今日もまた一日が始まる。
俺はお前が嫌いだ。
満ち溢れる自信、正義。
己の考えが正しいと真っ直ぐに進む精神力の強さ。
何もかもが気に入らない。
お前のせいで。お前のせいで。
*お前のせいで俺は、、*。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
暗い闇の中に、俺の目の前に立っている男は言うのだ。
『ディオ。君は寂しかったんだろう、
君はこの暗闇の中でずっと一人ぼっちだったんだ。君は君なりに助けを求めていたんだね。』
“来世はもっと良い関係で出会えますように”
*意識が遠のいていく。暗い闇の部屋からもっと深いところへ引っ張られていく感覚が、足の先から頭まで走る*。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、目覚める。
この夢を見る時は決まってなにか嫌なことが起きる。面倒事が起こらない事を祈りながらベットから起き上がった。
朝食の準備をし、ソファーに腰をかける。男1人には十分すぎる広さだ。
テレビはニュース番組をつけ、朝食をとりながら天気予報を確認する。
1日にすること考えながら、なんとなく、ぼーっと、買い物に出る1時までの時間を過ごすのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そろそろ時間だな」
1人の生活とはやはり心地よい。
誰も俺に指図する者はいない。
自分以外の人間のせいで気分を悪くすることがない。
今世では、生きていく上で必要なものを簡単に手に入れる事ができるし、どれも便利と言えるものばかりだ。
1人で生活していくのに困る事など何も無い。
この生活が楽で、今の俺にとっては満足なものである。
外出に必要な物を持ち、家の鍵を閉め、マンションの階段を下りる。
歩きで近くのスーパーまで向かう。
もう3月だと言うのにまだ寒い日は続いている。こんな日はカフェでコーヒーでも飲みたい、なんて考えながら、いつも通りの道を迷わずに歩いていく。
やはりあの夢を見ると嫌な事が起きる。
逆方向から俺の方に向かって男女2人組が歩いてくる。
━━なつかしいな。━━
女の方が、まるで俺を知っているかのように、表情をかえ駆け寄ってきたのだ。
何故この今世でもお前達に会わなければならないのだろうか。
運命ってやつか?
笑わせるなよ。
思い出したくなかった。
平和だった日常にヒビが入った音がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
俺の前に並ぶ男女二人は、
エリナ・ジョースター
ジョナサン・ジョースター
今世で名が変わっている可能性は十分にあるのでどうとも言えないが、こいつらは俺が知っているエリナとジョナサンで間違いないだろう。
俺は一体今どんな顔をしているんだ。
何も考えられなくなる、頭がどうにかなりそうだ。
「やぁ、久しいな。お前達今世でも恋人同士なのか~?お似合いで羨ましいよ」
咄嗟にでた言葉がこれだ。
「久しいわね。こんにちは、ディオ。」
懐かしい声が俺の名を呼ぶ。
「えっと…。こんにちは。初めまして、僕はジョナサン・ジョースター。エリナ、この人は?」
「は?」
阿呆らしい自分の声が冷たい空気に響く。
黒髪の大男は戸惑ってみせる。
正直かなり驚いたが、理解するのに時間はかからなかった。
ジョナサン、こいつには前世の記憶がないのだ。