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私は多分レズ寄りのバイだ。詳しく言えば男女問わず恋愛対象にはなるが女性の方が恋愛対象になりやすいということだ。
女とキスをしろと言われればできると思う。男とキスをしろと言われたらどうだろうか。そんな経験はまずないので考えたとこで無駄だが。
私がこんな話をしているのはなぜか。特に理由はない。強いて言えば意味のない人間の存在理由を考えるようなそんな感じだ。
天を仰ぐ。
「まぶしっ」
今日も今日とて学校に足を運ぶ。こんなひねくれた性格だからだろうか今まで友達という友達ができたことがない。よくある展開じゃあここらで手を差し伸べてくれる光のような存在が現れてくるはずだがそんなご都合主義なのは二次元の世界だけであって三次元には無いものである。
そう。私はいわゆるボッチだ。
別にボッチが悪いわけじゃないしボッチだからなんだという話だ。そして必然的にpineの友達リストには家族しかいない。トホホ、親しい友達くらいは欲しいところだ。
いつの間に校門前まで来ていたのか。一旦思考を放棄すると周りの話し声が鮮明に聞こえてくる。
「昨日の火曜日のダウンタウン観た?ヤバくね?」
面白かったな
「プタバ新作出たんだって!」
そうなのか。飲みに行くしかない。
こうして返事はしているものの返ってくる言葉はない。
悲しんでいる所急に後ろから肩を叩かれた。
「おはよ!」
「おはよう」
反射的に挨拶をしてすぐに遠くなる背中を見つめる。ここ最近あの子は毎日私に挨拶はしてどこかへ行く。そんな感じのことが続いている。何がしたいのかも分からないし同じクラスで私が一人でいる時にも声は掛けてこない。というか目すら合わない。名前はたしか華屋日向。明るい性格で天真爛漫であることから誰よりもその名前が似合っていると感じる。ホントになんなんだ。
階段を登り2年A組というクラスプレートがある教室に入り 自分の席にカバンを掛けて華屋日向という人物を観察しようと目を向ける
バチリ
まるで音が聞こえてくるかのように視線が合わさったが、すぐに逸らされてしまった。
私は目が合って逸らされるのはいいが逸らすのは嫌いだ。負けた感じがするからだ。そんなことは置いといて華屋日向が私を見ていた。なぜ?それともただの気のせいなのか?
なんだか嫌な予感がする。
嫌な予感というものは必ずと言っていいほど当たる。
「ねぇ、柒見杏珠さん。貴方ってレズ?」
なぜだ。どうしてこうなった。数分前に遡ろう。
それは私が帰ろうと靴箱の扉を開けようと手をかけたときだった。華屋日向に声をかけられた。話があるから着いてきて欲しい。と。嫌な予感はしていた。していたがここで断れるような勇気があるほどできた人間ではないので仕方なくしぶしぶ着いていくことにした。連れてこられたのは誰もいない教室。
そしたらコレだ。大変めんどうだ。返事をしない私を見兼ねて
「返事をしないってことは肯定してるのと一緒だよ」
「じゃあ私がここで違うって言えば華屋日向は信じるの?」
「私の名前、知ってたんだ。どうだろう。信じないかも」
「でしょう?だから私は何も言わない」
「でももしかしたら信じてたかもよ?」
「別に否定することでもないからね」
それもそうだ。否定することでもない。誰かに迷惑をかけたわけでもないし私がレズ寄りのバイであることに変わりはないのだから。ここで間違いを訂正することにする。
「華屋日向。貴方は私をレズと言ったけど私はレズ寄りのバイ」
「そうなの?変わりないじゃん…」
大いに変わる。とツッコミを入れたいところだ。
「それで貴方はこれを聞いて何をしたい?」
「別に何もしないよ。ただ聞いてみただけ。だって柒見さんすごい私の事見てくるんだから!」
なるほどそういうことか。
「不快に感じたのであればごめんなさい。貴方がどういう人物なのか観察してた」
「そっか!なんで私を観察してたのかはめんどうだから聞かないことにするね!」
好都合だ。私もそれは回避したかった。めんどうだからだ。
「じゃあこれからよろしくね!柒見杏珠さん!」
「これから?」
華屋日向は一体何を言っているのか。
「うん?そうだよ!これからよろしくね!」
「…よろしく」
華屋日向はそれだけ言ってさっさとここから出て行ってしまった。
私は顔を手で覆って言う。
「めんどうなことになる…」