TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

 

 後半開始が近づき、神白たちはコート内で円陣を組んだ。

「ヴィライアの選手は、この試合中よく集中してプレーできている。プレスも早く正確だ。だから皆、もうワンテンポ、球離れを早くしていこう。特にユースケ。君はボールを持ちすぎるきらいがあるよ。シンプルなプレーを心がけよう」

 キャプテンのレオンが、澄んだ顔付きで所感を述べた。

「うっ、そうっすね。気をつけるっす」天馬が反省したような調子で応じる。

「前半は怪しい雰囲気だった。俺も正直、このまま後半も守り切られて負ける気がしていた。けど、監督はいつも通りだったな。皆、目は覚めただろう。後は勝つだけだ! 行くぞ(vamos)!」

「「おう(si)!」」

 威勢良く締めて、神白たちはそれぞれのポジションへと走って行った。

 

 

 全員が配置に付いた。しばらくして主審が笛を鳴らして、試合再開。

 ヴァルサ9番が足裏で転がした。受けたレオンは、ゆるやかに前へとドリブルしていった。

 敵7番が相対する。レオン、充分に引き付けてから右方の9番にパス。

 9番は中に一度運んで、くるりと逆を見た。3番が一直線に上がっていた。

 3番にパスが出た。右足外で止めてから、縦へと持ち込んだ。だが敵6番が従いていく。

 急加速した天馬が接近。3番はすかさずそちらに転がす。マーカーの10番も追うが、天馬のほうが早い。

 天馬は右足を引いた。3番が再び駆け出した。裏へのパスを予測した10番、しゃにむに足を出す。

「オレは囮!」自信満々に言い放つと同時、天馬はボールを上げた足の下に通した。

 絶妙なスルーには8番が反応。ダイレクトで正面に転がし、斜め前にダッシュする。

 ゴールを背にレオンが受けた。背後では暁が、がつがつとレオンの足を削りにかかっている。

 レオンは暁を抑えつつ、真左に落とした。目標は8番だった。

 8番はキック・モーションに移行。敵5番がとっさに足を出す。

 しかし8番は撃たなかった。右足直下にボールが至ると、すっと足の内側でいなした。

 軌道が水平から斜め前に変わった。7番が抜け出た。キーパーと一対一。

 7番、キック・フェイント一度入れ、左足で冷静に転がした。ボールがネットを揺らす。

 刹那、ベンチが歓喜に沸いた。ヴァルサの出場者は7番に駆け寄る。

「グッジョブ! ブルキッチ! 冴えてるじゃんかよ!」神白も、心のままに7番を讃える。クロアチア人の7番は、嬉しそうな笑顔でグーにした手を上げて応えた。

 ヴァルサ、後半開始早々に追いついた。ゴドイの大喝で皆が奮起して生まれた、至高のパスワークからの完璧な同点弾だった。

loading

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚