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裏五条
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#文芸アクション
大正
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#主人公最強
ウサギ様
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#ダンジョン
夜鐘
777
倭隈《わくま》ダンジョン第4層には、無警戒のトリプルフィンガーズがいた。
この階層は3層と違い、広い空間があったため、チーム莉子の行動は速い。
「よし! ここは僕が! 『大竜砲』!!」
「うにゃー! みんな、六駆くんのスキルの前に盾出して! 盾!! 『グラビティウォール』!!」
「みみっ! 『分体身』! からの『分体身煌気防壁』!!」
「意味が分かりませんわ。敵の命を守るとか、逆神さんは何なんですの? 『シルバーレイン』!!」
「よぉーし、わたしも! 『風神』」
「あ、莉子ちゃんは大丈夫だにゃー。風の盾は六駆くんの炎と相性良すぎだぞなー」
1人だけハブられた莉子さん。
「ひどいですよぉー! わたしだけ仲間はずれなんてぇー!」とか文句を言いながら、表情は明るい。
どうやら、「六駆のスキルと相性が良い」と言うセリフが彼女の琴線に触れたようだった。
こうして、4層でも大量のアトミルカ構成員をギリギリこんがり焼けない程度に焼き尽くしたチーム莉子。
既に何人倒したのか、相手に2桁ナンバーが含まれていたのかの把握ができなくなっている。
多分、後発部隊が山根と連携を取って確認してくれるだろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
さらに第5層に降りると、今度は武装したトリプルフィンガーズと遭遇。
数はおおよそ15人。
「うわぁ! これは大変だ!!」
「ど、どうなさったんですの!? 逆神さんがそんなに驚かれるなんて!?」
「敵さんの装備見て下さいよ! 真っ黒ですよ!! 僕の『漆黒の堕天使』と被ってるじゃないですかー! やだー!!」
「六駆くん、安心していいにゃー。敵さんの背中には、大きな金ラメで莉子! って書いてないから、しっかり差別化できてるにゃー」
「ああっ! そうだった! やっぱり莉子の名前を背負うのは僕だけですもんね! 良かったー! 見分けつかなくなったらどうしようかと思いましたよー!!」
小坂莉子が発言していないのには、莉子マントに愛着を持っている六駆に照れているからである。
「背中にわたしの名前書いてんじゃねぇ!」と言ってプリプリ怒っていた彼女はどこへ行ってしまったのか。
恐らくお忘れの方も多いと思うが、クララと芽衣、もちろんリーダーの莉子の装備の胸の部分にも「莉子」と金ラメで刺繍されている。
クララの胸の「莉子」は大きく歪んで、芽衣の胸の「莉子」は少し歪んでいる。
なお、莉子の「莉子」はまったく歪んでいない。
幸いなのは、仮にこの騒動が終わったのち小鳩がチーム莉子に加入する事になったとしても、彼女の装備はプレート式の胸当てなので「莉子」の文字が歪む心配はない点である。
さて、何の話をしていたのだったか。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ひっひっひ! こりゃあ美味そうなジャパニーズガールが来たぜぇー!」
「ヤマトナデシコとか言うらしいじゃねぇか! ヒュー!!」
今回は既にあらかたの説明を終えているので、存分に死亡フラグを立てると良い。
と言うか、アトミルカの構成員にも特色があるようだ。
タンプユニオールに居たアトミルカたちは統率のとれた兵士然としていたが、倭隈ダンジョンにいる彼らは荒くれ者タイプが多い。
どうせ倒されるのだからどうでも良いとの声が聞こえてきそうだが、やはり品と言うものは大事なファクターである。
「ぐあぁっ」と叫ぶのと「おげぇー」と叫ぶのでは、後者の方に追撃を仕掛けたくなるのが人情。
やはり、いい年をした大人になれば、反社会勢力であっても時と場所と場合に応じた態度が求められるのが現代社会。
「すみません! 倒す前に聞いておきたいんですけど、その装備お高いんですか!?」
今、いい年をした大人の態度について語っていたところである。
中身はとっくにいい年の六駆おじさん、良くない態度で敵に話しかける。
「ああん? 小僧、意外と見る目があんな! こりゃあホメロックスで出来たプレートアーマーよ!!」
「へぇー! よく分からないですけど、硬いんですね? ふぅぅんっ! 『豪拳』!!」
「おげぇぇぇぇぇーっ」
「おお、すごい! 割れないじゃないですか! なんでしたっけ? ダンロップ?」
ダンロップの靴の履き心地は無類である。
特にランニングシューズなどは格別。
「六駆くんってば! ホメロックスだよぉ! 深めのダンジョンの下層の外壁とかにね、たまに含まれている鉱石! ほら、御滝ダンジョンの最下層で人工竜と戦ったでしょ? ああいう場所は時間をかけて採掘すると、ホメロックスが採れるんだよ!」
ダンジョンの知識なら莉子さんにお任せ。
彼女の莉子ペディアとしての地位は何人ニューカマーが入って来ても揺るがない。
「それってアレかな? この人たちから剥ぎ取ってもお金になるヤツ?」
「んー。ホメロックスは加工されちゃうと価値が下がるんだよね。もちろん、南雲さんみたいに装備を作る専門家が加工したなら高価なものになると思うけどぉ」
「なるほど! こんな雑兵さんたちにそんな高価なものが配給されるはずがないね!!」
「わぁ! わたしが言いにくい事をズバッと言ってくれる六駆くんってすごい!!」
トリプルフィンガーズの装備に興味を失くした六駆はメンバーの元に戻る。
同時に、戦闘意欲を失くしたようだった。
「一発殴った感じだと、クララ先輩の弓スキルは相性悪そうですね。直にダメージ与える系が良さそうです。莉子と小鳩さんにお願いしましょうか!」
相手の装備の質を確認するために殴ったのか。
殴った事を正当化するために品質をついでに確認したのか。
おっさんとは、時としてしたたかな生き物である。
「莉子はなるべく『千紫万紅』で『風神十手』を発現させて戦ってね。常に高出力の煌気刀を扱うのって、意外と慣れるまで時間がかかるから。小鳩さんは莉子が新スキルに馴染むまで背中を守ってあげてください」
「分かったぁ! 行って来ます!」
「ふ、ふんっ! わたくし、逆神さんほどの実力者に頼られるようになったからって、震えるほど嬉しいですわ! 勘違いなさらないでくださいます!?」
それから、莉子によるライトセイバーひとり舞台が行われた。
小鳩もソロからパーティーに加入して日が浅いにも関わらず、六駆が「お見事」と唸るほどのサポートを見せる。
「ところで、芽衣。僕が『光剣』を使い始めてから苦労した事について話す相手がいなくなったから、ちょっと聞いてくれる? あのね、昔転生した先の世界で、鋼で出来た山があったのね。そこでさ、急に刀匠が襲い掛かって来て——」
「みみっ……。相手がイエスと言う前に昔語りを始めるところに、隠し切れないおじさんみを感じるです。でも、芽衣は弟子なので我慢して聞くです。みみっ」
六駆が昔語りの2割を話し終えたところで、莉子と小鳩が引き上げて来た。
どうやら、この階層も制圧完了したらしい。
「みんなー! 次の階層をちょびっと見て来たぞなー! なんか誰もいなかったから、休憩と作戦会議ができそうだったよー」
椎名クララ、不可視の御業を発動させる。
そう言えば全然喋らないなと感じていた全国25人のクララファンの方、さすがである。
「山根さーん!」
『はいはーい。おっ、さすがの手際っすね。じゃ、捕縛部隊を第5層まで入れるっすよー。皆さん、無用な心配っすけどお気を付けて! 下の方に強い煌気の反応がまだちゃんと感知されてるっすからね』
「それが楽しみだったんですけど、さっきから出て来る敵さんの質を見ているとなぁ……。僕のテンション受け止めてもらえるかなぁ」
乙女たちに少し遅れて、不安そうな顔で下の階層へ向かう六駆。
果たして彼を満足させられる手合いが待っているのだろうか。
コメント
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第254話、読み終えました!六駆さんが敵装備と色が被った騒ぎ、笑っちゃいました。「莉子」の金ラメ刺繍が歪む歪まないのこだわりも、チームの結束が感じられてほっこりしました。クララさんの存在感が「不可視の御業」発動で急に際立ったのも面白かったです。六駆さんが「強い相手に会いたい」って言う気持ち、分かります。ずっと読んでると主人公たちの活躍にこちらも熱くなるので、次も楽しみにしてますね🤍