はぁ、とドットは年齢に似つかわしくないため息をこぼした。気分転換に紅茶でも飲もう、とお湯を沸かし始めた頃にちょうど、悩みの種、ランスが帰って来た。
「お、おかえりー」
「あぁ、ただいま」
自分のついでにランスにも入れてやろう、と2つティーカップを用意する。棚に手をかけると、後ろからなにか視線を感じた。
「な、なんですかね?視線がうるせぇんだけど」
「フッ、いや俺の茶も入れてくれるのかと思って」
「なんだよ、気分じゃねぇ?」
「いいや、ありがとう」
そう、こんな感じで妙に素直なのだ。なにか変な物でも食べたのか様子がおかしい。前ならことある事に嫌味を言ってきたのに。なんか、俺がケーキになったときも変なこと言うし、た、食べられてもいいとか…なんだよそれ。
そうこう思っているうちにお湯が沸いた。ティーポットに注いで茶葉が開くのを待つ。
さて、紅茶も入れたことだし、優雅にティータイムでもしよう。あとランスとも何かたわいのないことでも話そう、そう思って椅子に座って紅茶を一口含んだ。
今日の紅茶も美味いな、そう思っていたらランスが口を開いた。
「言いそびれていたんだが、俺と付き合わないか?」
どうやらこのティータイムは優雅に過ごせなさそうだ。
「……は、はぁ?!」
あまりに唐突で口から紅茶を吹き出しそうになった。
「ずっと、ドットのことが好きだったんだ。信じられないと思うが、」
もちろん信じられない。なんで今、言うんだよ。そんな急に、しかもずっと、って。
いつから?と疑問に思ったときには口に出ていたらしい。
「……お前に出会った時。」
ランスの真剣な眼差しを見て、冗談なんかではないと気づいてしまった。
「…だから、ここ最近妙に素直だったのか」
「本当はもっと前から言おうと思ってたんだが。タイミングは大事かなと。」
モテるけど恋愛ごとに疎そうなランスが告白のタイミングなんて気にするやつだと思ってなかった。この一緒に紅茶を飲む時間が告白するときだ、と思っていたなんて信じられない。
「なんで俺なんか好きになったんだよ。俺、自戒人だしフォークだし…こんな俺をなんで好きになっちゃったんだよ…?」
そう聞くとランスは手を顎に置き考えるような素振りを見せた。ランスが話始めるまでの時間、きっと短いんだろうけど体感では長く感じた。なぜか緊張していたんだ 。
「そうだな、まず紅茶が美味いところ、性格が俺と似てなくて明るくて騒がしいところ、お人好しなところ、いつもは派手な感じなのに意外と丁寧になんでもこなすところ…」
これ、永遠と聞かされるんじゃないかと思うほど、何個言ったか分からないぐらい、俺の好きなところを聞かされた。自分から聞いておいて、恥ずかしくなってきて顔に熱が集まった。
「あと、そうやってすぐ顔に出て、可愛い髪みたいに真っ赤になるところも好きだ」
トドメを刺されてしまった。なんて言葉を発したらいいか分からず、口をもごもごさせるしかなかった。
「すぐにとは言わない、返事ずっと待ってるからな。」
ランスの言葉を聞き終えて俺はこう言った。
「っ、ま、前向きに検討しとく…」
コメント
2件
わぁぁ!!!最高!!!!美味しい!ご馳走様!!!ドットくん、どうか付き合ってくれ...