせる 。
「 ごめんなさい 、」またそう言って泣いてその醜悪を晒すんだろう 。
まるでそれが欠陥人間のように見られ 、
人々は話すんだ 。あの蟻のように 。
同類だったんだ 。同類でしか無かったんだ 。
だから殺したくなったんだ 。だから殺しても何も思わなかったんだ 。
同じだから 。
心が痛まなかった 。自分を殺すのに 。
自分と同等な生き物を殺しても 、
何一つ罪悪感なんてなかった 。
救ってあげたんだ 。きっとアイツも社会に揉まれ社会に嫌われ、社会に睨まれる生活から、
俺は楽な所へ案内してやっただけ 。
楽な所に 。
俺は一体何を言ってるんだろ 、¿¿
間違ってる 。こんなこと 。
間違ってることなんて 、この世界にいくつあるんだろ。
「 何ボーッとしてんだよ。千冬 。」
いつの間にか家に着いていて、
いつの間にか 、玄関でたたずんでいた。
その目の前で 、きょとんとした顔で覗き込む鈴は 、
どうも 、気に食わなかった 。
「 ……… 迷惑ばっかりかけて 、 」
ごめんなさいという間に彼の腕の中に引き寄せられた 。
驚きはあったが 、その前に温かさを感じて
唇を噛み締めた所がじんと痛みが走るせいで、
反応なんて取れなかった 。
「よく頑張った 。風呂入ろっか 。笑 」
後頭部を撫でられ 、 我慢が途切れそうになった 。
「 ありがとうございます 、」
そう呟くと鈴がちりんとなり 、口角が上がっている彼を見た 。
綺麗だ 、
彼なら 、あの潰れた蟻にまで涙を流して泣いてくれるのかな。
歩いていた足を、止めてくれるかな 、
どうしようもない蟻を、すくい上げて埋めてくれるだろうか 。
羨ましいな 。いいな 、いいな 、
俺が羨ましい 。俺が憎たらしい 。
その場所変わってよ 、俺と変わって 、
ホント哀れだよな 、ホント哀れ 。
どれほど環境が変わっても 、
結局は同じなんだ 。人間は 、同じなんだろ 、?
性格なんて治るわけないんだから 。
「 変わってよ 、 」そう呟くと一虎は俺の頬を殴った 。
「 へ 、? 」
「 … 変われだと 、?
変わってやれるならとっくの前に変わってるっつーの!!!!! 」
「 ちがッ 、」
「 俺だって他人事だなんて思ってねぇよ !!!
変われなんて言われたってどうすればいいんだよ!!
変わり方教えてくれんのかよ?!
教えてくれよ!!!変われる方法を!!!! 」
俺のたった一言で誤解を産んでしまうことになった。
言葉一言で 、変わってしまう 。
母ちゃん 、
「 … 死にたい 、笑 」
その言葉を発した時母はすごい目付きになって 、
俺の頬を平手打ちした 。
「 バカ息子!!!!! 」
そう怒鳴り、涙する母に言葉が詰まった 。
「 アンタがどれほど不良になったっていい 、
どんだけ悪いことしたっていいわよ!!!
生きててくれれば!!!!
いつだって、何をしたって子供の味方なんだから 。
それが親っていうものよ!!!
でも 、死にたいなんて二度と言わないで!!!
私の今まで育ててきたここまでが 、
全部否定されてるみたいで凄く辛い!!!
父ちゃんが生きてればよかった!?
母ちゃんじゃなかったら幸せだったかな、
ごめんね、こんな母ちゃんで 、、
でも 、私は 、アンタを産んで後悔したことなんて一度もない!!!!!
言葉1つで!!!
人は傷つくの!!!命を奪うことだってあるの、!!
言葉を考えて生きてよ !!!」
本当だね 。母ちゃん 。
本当のことを言えばいいかな 、
ちゃんと 、言えば 、いいのかな 。
「 … 違うんです 、一虎くん 、
本当に違うんです 、変わってって言ったのは 、
一虎くんにじゃないんです 、」
震える右手を左手で抑えながら話した 。
「 は、」
「 …… 俺が羨ましいんです 、」
「… 千冬が ? 」
「 … 一虎くんみたいな 、人のそばで生きてられるなんて 、
羨ましいなって 、思って 、
一虎くんに嫌味を言ったわけじゃないんです 、
一虎くんのような人なら 、
死んだ蟻にだって 、平等に手を伸ばすでしょ、? 」
自分でも何を言っているかわからなかった。
でも 、彼には届いたんだ 。ごめん殴って 、
そういうことだったんだ と笑って撫でられた 。
俺よりも俺の事分かってるんだ 、
これって 、誰の体 ?
コメント
3件
お母さんの言葉めっちゃ心に刺さった…
母ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!! むっちゃいい人やん!!一虎ぁぁぁぁぁぁあ!!!!支えてやれよ!ちふゆんを!この話見て僕はこれからお母さんとちょっとお話ししよ☆
1コメ!!それは千冬の体だよ!! お母さん優しすぎ!!! 今回も最高でした! 続き待ってマース!!!!!