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44 - 第44話 遊ぼうぜ

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2025年03月20日

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「……なんだ、それ?」


葵の声が震えた。


亡霊を操る自分が、”恐怖”を覚えるとは思わなかった。


バルドの影――いや、影から這い出てきた”何か”は、人の形をしていなかった。


いや、そもそも”形”があるのかも怪しい。


それは黒い霧の塊だった。


でも、ただの霧じゃない。


そこに無数の目が浮かび上がっている。


バルドの影から、数百の”目”が、葵を見ていた。


「俺がここで生まれたのは知ってるな?」


バルドは穏やかに言った。


「でも、それだけじゃない。……俺は”この船そのもの”でもあるんだよ。」


ゴゴゴゴゴ……!!


船が軋む。


金属の唸り声のような音。


まるで、船が生き物のように、呻いているようだった。


「……嘘つけよ。」


葵は笑おうとしたが、唇が乾いていた。


「俺は、俺の父が作ったこの船の”遺産”だ。」


バルドはゆっくりと歩を進めた。


影が伸びる。


亡霊たちが怯えたように後退した。


「お前の亡霊は、たかが数百年の”死者”だろ?」


バルドはニヤリと笑う。


「でも、俺の影にいるのは、”千年”の亡者たちだ。」


その瞬間――


影の中から、”人の顔”が無数に現れた。


「……たすけて。」


「お母さん……どこ……?」


「苦しい……まだ生きたい……」


葵はゾッとした。


自分が見てきた亡霊たちとは、”何か”が違う。


これは、”力”の亡霊ではない。


“呪い”の亡霊だった。


「どうする、葵?」


バルドはゆっくりと斧を肩に担いだ。


「お前の亡霊が勝つか……俺の呪いが勝つか……。」


「遊ぼうぜ。」 

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