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###番犬くんと優等生###
<第十六章> 日常の異変
“一つの疑問”
ズキズキと鈍く痛む身体と、頭の中に残る強烈な快感の残滓。春夜がゆっくりと目を開けると、やはり見慣れた龍崎の部屋の白い天井が視界に飛び込んできた。昨夜からの出来事が、まるで悪夢のように鮮明に蘇る。身体が快感で壊れていくあの感覚、そしてプライドが音を立てて砕け散った瞬間。
春夜は、重い身体を起こそうとした。その時、手足に感じていたはずの冷たい金属の感触がないことに気づいた。慌てて両手首と足首を確認する。そこには、赤く痛々しい手錠の跡が残っているだけで、手錠は外されていた。
(……何でだ……?)
混乱しながらも、春夜はベッドから身体を起こした。全身の倦怠感に襲われるが、それよりも、あの絶望的な状況からの解放に、一瞬の安堵を覚える。しかし、それは長くは続かなかった。
辺りを見回すと、部屋の隅にあるデスクで、龍崎と流風が向かい合って座り、食事をしていた。彼らは春夜に気づいていないかのように、楽しそうに談笑している。その姿は、まるでごく普通の高校生たちが、友達の家で寛いでいるような、ごく自然なものだった。
その光景に、春夜は言いようのない違和感を覚えた。そして、一つの疑問が彼の心に浮かび上がった。
(なんで、こいつらは一緒にいるんだ?)
龍崎と流風。一方は、自分を監禁し、支配した男。もう一方は、自分を罠にはめ、新たな屈辱を与えた男。そして、転校生である流風が、なぜ龍崎を知っていて、こんなにも親しげに会話しているのか。二人の間に流れる、まるで長年の友人のような、しかしどこか歪んだ親密な雰囲気。彼らの関係性は一体どうなっているのか。どういう経緯で知り合ったのか。春夜は、意識が朦朧とする中で、色々なことを考え始めた。
そんなことを考えていると、不意に、龍崎と流風の視線が春夜の方へと向けられた。いつの間にか、彼らは食事を終え、春夜の目の前に立っていた。その静かで、しかし確かな存在感に、春夜は驚いて間抜けな声を出してしまった。
「へぁっ……!」
龍崎と流風は、そんな春夜の反応を見て、フフ、と楽しそうに笑った。その笑顔は、どこまでも優しく、しかしその奥には、春夜を完全に手中に収めた者の、冷酷な愉悦が隠されているように見えた。
「目が覚めましたか、春夜君」
龍崎が穏やかに言った。
「ちょうどよかった。一緒にご飯を食べましょう」
流風もまた、春夜の手を取り、彼をテーブルへと誘った。
春夜は、言われるがままにテーブルについた。目の前には、温かい湯気が立つ料理が並べられている。朝なのか、昼なのか、それとも夜なのか。今は一体何時なのか。時間が全く分からなかったが、自分のお腹が空いていることに気づいた。あの変な部屋で調教されてから、相当な時間が流れたのだろう。
春夜は、二人の支配者の視線を感じながら、無言で食事を始めた。まだ、彼らの関係性の謎は解けていない。しかし、それ以上に、これから自分が彼らのもとでどうなるのかという、新たな不安が春夜の心を支配していた。
30話になりました!(*≧∀≦*)
本当にありがとうございます!
次はフォロワーさんからのリクエストで
流風×龍崎のお話を書いていこうと思います
番外編ですが、意外と本編にも通ずるところがあるので読んでみてください!
ではまた次回!
next→♡2800