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薄暗く、息のしにくい部屋。この部屋で僕は息絶える。太宰、僕は本当に太宰もと死んでもいいのたろうか。来世の僕に恨まれないだろうか。
太宰治と江戸川乱歩の心中事件。大した騒ぎにはなっていなかった。唯、2人が何故?どうして、死んでいったのかはなにも明らかになっていないのだ。
8月、今年の最高気温を突破したそうだ。世間では熱中症患者が続々と増えている。まぁ僕には関係無いのだが。
「あ〜暑い。体が溶けそうだ。」
冷房を付けていても暑い。クゥラァのリモコンを手に取り温度を下げる。
「体の前にアイスが溶けてしまう」
べちゃ、予想通りアイスが溶けて僕の膝の上に落ちた。バニラの香りが鼻に付く。
被害を広げない様ティッシュを手に取りアイスを拭き取る。
「うわぁドロドロだ。」
ズボンを脱ぎ捨て、ジャァジに着替える
着替え終わると真っ先にアイスを取りにキッチンへ向かった。冷凍庫の戸を開け、中を探すとアイスの箱がもう無い
「うわ、もうアイス無いじゃん…」
自分で買ってこようかと思ったが面倒くさい。家族に頼もうと大きな声で呼びかけるが返事がない。出かけている様だ。
諦めて自分で買ってこようと玄関に向かいサンダルを履く。
コンビニは運良く近い場所にあるのですぐ済む
バニラアイスの箱を手に取り素早くレジへ向かう
金を払い自宅へ帰ろうとコンビニを出た。
すると同い年くらいだろうか綺麗な顔をした男子高校生とすれ違った。容姿がとても整っていたため通行人達がかっこいいねやら話している。
(かっこいいな…)
男の僕でもかっこいいと思ってしまう程だ。
「ただいまー」
返事が無い、まだ誰も帰ってきていないみたいだ。早足で2階へと上がる。
「あっつ、クゥラァかけていけばよかった」
窓を全て閉め切っていた部屋はもう蒸し部屋だ。
「これじゃあアイスが溶けちゃうよ」
一箱といっても貴が4本入りのアイスだ。直ぐに食べ切れると思い2階に持ってあがったのだ。
この暑さでは4本全部食べるどころか2本程食べたらあとは全部溶けてしまうだろうと思い一度一階へ降りる
冷凍庫にアイスを入れ2階へ戻ろうとした。その時家のチャイムが鳴った、あいにく自分以外誰も家にいない為仕方が無しに玄関に向かった
玄関の戸を開けると先程の男子高校生が立っていた。家族の知り合いか?と考えたがまぁあり得ないだろう。するとその少年は僕の名を呼び笑顔になった。
「は?誰?」
もう一度顔を見たが知っている顔では無い。僕が誰?と聴くとその少年は残念そうな顔をして僕に云った
「私は貴方と前に一緒に運命を絶ちました」
と、は?意味がわからない此奴と運命を絶った?死んだって事か?僕はこの通り生きているし此奴の事を知らない。
「僕と君は心中をしたと云う事?」
少年の顔に笑顔が戻りはい、と頷いた。
いつの事だと聴いたが前ですと答えるばかりだ。「僕は君の事を今、初めて見たんだ前と云っても僕にはわからないよ」
少年の顔が少し曇った。
「まぁ、そうですか…少し残念です。でも、忘れているなら、一から記憶を作って見せます。」
自信に満ち溢れた顔で僕に云った。
「はぁ?」
訳もわからずに僕は云う「あのさぁ」、僕の言葉を遮るように其奴は云った。
「明日から学校ですよね?」
明日から夏休みが終わり、学校になる、何故此奴がそんなことを知ってるのかと思ったが僕は軽く頷いた。
「宿題はもう済んでますか?」
「終わってるけど?」
「流石の乱歩さんだ!」
其奴と玄関で、少しだけ話した。すると其奴が「もう帰らないと、では、また明日」
僕に手を振り、其奴は走って帰っていった。
「嵐のような奴だ…」
次の日。
ジリリリリリ大きな音を立て、目覚まし時計が鳴り響く。
「五月蝿いなぁ」
重い体を起こし目覚まし時計を切り、一階へ向かう。
「おあよお」
目をこすりながら下へ降りると家族は居ない、もう仕事に行ったようだ。
ラップの掛けてある朝食を食べ、準備をする。
「いってきまーす」
鍵を閉め、ポケットに突っ込み、走って学校に向かった。
別に学校が好きだとかそういう訳では無い。遅刻をして、変に目立つのが嫌なだけだ。
学校に着くと、靴箱の中に何やら手紙が入っていた。裏面を見ると太宰、そう描いてあった。誰だか分からなかったから同学年では無いだろう。これが世にも云うラブレタァと云うものなのか?僕には必要無いと思い、教室で捨てた。
ホームルームが始まると、先生が転校生を紹介する。そう云った。特に興味が無いから頬杖を突き適当に話を聞いていた。先生が「太宰、入って来い」と云い、僕は目を見開く。朝の手紙の主の名だ、僕らハッとなった転校生だから名前を知らなかったのだ。だとしても転校生が僕になんのようなのだろうか?手紙を入れる場所を間違えたのか?それだとしたら少し悪いことをした。
「おはようございます」
聞き覚えのある声が僕の耳を伝る。
そうだ、昨日の少年だった。其奴は僕と目が合った事に気づき、軽く手を振った。
「えっと、太宰治です。好きなものは自殺、嫌いなものは犬です。よろしくお願しまーす。」
軽い挨拶を其奴がすると僕はなにかを思い出したような気がした。
(このプロフィル何か、聞いた事があるな)
そんな事を考えていると先生が云った。
「席は…、そうだな、あそこに座れ、江戸川!ちゃんと面倒見てやれよ」
ふと僕の名前が呼ばれた事に気づき思わず立ち上がった。
「は、はぁ!?なんで僕が!」
僕の話を遮るように太宰が「よろしくお願いしますね、乱歩さん♡」
と、嫌みったらしい笑顔で僕に云った。