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青桃
恋人関係
直接的な表現はありませんがR18
誤字脱字あるかもしれません。
許せる方はお進みください。
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暗い部屋に差す、月の光。淡く揺らめくその光は、寝台上のふたりの横顔をほのかに照らす。
見えそうで見えない瞳。微かに見える口元だけが、彼のこころを読む手がかりとなる。
暗がりの中で手探りながら、彼の手を探す。やっとの思いで触れた指先は熱を帯びていて、本当に触れているのかどうか知ることが叶わないけれど。
「ん…なーに、ないこ」
「ぁ……ん、まろ…」
名前を呼ばれると、脳が焼き切れそうになるほどに嬉しくて、訳わかんなくなっちゃって、きもちよくなっちゃって。同時に、これが無くなったらって不安も浮かぶけど、そんなよりも大きい、しあわせの気持ちがあって。
この安心を得たいから、名前を呼んで欲しいから、すきって、アピって。
名前呼んで、なんて恥ずかしくてとてもじゃないけど、言えそうにないから。
「ぁ…ね、まろ、まろ…!」
「んふふっ、なに、なーいこ?」
「…ぁ、」
この、甘ったるくて優しくて、どこまでも深く染み込んでしまうようなこの声。
「顔、ちゃんと見してや、こっち見て。」
「あ、ふふっ、髪もどけるな」
「…まろも、」
「まろも、髪…」
「ん、あぁ、……はい、これでよー見えるんとちゃう?」
これも、すき。絹糸のように細やかで、程よく光沢のあるさらさらとした、深い深い海をそのまま写したような色の髪。
これを、耳にかけるこの、仕草。綺麗で、美しくって、妖艶な。
「ん…俺の、すきなかお……」
「かみ、おそろい」
「…あーもう、ほんま…」
ふにゃっと笑ってみせると、彼は困ったような笑いを零し、頬を少しあかくした。
でも、俺にはそんなまろを見るのが楽しくて楽しくて、だいすきな、彼のこの顔、弱いこの顔を見られるのは俺だけだってちょっとだけ悦に感じる。素直に嬉しいって言えないのは、彼がうつったかな、なんて。
「なに、見てんの?ないこ」
「ほら、こっち見て?俺をちゃんとみて?」
「ぁ……ぅん、まろ、」
「ほんま、すきやで、ないこ。」
「ないこのこんな顔見れるの、俺だけやって考えるといっつも、嬉しくてたまらなくなる」
「おれ、も……ぅ、ん………」
「…あ、もう、眠いん?」
あんまりにも甘い、心地いい声でゆっくりと囁かれ続けるし、だいすきな、彼に触れられてるってことだけできもちよくなっちゃうから、ずっともう、限界で。
もう眠ってしまいそうなほどにふわふわとして。彼を見てるけど、もう、すぐに眠ってしまいそう。
「…きもちーね、ないこ?」
「おやすみ、俺のだいすきな、だいすきな、ないこ」
さっきよりももっともっと優しく甘く囁かれて。まだ見ていたいから、必死で、おきていようと彼の手を握ったところで、そのだいすきな彼の手で目隠しをされた。
そんなことされて、眠ってしまわないわけがなくって。
甘い甘い声の余韻に浸りながら、そのまま目を閉じた。
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頬を軽く掠める程度に差していた光が段々とゆるやかにからだを蝕んでいった。
頬に、髪に、指先に唇。
目を奪おうとゆらゆらと光り近づいてこようとした間際、扉の開く音がした。
「あ、おはよー、ないこ」
そのどこまでも優しく甘い声に、ふわふわとしていた意識を無理やりに叩き起し、まだ眠いと薄らと開いていた重いまぶたを精一杯に持ち上げてふにゃりとした笑顔でこたえた。
「ぅん……まろ、おはよ」
少し掠れた声でそうこたえると、彼は困ったような笑いを浮かべてため息を吐いた。
「はぁ……朝からそういうのはやめてや、ないこ。」
「さすがにかわいすぎる」
初めに言われて言葉に驚いている間もなく、それを読み取ったのであろう彼の口から可愛すぎるとの一言を貰った。
その言葉に内心大歓喜ながらも、寝起きでまだふわふわとした頭でへへ、とまたもふにゃりと笑ってみせる。
全くいつも通りの笑顔のつもりが、やたらとふにゃふにゃとみっともない笑顔だっただなんて知る由もないが。
「あぁ、そうや、」
「朝ごはん、もうすぐできるから。顔洗ってきいよ」
「え……いいの?朝ごはんまで」
「当たり前やん。ないこのためにつくってんねん」
「まろのごはんおいしいから、うれしい」
「んっははは!それはもう聞き飽きましたー」
「えー…ほんとだけどなぁ」
聞き飽きただなんて言いつつも嬉しそうに笑う彼を見て、何度目かも分からない恋におちる。
いつもの紳士的なかっこよさも大好きだけれど。素を出して幸せそうな顔をうかべる彼のすべてがだいすきなんだ。
「ねぇ、ないこ」
不意にまともな顔をしてこちらを見つめる瞳は、もう逃がさないと告げてくるような気迫を持っていた。
それでも優しいままの、その顔はそのまま柔らかに口を開いて。
陽の光を受けてきらりと輝く美しい宝石の埋め込まれた輪を左薬指に通す。
「これから、この先ずっと、俺の隣で笑っていてくれませんか。」
終
コメント
2件
寝る前によい推しペアを摂取出来ましたありがとう……😭 言葉の全てが丁寧で儚くて好き