「……チッ。」
葵は舌打ちしながら、背後にいる亡霊たちを睨んだ。
「ビビってんじゃねえよ、お前ら。何百年もさまよってた連中が、今さら”呪い”ごときに怖気づくな。」
亡霊たちは一瞬たじろいだが、葵の言葉に反応し、次第にその輪郭を濃くしていく。
かつてこの船で死んだ者たち、葬られた者たち、沈んだ者たち――彼らの怒りと憎しみは、葵によって具現化されていた。
「お前の”呪い”が千年モノだろうが関係ねえ。」
葵は不敵に笑い、指を鳴らした。
「こっちは”私”がついてんだよ。」
ゴゴゴゴゴ……!!
亡霊たちが一斉に動いた。
怨念の渦が、バルドの影を引き裂こうと襲いかかる。
だが――
「……甘い。」
バルドの斧が唸りを上げる。
巨大な刃が振るわれた瞬間、亡霊たちが裂けるように消滅した。
だが、葵はすでに次の手を打っていた。
「”呪い”の亡霊がなんだっつーの。」
葵はスッと手を掲げる。
「呼べ。」
その瞬間、床が軋み、何かが”現れた”。
「”復讐者”たちを。」
バルドの目がわずかに細められた。
「……ほう。」
そこに現れたのは、”殺された者たちの亡霊”ではなかった。
「お前が呪った相手……お前の”影”に囚われてた奴らを、俺が引きずり出してやったよ。」
バルドの足元から、無数の手が伸びる。
それは、かつてバルドの”呪い”によって葬られた者たち。
ドッ……!
バルドの影が悲鳴を上げた。
今度は、バルド自身が”呪われる番”だった。
※色々あってリリーがでるのは52話です
コメント
1件
葵ちゃんビビってら!((((でもナンカイヤナヨカンガ…(続き楽しみです!