TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

曇のち雨

一覧ページ

「曇のち雨」のメインビジュアル

曇のち雨

1 - 第1話

♥

113

2025年05月17日

シェアするシェアする
報告する

WB腐



親捏造   、  駅名捏造 、  色々 .



ほぼ もぶしかいない





⚠少々本作ネタバレ注意⚠

なんでも許せる人向け ~ 🙆🏻



書き方少し変えてみました🙇‍⤵︎



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



───何あれ、バケモン?


───気持ちわりー 、 こっち来んな!


───なんでアンタは普通じゃないの!



昔からよく言われていた言葉。


ずっと、 ずっと、 …  そんなに周りと違うのがいけないのか。  この髪色の、 この目の色の、 何がいけないのか 、。  そう考えてばっかりの日々。  考えても、 考えても 、…  答えが見つかる日はいつまで経っても訪れなかった。



これもきっと



オレが普通では無いからなのだろう。






「っ、  はっ、 …  ! はぁ  っ……  」



珍しく夢を見た。  昔の、 … 弱い自分。 大っ嫌いな弱い自分。  周りから常に蔑んだような目を向けられ、  時には石を投げられ、  それに腹を立てて、 反撃して 、 怒られて 、  余計に周りが離れていく … 。

まさに負のループ。  それに傷つき、 傷ついた自分こころを隠すように周りに当たる。  そんな弱い自分。



「ちっ、、  くそっ  !!」



ガシガシと頭を乱雑に掻く。  どれもこれも、 全て今日の”予定”のせいだ。



はーーっ …   と深く溜息をつき、昨日買ってきたものが入っているビニール袋を漁る。 そしてお目当てのものを見つけ、 雑にガサリと取り出しては、  イライラをぶつけるように空になったビニール袋を床に叩きつける。

今日は休日でも祝日でもないただの平日。   本当なら手に取るべきは”これ”でなく、制服のはずだ。



でも、  今日は制服を手に取ることは出来ない。


代わりのように手にしたくもない、  出来れば見たくもないものを手に取っている。

それが余計に桜の心を苛立たせる。



桜の手には1本のスプレー缶と、 1個の箱。



『   1day  ヘアカラー  〖黒髪〗   』




『 カラーコンタクト  〖黒〗  』





デカデカと書かれたキャッチコピー。  周りにとっては便利な物。 だが、桜にとってはただの自尊心を傷つけるもの。





風呂の鏡に映る自分の姿は、最悪な顔色なこともあって、  とても醜いものだった。

桜の性格を表すかのように、  白黒はっきりと分かれた髪。  陰と陽を表すかのような濡れ羽色と琥珀色のオッドアイ。  明らか”普通”ではない姿。

なんでこんな姿で生まれたのか。  そう思うのは奴らだけでは無い。  自分だってそう思う。  こんな姿じゃなければ、  こんな色じゃなければ、  “普通”であれば 、 !!



ガンッッ!!!



横の壁を勢いよく殴る。 穴があかなかったのは不幸中の幸い、とでも言うべきか。



朝の夢のせいで弱っているのだろう。  思考が”向こう”へ乗っ取られそうになる。


目を覚ませと言わんばかりに、 シャワーを手に取り服を濡らさないように顔へとバシャバシャと水を当てる。

水は冷たかったが、  幸いにも今の季節は夏のため、 涼しくはあれど寒くはなかった。



「… っはぁ 、  はぁ  、  …… よしっ 、  やるか  … 」



桜にしては珍しい程の弱々しい声。



まず、染髪用スプレーを手に取り、  己の白い部分に吹きかける。  斑に色づく髪に乱雑に掻き乱し、ある程度均一になるように吹きかける。  そのようにして真っ黒に染まる手と髪。  ある程度均一に染まったことを鏡で確認し、 手と顔に着いた染色剤を水で落とす。  その日専用の染色剤のため、  水で擦ったら簡単に薄くなってくれるのがありがたい。




ある程度落ちたことを確認できたら、  今度は箱からコンタクトを1組だけパキッと取り出し、  左目用の方だけペリペリと蓋をめくり、  指先につける。

もう片方の手で、目を開かせ、  目の中にコンタクトを入れ込んでいく。  いくらかパチパチとさせ、 慣らしていく。


鏡に映るのは、 桜の特徴であるものが全て消された姿。



これが、  周りからしたら”普通”ならしい。




だが、桜にとって違った。



桜からしては、   こちらの方が気持ち悪い。






やっぱり




オレは”普通”にはなれない。









濡れないように気をつけたが、結局濡れたし、なんなら染色剤も着いてしまった服。  さすがにこのまま外へはいけない。



バッと服を脱ぎ、  その場に落とす。  そして新たな服を取り出し、  頭からすっぽりと着る。  いつもの白のTシャツではなく、  長袖の黒のパーカー。



だって、黒は”普通”で、  白は”異常”だから。


だとしても、  夏にしてはかなり暑いからしんどいだろう。   だが、 さっき濡れたせいか、 それともこれからの事で冷えきった心のせいか、  暑さは感じなかった。


時刻は6時12分。


学校に行くにはまだまだ早い時間。  なんから寝ているものも多いだろう。

そこら辺に放っていたスマホを手に取り、楡井とのチャットを開き、『きょうやすむ』と入れる。  担任には既に言っているが、  楡井あたりには言っておかないと家に来られてしまう可能性がある。  それはさすがに申し訳ないし、  報連相をしっかりしろと説教されたのは記憶に新しい。 入れ終わったあとに気づいたが、 昨日充電し忘れたせいで、 スマホには残り11%と表示されていた。  幸い、 今日はスマホを使う予定は無い。  スマホを充電器へと刺し、  適当な札と小銭をポケットに入れこみ、  外へ出る。




桜が外に出て数分後、  スマホが光り、  その画面には『え、どうしたんですか?大丈夫ですか?』の文字が表示されたのち、誰もいない空っぽの部屋に振動音が鳴り響いた。








いつもは騒がしいまこち町の商店街。  だが、 朝早いこともあってシャッターは閉まっていて、人も1人居ない。  いつもならうるさいくらいに声をかけられ、  邪魔な程にものを渡される。

それが当たり前のようになってきていた桜にとっての今の商店街は、 かなり堪えるものがあった。


それこそ、  今までが夢だったのではないかと錯覚するほどに。



無意識に早まる足。  まるでいつまでもベッタリと張り付く静寂を置き去りにするように。





「おはよう、  どこに行くんだい?」



「…  古が丘  ってとこ …   」



「 随分遠くまで行くんだね、  古が丘なら…  この電車を使うといい  料金は往復で560円だよ  」



「  … おぉ 、 これで、 」



「 ちょうどお預かりします。  これ、往復切符ね、  もうすぐ電車来るから少し待っててね 、  行ってらっしゃい  」



「  …  あぁ  」





駅内にもやっぱり誰もいない。  適当なベンチへ腰掛け、 電光掲示板を見やる。


古が丘方面行き、 まもなく到着。



それの言葉を裏付けるように、  遠くから踏切がなる音がする。





キィーーーッと大きな音を立てながら止まる電車。 桜が乗り込んだ車両だけか、 はたまた全両か、 人は1人もいなかった。


だが、それが今の桜にとってはとても嬉しいことだった。  今の姿なら、 奇異の目を向けられることもないはずだが、  やはり自信はない。



適当に腰掛け、 静かに電車に揺られる。

少し眠気の残る心に従うように目を瞑る。  どうせ今から行く場所は終電のため、 乗り過ごすなんてことは無いんだから。












今日の予定が決まったのは昨日の昼過ぎのこと。  見回りもなく、 蘇枋も楡井も予定があって解散が早くなった昨日。  いつものようにボロい家へ帰ると、  見慣れないものがウロウロとしていた。  最初は不審者かとも思ったが、  特徴的な赤い原付と、指定の制服から彼は配達の郵便局員ということがわかった。

彼は桜に気がつくと、 一瞬怪しんだが、 風鈴の制服を見て、  安心したように一息ついていた。



「  ここに住んでいるのは君かい? 201号室っての …  」



「あぁ、 そうだけど …  なんか用か? 」




「うん!  実は一通の手紙が来ていてね、  はい、これ !」



ガサリと渡されたのは1枚の茶色の封筒。  手紙なんて …  いや、 出処の心当たりが一つだけ。



「  …   あぁ  、 ぁ 、 あ り が   と … 」




「 いえいえ !  これも 仕事ですから!!  無事届けられて良かったです!  それでは!  」




それだけを言うと、  配達員は原付に跨り、  そのまま振り返ることなく去っていった。






鍵のかかっていない扉を開き、  靴を脱ぎ散らかし、  ドスドスと居間へと向かう。  うるさいぐらいにバクバクとなる心臓を押さえつけながら。

封のしてあるところをビリッと破り、中身を見る。  入っていたのは1枚の紙のみ。



『  金を取りに来い  』



たったその一言。



全身がぶわりと粟立つ。心做しか息も早まり、喉が小さく ヒュッ、 ヒュッ、 と なっている。



桜はいくら自力で立ち上がろうとしようと、  所詮は無力な子供な訳で、  特に金銭面では大人を頼るしかないのだ。  いくら虚勢を張ろうと、  そればっかりはどうしようもなくて、  頭を下げる、  または、  それ以上に  対価  を支払うことをしなくてはならない。




今まではあの一家に近づかない。  という条件を対価に金を貰っていた。  それなのに今回のこの知らせ。



出てくる時、  もう二度と顔も見たくない。  と言ったのはどこのどいつだっただろうか。  そのくせ呼ぶ、 ということは、  振込をする余裕もなかったか、  それとも …  ただのストレス発散か   …  。

… 恐らく両方だ。 確か、 引き取り手の父親を名乗るやつは、 会社の1番偉いやつと聞いたことがある。  風鈴でいえば、 梅宮みたいなものだろう。

そしてその息子を名乗るやつは、  そいつの後釜らしい。


息子の性格は”表面”だけ見れば 良い奴だ。  細かいところに気づくし、 頭もいい。 周りにも優しければ、 気も聞く。




だが、 その姿を見せるのは”人間普通のやつ“に限定したもので、  “バケモン“は管轄外らしい。

桜を見つけ次第、  周りにバレないように地味な嫌がらせをしたり、  暴言を吐いたり、  自分の手を汚さないように手を出してきたり  … 。



そうしていつもストレスを発散していたようだ。  それなのに、  急にストレス発散要員が居なくなったのだ。  どうせあいつの事だ。  ろくにほかの発散どころも見つけられずに、 ストレスを貯めているのだろう。



行ったら何をされるのだろうか。  居なければいいな。  どうしたらいいんだ。




…     やだ な ぁ   …





逃げてしまいたい。










───次は古が丘  古が丘  終点です。




無機質な機械のアナウンスで目が覚める。



じんわりと汗ばむ背中。  少しだけ早い鼓動。   … 嫌な夢を見た気がする。

電車内はやはり誰もおらず、  一定間隔で電車の揺れる音が嫌に響く。  強めの日差しが電車内に差し込んでいるが、  桜の座っている位置はちょうど影になる部分。  それは不幸中の幸いと捉えるべきか、  それとも皮肉と捉えるべきか。





けたたましいブレーキ音と、  前方へとかかるエネルギー。


シューッという音と共にガタリと開く扉。

目の前には古びた小さな駅。  駅員はやっぱりおらず、  稼働しているかどうかも怪しい機械のみが鎮座している。







外は朝よりだいぶ日差しが強くなっていて、  紫外線が肌を貫くようにジリジリと焼き焦がしていく。  元々桜は色素が薄いため、  紫外線によるダメージを受けやすい。  数十分外にいるだけでも、  肌は瞬く間に真っ赤になって、  最悪の場合高熱を出す。

もしこの場に桐生が居たのなら、  桜ちゃんのきれいな肌がー!  なんてことを言いながら、桜の全身に日焼け止めを塗りたくっていたことだろう。

安易に想像できる姿に、  自然と込み上げてくる笑み。  だが、  あくまで想像でしかないそれへの笑みは酷くもの寂しく、  同時に儚げで美しかった。





駅から実家まではそれなりに距離があるが、  バスなんてものはないため、  歩くしかない。

シャワシャワと絶え間無く鳴き続ける蝉。  所々にある蚊柱。  そんな中をとぼとぼと歩く背中はすごく小さいように見える。







無心で歩いていると、案外早く着くもので、  昔よく見た家が見えてきた。  無駄に広い敷地にある大きな家と、  離れのように明らか後付けである小さなプレハブ小屋。  僅かな懐かしさと、寂しさ。

先程まで無に等しかった心音が、  少しずつ存在感を出していく。

チャイムを押そうとする手が震える。  ハッ、 ハッ、 と 意味が無いほど短い息を繰り返す。



ピンポーン



桜の醸し出す緊張感に見合わないほどの、軽快な音がした。  桜の今の家はチャイムが壊れていて、  その音を聞く経験が少ないせいか案外大きく響いたように思えた。



『はい』



なんの温度も持っていない。  抑揚もない。  昔よく聞いた平坦な声。  恐らく、 カメラでチャイムを押したのが桜であることを知ったのだろう。



「っ、  遥 …  です…   金 、 取りに…  」




そこまで言って、ブツッという音が響いた。  そして家の中から聞こえる足音。




そんなにオレの声を聞きたくないのか。

なら、  はなから呼ぶなよ …





ガチャリと控えめに開くドア。




『 入れ 』



その言葉を最後、  女は1歩下がり ドアが閉まる。



「 …  失礼 、 します  … 」



自身でドアを開く。  何足か並べられた靴。  いくつかの花瓶が飾られた下駄箱。  綺麗に壁にかけられていた家族写真。  そして、  隣に等身を映し出す鏡。

昔、 1度だけ入ったことある。  その時と、  全く変わらない風景。  ただ1つ変わったのは、  映し出された自身のみ。


視線を目の前へ移すと、そこには絶対零度の瞳が待ち構えていた。  あの時と変わらない。  軽蔑の眼差し。  本当は玄関どころか、 敷地にすら踏み入って欲しくないのだろう。  そんな雰囲気がひしひしと伝わってくる。  かろうじて 姿を変えてきたから仕方なく入れてやった、 というところだろう。

息が苦しい。  昔は耐えれたのに、  最近は受け入れられてばっかりだったから、  それに甘えていたから … 。  これが、 本当の扱いということを忘れてしまった。  忘れようとしてしまった。


自然と下がる視線。  視界にはまるでノイズがかかったようにガサガサしている。  それは今の状況のせいか、  それとも暑い中水分補給も無しに歩いたせいか。  どっちにしろ、  ここにはそれを気にする人はいない。  もちろん、 桜自身も含め。



すると不意にバサッと茶色の封筒が投げ込まれる。  少しの厚みがあるそれはきっと、 今日の目的のものなのだろう。



『  早く取って、  早く帰ってくれる?  』



相変わらず、 温度も何も無い平坦な声。  そのくせして、 嫌悪感がひしひしと伝わってくる。




「 ありがとう …  ございます 、 … 」




サッと屈み、 ガサッと手に取る。  この厚みなら、 暫くは取りに来なくても平気だろう。  ここで初めて、 少しほっとすることができた気がした。

ドアのノブへと手をかける。  不意に後ろから聞こえた 気持ち悪い  という言葉は聞かなかったことにした。



早く敷地内から出ようと1、2歩  3、4歩と歩みを進めた時、 後ろからガチャリとドアが開いた音がした。  まだなにかあるのだろうか、 と思い、  振り返ろうとした瞬間。 パシャリ と己の左半身に水がかかった。  飛び散って口に入った水は 若干塩辛かったため、 恐らくそれは塩水なのだろう。  通りで かかった部分がベタベタするわけだ。



『 疫病神  …  早く出て行ってよ  … 』





邪気祓い … みたいなものか。

色々な思いが溢れそうになるのを、  唇をギュッと噛み締めて何とか耐える。

首筋にポタリと少し重みがある雫がたれた。  恐らく 水を被ったせいで染料が1部取れてしまったのだろう。  黒い服を着てきて本当に良かった。





『 お前、 遥か?  』



その声にはよく聞き覚えがあった。  少し声変わりして低くはなっているが …

できることなら関わりたくない。  振り返りたくない。  だが、 それは叶いそうもない …  。



『 おい、 無視すんなよ 』



手が伸びてくる気配がする。   思わず反射的に振り返り、  その手を払う。

少し身長が伸びただろうか。    だが、昔のような冷たい目ではなく、  おもちゃを見つけた子供のような、  純粋で、  悪意に満ちた目をしていた。



『 いって …  はらうことはねぇだろ ? 』



「 オレに関わってくるな 」




桜とて、 先程のことから、 今のこと。  もう、 人情なんて残っていない。風鈴で培った温かみも、 丸みも … 。  まるで、  最初の時と同じ。  なんの温度もない、  酷く空っぽで、  どこまでも孤独な … 。


さすがの相手もぞわりとしたのだろう。 半歩後ろへ下がり、 伸ばしてきた手も下ろしていた。




『は、  ははっ、 やっぱりお前やべぇよ 』



『  バケモンは、  いつまで経ってもバケモンのままだな  』






『 いい加減 、 身の程をわきまえて消えろよ、  疫病神 』





『  邪魔なんだよ  』













そこからはどうなったのかは正しく覚えていない。  色んな思考にのまれているうちに相手は消えており、  ただ1人、  虫の音に包まれて立っているだけだった。


電車内には朝と同じように、でも全く違う陽の光が差し込む。   暑いはずなのに、心はずっと寒いままで、  今にも凍死してしまいそうなほどだった 。



疲れたな …





桜の頭に残るはそれと微かな頭痛だけだった。








感覚的には行きより遥かに早く風鈴へ着いた気がする。  往復切符は用済みと言わんばかりにそのまま機械へと吸い込まれていった。


駅を出ると、そこはよく見知った風鈴の街並み。  朝とは違い、 商店街のシャッターは開ききり、  元気の良い声と、ちらほら見える風鈴の制服。

今の桜にとってはそれはとても綺麗で、 純粋なものに見えた。  そんな中に、 薄汚れた自分が入っていいのか。 答えは否だ。

今まで被ることのなかったフードを初めて手に取り、頭へとかぶせた。  ムワッとする感覚が気持ち悪いが、  仕方の無いことだと割り切るしかない。

今はとりあえず人に会いたくない。  街のやつにも、  風鈴のやつにも、  そもそも合わせる顔がない。

そんな思いから、 意図的に裏路地のような場所を選んで自宅へと向かう。 いつもなら商店街を突っ切るため、 そこまで時間がかからないのだが、 裏路地は少し道が入り組んでいるため時間がかかる。それでもやっぱり、  表を通るよりはかなり気分が楽だった。



『   ちょっと! やだっ、  離して !!   』



そんな声が聞こえた時には、桜の足は理解するより早く動き始めていた。

少し先に、女子高生ぐらいだろうか、 男二名に壁へ追い込まれている。 どちらが悪いかなんて一目瞭然。


『  いいじゃん、少しぐらい付き合ってよ   』



『  別に痛い事する訳じゃないんだし  』





───こういう自分勝手なやつはいつ見ても反吐が出る。

軸足にぐっと力を入れ、 男たちに飛びかかる。




「 だせぇことしてんじゃねぇよ!! 」







最初こそ威勢が良かった男たちだが、   桜の手によって、  直ぐに地面に沈められた。




「 ちっ、  口ほどにもねぇな …  おい、 大丈夫 だったか ? 」




『 え、  あ …  ありがとう … ございます … ??   』

迷いの含まれた声色。 それはきっと、  今の桜はフードを深く被った怪しい姿だから。  仕方ない、  頭ではそう理解できるが、  傷心中の身にはかなり堪えるものがあった。



『 ちょっと!  何してるんすか!! 』




背後から聞こえる、 聞き馴染みのある声。  目に浮かぶのは綺麗な黄色のふわふわ頭。




『 これ、 君がやったのかな? 』




続くように発された、  いつもの軽さはどこへやらと言いたいほどに、  重たく ずっしりした声。




『 あ、  風鈴の、 !  この人は私を助けてくれて … ! 』




『 え、 あ、 そうだったんすね!  すみません … 早とちりしました … 』



『 そっか … !  オレも、 ごめんね 』




どうしよう、  別に謝って欲しい訳じゃない。  こんな怪しい格好している自分が悪いだけなんだ。


言いたいことは山ほどある。  けど、 それを声にしてしまっては、 桜であることがバレてしまう。  どうすればいい …  どうするべきか … 。

黙っている姿が余計に怪しく移ったのか。 それとも何かを感じとったか、  蘇枋は楡井にさっきの女性を表へ案内するように伝えていた。





場に残ったのは蘇枋と桜、 そして先程から地面に伏せている男たち。



『 ねぇ、 なんでこっち向いてくれないの ? 』




先に沈黙を破ったのは蘇枋の方で、 少し訝しげに問いかけてくる。

答える訳には、  声に出す訳には …  だって、 声を出せばバレてしまうから、  そして、


余計なことまで話しそうになるから。





そんなダサいところを見せたくない。  ダサいヤツを嫌うくせに、 自分が1番ダサいなんて、  認めたくない 、  知られたくない。




そんなことをぐるぐる考えている間、  蘇枋は1つの可能性にたどり着いていた。


見かけからして街の人間ではなさそう、 どちらかと言えば、  そこら辺のちっぽけなチームに居そうな雰囲気なのに、 女性を助けた。  別に偏見がある訳では無いが、こういう奴はだいたい加勢するか、  助けたフリをして手中に収めるかのどちらかが多い傾向にある。


背は自分よりやや低め、 背中を向けてるのもそうだが、フードを深く被っているため 顔は到底見えそうにない。 靴は動きやすそうで、どこかで見たことあるようなスニーカー。

自分よりやや背が低い。 見覚えのあるスニーカー。  困っている人を見過ごせない正義感。



蘇枋の中には、1人の人物の可能性がふつふつと上がってきていた。  ちょうどその人物は珍しく学校を休んでいたため、  余計にそう思えてしまう。




『  もしかして、  桜くん ? 』




ビクッとした背中。  これで確定した。  この人物は桜であると。















やばい。  それでいっぱいだった。

顔を見られたわけじゃない。  声だって出していない。  なのに、 何故…  この男… 蘇枋は気がついてしまったのか。




逃げろ





本能の叫びから足にぐっと力が入る。  そしてそのまま逃げ出す …  ことは叶わなかった。




『 待って、 逃げないで! 』




桜が逃げ出す前に、 蘇枋が桜の手首を捕らえていた。  そのままぐっと引かれる。


まさか引っ張られると思ってはいなかったため、 バランスを崩しかける。  慌てて後ろへ足をやり、 バランスを取る。


もう少し、 別のことにも気を配れば良かった。  なんて思ってももう後の祭りである。

頭に被っていたフードがそのまま後ろへ倒れるように頭から落ちる。





『  桜 …  くん … ?  』




その時の、柄にもなく見開かれた蘇枋の顔はこの先一生忘れることは無いだろう。




『 蘇枋さん!  どうしたんです、 っ  …  え 、 …   桜  、 … さん  … ?』




最悪だ、  なんで 今このタイミングで帰ってくるんだ。

パタパタと戻ってきた楡井も、 蘇枋と同じように固まっている。








「 …  離せよ …  」







どうするべきかなんて、 分からない。





もう、  何も …  考えたくない。





ぐにゃりとする視界。  重たい頭。  今自分がどうなっているか、  上手く立てているのかも 全部分からなくなった。







これだから、  バレたくなかったんだ。

















多分続かない


理由 :  語彙力の限界




最後の桜さんはただの熱中症です。


今後は桜家に連れ帰られた後、 介抱され、落ち着いた頃に綺麗に洗われて、 今日のことを洗いざらい吐かされて、 📒には泣かれ、🫖には怒られ 、 最終的には熱い抱擁を交わします。 その時 🌸が涙ポロポロさせているのを 2人は見て見ぬふりをします。


本当は風鈴屋上ルートや、 獅子頭連ルート えんやまルートも考えていましたが どれにしろ書けそうにないので諦めます


カバーは久々に自作しました

画像

絵を先に描いたのが失敗でした…  あんまり物語と合ってない…

無断転載 使用❌


見て下さりありがとうございました🙇‍⤵︎


(2025/05/17 14:13:08)

10802文字

この作品はいかがでしたか?

113

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚