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※この物語は架空の創作物であり政治的意図が無い事また、拙い文章であることを予めご了承下さい。
コツ コツ…
🇨🇳『ぁ゙ぁ゙ッ~何で会議なんて行かなきゃなんねぇんだよぉー。』
中国は気だるそうにそう言い放った。
🇯🇵『まぁ、…何でもかんでも閣僚に任せる訳にはいかないでしょう?』
🇯🇵『私達だって、少しは国の為に尽力しないと。』
🇨🇳『でもなぁ…。』
🇯🇵『じゃないと、また変な条約やら声明やらを出しかねないわよ?』
日本は優しくも中国を諭すような声で言った。だけども彼女のその表情は、少し曇っているように見える。
こんな顔になるのは、自国の政治がどれ程までに酷いかを重々承知しているからだろうか。
🇨🇳『分かっていても身体が言う事聞かねぇんだよ。この歳になると。』
🇯🇵『貴方今年でいくつ?』
🇨🇳『4000歳以上………か?』
中国は目線を日本へとやった。
🇯🇵『何で私の方見るのよ。(笑)』
🇨🇳『いや、お前の方が覚えてるかなって。』
🇯🇵『細かい数字は、もう覚えてないわよ。』
🇨🇳『だよなぁ〜。』
彼等は国の化身だ。
擬人化じゃぁ無い。
だから、今の国が国として存続するその前から生まれるケースが有る。
例えば、アメリカなんかは独立戦争後に化身として誕生したが、歴史の古い国はそうじゃない。
その内の2人が日本と中国。
日本は神武天皇の、中国はそれ以上前の時代から生き続けている。
だから実年齢は中国の方が年上だ。
だが、彼は今『中華人民共和国』として存続しているので、
国としては日本の方が年上となる。
だからその分歳が分からなくなるのだろう。
🇨🇳『そういうお前はどうなんだよ。』
🇯🇵『……女の子に年齢を聞くのは失礼なのよ?』
🇨🇳『女の子って言える様な歳じゃねぇだろ。』
🇯🇵『は?』
日本は瞳孔をカッと開いて、静かに中国を見つめた。
どうやら地雷を踏んだらしい。
和やかな雰囲気は、直ぐにピリピリとした空気へと変わった。
🇨🇳『わ、悪かったって……。』
🇨🇳『そんなに怒るなよ…。』
どうやら日本のこの表情は怒りの感情を表しているらしい。
🇯🇵『………………………。』
🇯🇵『………………………。』
🇯🇵『……………タルトケーキ。』
日本は長い沈黙の末に、小さくそう呟いた。
🇨🇳『(……食べたいってことね。)』
🇨🇳『あー、分かった分かった。』
🇨🇳『このクソ会議が終わったら奢ってやるから。』
🇨🇳『だからそのHUNTER✕HUNTERのイルミ見たいな顔止めてくれ。』
🇨🇳『今にも暗殺されそうで怖ぇンだよ。』
中国は日本のご機嫌を取るようにそう言った。
🇯🇵『………絶対よ?』
🇨🇳『(やっと機嫌直ったか。命拾いした。)』
🇨🇳『ああ、絶対だ。』
中国はホッとした様な、少し面倒くさそうな顔を見せた。
2話で 中国から誘うのは奢ってくれる合図 と言われていたが、一番初めはこうやって日本のご機嫌取りとしていたのかもしれない。
🇯🇵『あ、ほら、着いた。』
日本がそう言うと、そこには大きな重厚感溢れる扉が立っていた。
どうやら目的地へ到着したようだ。
🇨🇳『チッ』
中国は軽く舌打ちをした。
🇯🇵『……そんなに嫌?』
🇨🇳『当たり前だろ?!時間取られるし、
毎回何の解決もしないし、五月蝿いし、』
🇨🇳『彼奴等と顔合わせるってだけでも気が重くなるってのに……』
中国は眉間にシワを寄せて、明らかに不機嫌そうな表情を見せた。
🇨🇳『てかお前よく平気だな。』
🇯🇵『私も米国と会うって思うと気乗りしないけど………』
🇯🇵『久しぶりに出席するし、ドイツさん達と、化学談義も出来るし……。』
🇨🇳『…そうか。』
中国は静かに相槌を打った。
彼がこんな神妙な面持ちをするのは
目の前に眼帯をし、片足を義足で支える自分の恋人が居るからだろう。
化身で有り人間ではない彼等は、例え四肢がもげようとも全身がミンチになろうとも死ぬことはない。
その国のステータスにもよるが、
例えば腕を吹き飛ばされたとしても、2秒と待たず再生する。
だけど彼女……日本は、自分の身体を元に戻そうとはしない。
外国の『人間』からは、
『アメリカに対する嫌味だ。』
『被爆者に対する敬意の現れだ。』
など、反応は様々有るが彼女自身の口から理由を語ったことは一度たりとも無い。
君等君等はもう分かっていると思うが、彼女の傷は先の大戦で負った物だ。
他の国の化身は直ぐに傷を癒して仕舞うので、日本の様に身体に障害が残るケースは珍しい。
だからこそ、見世物の様にならないように何時も出席しなければならない会議は全てソレ専門の官僚(人間)が出席している。
と、いうか単純に身体が弱っている状態で行かせるなど危険過ぎる。
被爆による症状は、もう年月が経ち完治している。だが、今でも不透明な部分が多く研究が進んでいる状態だ。
80年経った今でも何が起こるか分からない。
🇨🇳『……。』
だが、全てをパス出来るわけじゃない。
人間達と同じ様に、彼らも化身同士の会議を開かなければならないと国連の名の下に定められている。
ソレが今回の国際会議だ。
🇯🇵『きゃっ!』
中国は突然日本を抱きしめた。
🇯🇵『えっと、…………どうしたの?』
🇨🇳『………………………。』
🇨🇳『……………………別に。』
日本は照れ臭そうに頬を赤らめ、少し戸惑っているように見える。
一方の中国はというと素っ気ない返事をした割には、日本のことをギュウッと抱きしめて離さない。
🇯🇵『………///』
ギュウ…
日本も、何時もより少し強く中国を抱きしめた。
中国はそれに応えるかのようにより強く抱き返し、
少しした後、固く結んでいた腕を解いた。
🇨🇳『………すまん。』
中国は小さな声でそう呟いた。
その謝罪の言葉は、きっと急に抱きしめた事以外へも向けられているのだろう。
先の大戦の事を自国民はどう思っているのかなど、実際の所は分からない。理由は簡単、
彼の国が情報統制されているからに他ならない。
だが一般的に言われている事は、もはや話すまでもない。ソレは当然、化身である彼の耳にも入っているからだ。
🇯🇵が自分の国民からどんな目で見られているのかなんて、化身として産まれて来た以上、考えることを避けては通れない。
🇯🇵『………。』
🇯🇵『(こんなに素直だなんて珍しい……。)』
🇯🇵『………………。』
ちょんちょん、
日本は中国の服の裾を軽く引っ張った。
🇨🇳『……?』
🇨🇳『どうした
🇨🇳『!!!?』
なんと日本はいきなり中国にキスをした。
🇨🇳『いっ、いきなりどうしたんだ…?///』
中国は赤面状態でそう聞いた。
声も少し震えている。
普段は恥ずかしがって手を繋いですらくれない日本がいきなりキスをしたのだ。
年頃の男子(4000歳)には刺激が強すぎる。
こうなって仕舞うのも無理はない。
🇯🇵『えっ、えっと、あの……//』
🇯🇵『こ、この後の会議…頑張れる様に…』
🇯🇵『おっおまじない…みたいな……///』
🇯🇵『…///(。>﹏<。)』
日本は顔を真っ赤にして後ろを向いてしまった。
🇨🇳『…………//』
お互い照れてしまってコミュニケーションが途絶えた。
辺りには中学生の様な甘酸っぱい雰囲気が漂っている。
🇨🇳『………』
ギュウッ
中国は再び日本を後ろから抱きしめた。
🇨🇳『……あー、…俺は今後もずっとお前と一緒にいたいんだ。』
🇨🇳『俺にとっては、お前が唯一本音を話せる相手で、弱みを見せられる相手で……』
🇨🇳『女として、今も昔もずっと…すっ…好きで…//』
🇨🇳『あー、…えっと、要は』
🇨🇳『今後も恋人として俺の傍に居てくれるか……?///』
中国もまた顔を真っ赤に染めて日本に本音を告白した。
会議室前の厳かな雰囲気は、もう完全に甘ったるい空気へと飲み込まれていた。
🇯🇵『……うん。 』
🇯🇵『わっ私も、ずっと…ずぅっと一緒が良い…///』
日本も普段とは違った柔らかい声で、そう答えた。
彼らは化身で有り擬人化ではない。
その為、国民感情や災害で心持ちが変わったり、怪我をしたりはしない。
そうじゃなかったら、🇯🇵と🇨🇳という本来ならばとても仲の悪い国同士の化身が、恋人などという関係になったりなどしない。
だが、国際情勢によって合うこと自体がままなら無くなる時が有る。
最近は、色々と今までの情勢が崩れてきている。
特に日本と中国という本来敵対する立場に身を置く国同士は、いつか化身同士の交流すらも禁じられる可能性が有る。
彼らも、それは重々承知だ。
だからこそ、少しでも互いに不安な事が有ると、こうやって身を寄せ合ったりする。
🇨🇳『……コッチ向いてくれるか?』
日本は、ゆっくり中国の方を見た。
中国は日本の頬に、手を伸ばし顔を近づけた。
🇯🇵『(もしかして…//)』
今度は彼女の顎に手を添えて、自分の顔の高さまでクイッと上げた。
🇨🇳『…………//』
彼はゆっくり片腕を日本の腰に手を伸ばした。
そして少しづつ唇を近づけた。
2人共に頬がピンクに染まっている。
何時もはこんなに見つめ合ってはしないから、逆に恥ずかしいのだろう。
🇨🇳『(後もう少し……。)』
日本の唇と彼の唇の距離は、もはや無いに等しい程近かった。
もうキスをする…その瞬間
何かが倒れるような、服が擦れる様な音がした。
🇯🇵🇨🇳『ビクッッッ!!』
あまりにも突然だったので
2人共、心臓の鼓動が止まってしまう程驚いた。
警戒して音のした方を見ると……
🇫🇷『ちょっと押さないでよっ!(小声)』
🇬🇧『そんな事してませんよ!(小声)』
🇬🇧『ご自身の体重に腕が耐えきれなかっただけでしょう(小声)』
🇫🇷『はあぁぁぁぁぁぁあ!?(小声)』
🇫🇷『あんたもういっぺん言ってみなさいよっ!(小声)』
………………。
………………………よく見知った顔がそこにはあった。
そして向こうも彼らに気が付いたようだ。
🇬🇧🇫🇷『あっ………………。』
🇫🇷『いやぁ~……違うのよ?』
🇫🇷『覗き見してたとかそういうのじゃないのよっ、ねっ?』
フランスはイギリスの方見て同意を求めた。
🇬🇧『そうですそうです。』
🇬🇧『偶然通りかかって、出るに出られなかっただけなんですよ。』
🇬🇧『だからその…………この体制を辞めさせてはもらえないでしょうかね…?』
🇬🇧『我々…もう足が限界と言いますか…』
今どういう状態かというと
🇬🇧、🇫🇷が正座で説明をし、🇨🇳はそんな2人を仁王立ちで見下ろしている。
🇯🇵はというと……余りに恥ずかしかったのか、その場にしゃがみ込んでしまっている。
🇨🇳『……………お前等何時から観てやがった』
🇫🇷『扉の前で無言で抱き合ってる時からかしら?』
🇨🇳『ほぼ最初からかよ……。』
🇬🇧『おーい、日本さんダイジョブですか〜?』
🇯🇵『……死にたい(。ノω\。)』
日本は小さな声でそう言った。
🇨🇳『どう落とし前つけてくれんだコレ。』
中国の顔はよく見ると、所々に青筋が出ている。相当お怒りのようだ。
恋人とのひと時を邪魔されたら、こうなるのも無理はないだろう。
🇫🇷『ちょっ、…落ちちゅきなさいっ!』
🇨🇳『お前が落ち着け。 』
フランスは少し噛んでしまった事を恥じらったが、直ぐにコホンッと咳払いをし、
立ち上がって中国へと駆け寄った。
🇨🇳『誰が立って良いと
🇫🇷『はいはい落ち着きなさい。』
フランスは謎に上から目線で言った。
🇫🇷『邪魔してしまったのは謝るわ。』
🇫🇷『だ・か・ら・♡』
🇫🇷『良いものをあげるわね 。』
フランスはそういうと、どこからとも無く名刺を取り出した。
🇨🇳『…コレがなんだってんだ?』
🇫🇷『コレが有れば、普段は予約すら難しい最高級レストランの出入りが出来るのよ。』
🇫🇷『色々有るけど……あの子の口に合いそうなのは、やっぱりあの地中海のお店かしら。』
🇨🇳『連れてけってことか?』
🇫🇷『私じゃなくてあの子をね。』
フランスは視線を日本へと移した。
🇫🇷『レストラン自体がホテルの中に組み込まれてるのよ。』
🇫🇷『食事が終わった後、そのままベッドに押し倒してhappy endよ。』
🇨🇳『なんだその頭の悪そうなendは。』
🇫🇷『五月蝿いわねっ!とにかく、会議が終わったらちゃんと誘うのよ?』
🇨🇳『分かってる。…あ、』
🇨🇳『…一つ良いか?』
🇫🇷『何?』
🇨🇳『そこって、スイーツ出たりするか?』
🇫🇷『ええ。コース料理とは別に、ケーキとかフルーツが置かれてたはずだけど…。』
🇫🇷『ソレがどうしたの?』
🇨🇳『嫌、何でもない。』
🇫🇷『?そう。』
中国は冒頭で言っていたタルトケーキをそのレストランで食べさせようと思っているのだろう。
🇬🇧『あのぉ…そろそろ良いですか…………?』
正座のせいでシオシオになってしまった🇬🇧
がか細い声でそう聞いた。
🇨🇳『あ、忘れてた。』
🇫🇷『ちょっと大丈夫?』
イギリスは足が完全に痺れてしまったのか
産まれたての子鹿の様になっている。
🇨🇳『しっかりしろよ。(笑)』
🇨🇳『そろそろ行かないと国連の野郎がうるせぇぞ?』
🇬🇧『だっ、誰のせいだと……。』
🇨🇳『ん、ほら、もう行くぞ。』
中国は日本の肩に手を置いた。
🇯🇵『うん…。』
日本はもう随分落ち着いたのか、ゆっくりと立ち上がった。
🇨🇳『…………。』
中国は日本手を握った。
🇯🇵『!』
日本は直ぐに中国の方を向いた。
すると次の瞬間、
チュッ
軽く小さいリップ音が鳴った。
🇨🇳『あー…元気が出るおまじない……みたいな?』
中国は更に強く日本の手を握り、
🇨🇳『…今はコレで我慢な?(小声)』
と言った。
日本の顔はまた直ぐに赤くなってしまった。
何時もなら照れくさそうにして怒る彼女も、今はとても幸せそうな顔をしていた。
幸い、隣にいるもう一個の方のバカップルは、その事に気付いていなさそうだった。
会議へと足を踏み入れたら、彼らは互いの手を離さなればならない。
🇯🇵と🇨🇳の化身がその様な関係にあると、公にはされていないからだ。
この扉をくぐったら、恋人ではなく、国の化身として接しなければならない。
大きな扉は会議への門となり、彼らを出迎えた。
さぁ、…国際会議が始まる。