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久しぶりにテラーを開いた那賀酸です。さて、今回は第9話の「未来ノートの再発見」です。
それでは、どうぞ!!
美月と蒼が再び忙しい日々の中で距離を感じ始めた頃、一冊のノートが二人の運命を再び繋ぎ直す鍵となった。そのノートとは、幼い頃から二人で夢を描き続けた「未来ノート」だった。
蒼は一人の夜、クローゼットの奥から未来ノートを取り出した。仕事や日常に追われる中で、このノートに触れるのは久しぶりだった。ページをめくるごとに、かつて美月と共に描いた夢や願いが色褪せることなくそこに記されているのを見て、胸がじんわりと温かくなった。
「美月とまた、このノートを一緒に開きたい…」 蒼はそんな思いを抱きながら、美月にメッセージを送ることを決意した。
「この前の話だけど、また未来ノートを一緒に開こう。きっと大切なことを思い出せると思う。」 そのメッセージを見た美月は、しばらくの間画面を見つめていたが、やがて小さく頷き、返事を送った。 「いいね、また二人で未来を描いてみよう。」
その週末、二人は公園のいつものベンチで再び向かい合った。未来ノートを手に取った蒼は、懐かしそうに微笑みながら言った。 「このノート、本当にいろんなことを思い出させてくれるな。ほら、ここに書いた『二人で星を見る旅』とか。」 美月もその言葉に笑みを浮かべる。 「そうだね。あの時は、星空の写真を集めたり、どこの星が一番きれいかなんて話してたね。」
ノートをめくるうちに、二人の心に再び火が灯るのを感じた。かつて描いた夢に触れたことで、忙しさや不安に押し流されそうになっていた思いが、少しずつ蘇ってきたのだ。
そしてその日、二人は新たなページを開き、新しい夢を書き加えることを決めた。 「仕事や忙しさの中でも、お互いを大切にする時間をちゃんと持つこと。」 「いつか、二人で新しい場所に行って新しい思い出を作ること。」 そんな小さな目標でも、二人にとっては大きな一歩だった。
美月は満月が輝く空を見上げ、静かに呟いた。 「このノートがあってよかったね。このノートが、私たちをいつも繋ぎ止めてくれてる気がする。」
蒼も頷きながら言った。 「これからも、どんなに忙しくても、二人でこの未来ノートを大切にしよう。そうすれば、きっと乗り越えられる。」
その夜、二人は満天の星空の下でノートを閉じ、新たな一歩を踏み出す準備を整えていた。このノートが二人の絆をさらに深め、新しい未来を描くための道しるべとなることを、二人は確信していた。