💡が精神崩壊してしまう話。MACHATU-Aでシェアハウスしてる。
⚠自傷行為の表現あり。嫌な人は回れ右。ご本人様とは関係ありません。
💡視点
「応援要請だ」
街の中心部での交戦らしい。知らないヒーローからだったため、行きたくない気持ちもあるがこちらもヒーローであることに変わりは無いため準備をして街に向かう。
「遅ぇ!!」
ほら、またこれだ。これがあるから知らないヒーローとはあまり関わりたいと思わないのだ。
西で良く思われない機械を使うオレは偏見を持たれることもしばしば。
「…すいません」
一応先輩のはずなので謝っておく。その後も何か言っていたが無視して戦っていた。強い敵はおらず、数も少なかったためなぜ呼んだのか、という感じだったが一言入れて帰ろうとする。
「じゃ、お疲れ様です、失礼しまーす」
「マジお前使えねぇ!なんでおもちゃ使ってるお前がDyticaなんだよ…!!」
「…あぁ、」
そういう感じ。敵倒したのはほぼオレ、と言いたかったが何とか我慢する。Dyticaはヒーロー内でも有名でその中では弱いオレはよく嫉妬の目を向けられる。皆に心配はかけたくないので言ったことは無いが。
「どーせ、お前のこと足手まといだと思ってるよ」
少しバカにするように笑って去っていってしまった。こういう悪口は気にしたら終わりだ。他の事を無理矢理にでも考えて本部に戻り報告しに行く。
寝る前は必然的に1人だ。それまで誰かと話していれば紛れたマイナスな思考も、ただ目を瞑っているだけだとオレの事を責める。そのままずっとずっと寝れない時間が続いた。オレにとってはとても長い時間に感じたが時計を見れば5分ほどしか経ってはいなかった。このままじゃ寝れないな、と思ったオレは下のリビングに降りる。あわよくば誰かと他愛のない話なんかできたらな。
そんな期待は裏切られ、リビングは珍しく静けさを感じさせた。それでも自分の部屋で1人眠るとまた考えてしまう気がしたからせめてリビングにあるみんなで座るための大きめのソファで寝ることにした。
「…イ?ライ?」
誰かの声。寝起きの頭ではすぐには分からなかったが、目を開くとふわふわのわたくもくんが視界の8割を占領していたためカゲツなのだろう。
「カ、ゲツ…?」
「うん、ぼく」
「…どうしたの?」
「いや…伊波が、…こんなとこで寝とるから」
「あ、ごめん…!」
「全然いいんやけど、…なんかあった?」
「ん?いや〜?何も無いよ、ごめんオレ部屋戻るね」
「あ、うん。おやすみ」
「おやすみ」
まだ時刻は午前4時。二度寝しようか考えたがもう頭が冴えてしまったのでメカの整備をすることにした。机を見た時、何粒かの涙が落ちて自分が泣いていたことに気付いた。
「い”っったぁ……」
作業に没頭して気づけば時刻は午前7時。メカニックグローブを貫通して小指が深めに切れてしまった。
洗って絆創膏だけ貼りちょうどキリの良いところで作業は終わらせ、朝食を食べに行くことにした。
朝食を食べ終わり作業に戻ろうとした時、任務の通知が鳴る。星導やカゲツの端末でも通知が入っているためどうやらDytica全員に出されているよう。かなり大規模な敵なのだろう。
「ライ、行くで」
「あ、うん」
さすがにDytica全員駆り出されているだけあって敵は強く、任務は苦戦を擁した。でも実際はオレが足を引っ張っただけ。ぼーっとしていたオレは正しい判断ができず右腕に深めの傷を負ってしまった。朝の怪我もあってそれからはいつものようには動けなかった。
みんな優しいからオレのせいだ、なんて言わなかったがきっとみんなそう思ってはいるだろう。昨日の言葉を引き摺ったオレが完全に悪いのだが。
帰り道、オレは何も言えなかった。
それからみんなの家に帰って珍しく自分で手当をした。ウェンの作る美味しいご飯だって今日だけは食べられる気がしなくて。そのままベッドでオレは伏せた。顔を枕に押し付けて止まらない涙には気づかないフリをして。
窓から明るい日差しが差し込み目が覚める。時計を見ると9時を余裕で過ぎた頃。今日は10時頃から合同練習がある。
「…やばっっ!!」
完全に寝坊。任務関係で遅刻なんてした事なかったためものすごく焦っている。急いで準備を済ませて外に出た。
「あ、ライ!」
「珍しいな、遅刻なんて」
「小柳くん人のこと言えないでしょ」
「うるせえ」
「ごめん!普通に寝坊しちゃった」
「全然いいよ〜」
「じゃあみんな集まったし始めよか!」
「そうだね」
そうしてぬるっとMACHATU-A合同練習が始まった。今日は一日ある予定なのできついが、毎回みんなと居られるのは楽しい。
今日も昨日と同じ。昼頃になっても何故か思うように動けなかった。いつも寝たら治るのに。
「お前、今日動き悪いぞ」
「小柳、…うん、ごめん」
「ちゃんと鍛えとけよ」
そう言ってまた小柳は去っていった。もう今日は無理だな、と思った。こう言われただけでメンタルに来ている。思ったより心が疲れているのかもしれない。前に誰かから言われた「休みは任務と同じくらい大事だ」という言葉が頭をよぎる。家に帰ったらすぐに寝よう、と決めた。
結局最後まで練習したもののいつもみたいに動けないままだった。心配されたり怒られたり。普段の数倍疲れてしまった。早く寝て回復しないとな。
「ッは…!!」
鼓動はうるさく冷や汗もすごい。時刻はまだ丑三つ時。悪夢でも見たのだろうか。
心の限界を感じる。先程起きてから夢の内容を思い出しては死にたい、なんて思ってしまう自分がいるのだ。実質的にはもう死んでるのかもしれない。
自分自身が生きてることをどうしても確認したかった。オレは切ってしまった、自分の手首を、自分で。
痛かった。まだ死んでない。安堵の気持ちともにそれを嫌と思ってしまう気持ちも溢れる。自分ではどうしたらいいのか分からなくてそれから長い間自分のことを傷つけ続けた。
気づけば外も既に明るくなっていた。
今日は任務のない緋八、星導、小柳とご飯に行く予定があった。小柳を引っ張り出すのは果てしない苦労だったがやっと来てくれるのだ。
血はまだ止まらなかったけど軽く包帯を巻き、手首は長袖の服で隠してみんなで外に出た。
「やば、これめっちゃうまそう」
「え、緋八それにすんのー?」
「でもメニュー全部見てからにしよかな、ライ取ってくれへん?」
オレが左腕を伸ばした時、正面にいた小柳に腕を掴まれた。
「痛っ…!」
「お前そんなとこ傷無かったろ、血も止まってねぇし」
気づかれた?一瞬左腕を上げただけで。さすがの洞察力と言ったところ、なんて客観的に思っているがオレとオレの左手首を見る3人の目線が痛い。
「ち、がう…なんでもない、から!」
静寂を破ったオレの声は思ったよりも震えていた。
「違うって何が違うんですか」
「その…機械の整備してる時に怪我しちゃっただけ」
「そんなんいつもの服着てたら隠れてるし怪我しないと思うけどなぁ」
優しいマナの声を聞いて涙が出そうになってしまう。情けないが、まだ弱ってはいるようだ。
「今日は帰るぞ、後で傷見せろ」
「…うん」
誤魔化すのはもう無理だ、と観念して素直に諦めた。
家に帰ってすぐに包帯を解かれる。みんな少し驚いた顔をした。そりゃあそうだ、明らかに自分でやったと分かるような切り傷なんだから。
「…ごめん」
「なにが」
いつもと同じように平然とロウは答えた。
「これ、自分でやっちゃったの」
「見たら分かるわ、そんなん」
マナは怒っているようで、先程と違い声は低く、恐怖を感じるほどだった。
「何かあったんでしょ、相談くらいしてください…頼むから」
「ごめん…」
「全部言ってみろ」
そうしてオレは事の発端から何まで全部話してしまった。少し気持ちも楽になった気がした。
「で、そのヒーローって誰ですか」
「え…なんて名前だったかなぁ…たしか----?」
「よし、分かった。ソイツ社会的に潰しに行こか」
「そうだな、今から行くか」
「そうしますか、逃げられても困るし」
「ちょ、ちょ…もう気にしてないからさ!」
笑って言ったつもりだったが、どうやら上手くは笑えていなかったらしい。みんなは眉間に皺を寄せてオレを見つめる。
「ま、これからそういうことあったら俺らに言ってくれや、ちょっとは頼ってくれたっていいやろ?」
「そうですね、溜め込みすぎるのは良くない癖です」
「よし、早く行くぞ」
「お前潰しに行く気満々やん」
「…んはは!みんなありがと!」
本当は違う、本当はただ気付いて欲しかっただけなのかもしれない。ただ、その方法が下手だっただけで。オレなりの精一杯のヘルプに気付いてくれたんだ。
手首から流れる涙はもう止まったかな。
コメント
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さぶとタコニックは元々大好きでしたけどこやなみの良さに目覚めた。。本当に好きですありがとうございます